本記事は、川村明宏氏らの著書『驚異の「速脳速読」トレーニング』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

読書
(画像=aeroking/stock.adobe.com)

速脳速読の初歩はなぞり読みから

速脳速読トレーニングの初歩でまず行なうのは「黙読」から「視読」への切り替えです。これだけで、読書スピードはアップします。具体的には1分間に400文字程度読めている人なら、約1,000〜3,000文字読める、つまり、3〜8倍近くになることもあります。

「視読」とは字が示す通り、ただ「視る」だけの読書法です。

「黙読」は、声こそ出していませんが、目で追った文字を声で再現しています。つまり、よくよく注意してみると、声は出していませんが声帯が動いている場合が多いのです。

「視読」のやり方としては、まずはページ全体を視野に入れるよう心がけます。そして1文字1文字追うのではなく、声帯を動かさずに全体を一度で把握するように努力します。もちろん、最初からはできないかもしれませんが、トレーニングをくり返しているうちにできるようになるはずです。

ページめくりを誰かに依頼する

簡単な方法としては、本のページめくりを誰かにやってもらう方法もあります。

普通の単行本は1ページ500文字程度ですから、30秒すぎたらめくってもらう。30秒しかない、とわかっていれば、目はしっかり全体を把握しようとします。

頼める人がいないなら、PCでスクロールする文字を追うのもよいでしょう。

とにかく、1分で800文字程度の量をどんどんスクロールしていく。そうしているうちに、目が追いついてきます。

古くは電子手帳やパソコン用のソフトを開発した時代もありましたが、今は手軽にアプリなどでチャレンジできるように用意しています。

これらの方法でまずは視覚能力を鍛えることで、速脳速読に必要な視る力を向上させることが可能になります。

Point
まずは1分1,000字以上を目指す

メトロノームを使った「1秒1行」訓練も有効

1ページという量が負担に感じる場合、1行を1秒で読む訓練を重ねる方法もあります。

単行本の1行は、だいたい40文字です。37〜38文字程度の本も多いですが、とはいえ、多くの本が1行40文字、これは私が速脳速読メソッドを開始した40年以上前から、あまり変化がないように感じます。

400字を1分が日本人の平均ですから、1行(40文字)は6秒程度で読むのが日本人の標準です。それを上まわる訓練ですから、1行を1秒で読めるようになれば、1分で2,400字、平均の6倍のスピードで読めるようになります。

やりかたとしては、メトロノームを動かし、カチカチと1秒ごとに行きつ戻りつするように調整します。そして手元の本の1行に集中して視ます。カチッと鳴ったら問答無用に次の1行です。読めても読めなくても次に進みます。

最初は読めないはずですが、トレーニングを重ねれば、徐々に読める範囲が広がっていくはずです。

実際に、次の文章で試してみましょう。


軽い読み物などの平易な文章を読ませた場合の日本人の平均的な読書能力は、分速400文字前後です。

これは子どもから老人までを含んだ数字で、成人だけを選んで読書能力を測定すると、分速600文字前後となります。ごく普通の文庫本、新書が1ページ平均600文字で印刷されていますから、1分で1ページずつ読んでいく能力を持っていることになります。これは実際に、電車の中で読書している人の10人中9人までが、およそ2分ごとにページをめくっていることからもわかります。

また、これまで速読法のトレーニングを一切受けたことがない、という人の中から無作為に抽出して、読書能力を測定してみたことがあります。

その結果は、最低が分速200文字、最高が分速1,000文字で、その間で「正規分布曲線」を描きました。ピークは分速400文字と600文字の間でした。

さらに、多くの文章を扱う業務に携わっている、出版社の編集者の読書能力を測定してみたところ、最低が分速600文字、最高が分速1,200文字で、その間で正規分布曲線を描きました。ピークは分速800文字のところです。成人の平均値よりも、分速200文字ほど高かったわけです。

同じく、資格試験専門の予備校の受講生(これは、現役の大学生から年輩の方まで、年齢構成に幅があります)の読書能力の平均値は、分速800文字前後でした。

このことから、文章を多く扱う業務に携わっていて、活字に接したり文章を読む機会の多い人たちの読書能力の平均値は、分速800文字前後であることが推測されます。

あなたは1行を何秒で視ることができたでしょうか?

時間がかかった人は、おそらく読んでしまっていたのではないでしょうか。まずは「読む」ではなく「視る」ことを忘れないでください。

高速訓練で速脳速読力をアップする

ここまでで「できない」と感じている方には少し残酷ではありますが、「できない」と感じたなら、ぜひ試してほしいことがあります。

次は0.5秒で1行を視るトレーニングにチャレンジしていただきたいのです。

「できないって言っているのに!」と怒らずに、グッとこらえてやってみましょう。

0.5秒で1行、1秒で2行を視て、最後まで到達してください。

そうしたら今度は再び、1秒で1行を視るペースに戻してください。

どうでしょうか?

ぐっと内容を把握できるようになったと感じませんか?

最初はあまり感じられないとしても、このトレーニングを続けているうちに理解力が高まるのを感じられるはずです。

前述した通り、高速と減速をくり返すことで、「視る」訓練であると同時に「読む」訓練にもなっています。全体の内容をつかむ訓練ですから、一瞬で右脳へスイッチングする訓練としても有効です。

1秒で1行→1秒で2行→1行で1秒、これで効果が感じられないときは1秒で1行→1秒で2行→1秒で4行→1秒で2行と、さらに緩急をつけます。

この倍速に上げて半速に落とすトレーニングを反復することで、速脳速読力はアップします。

驚異の「速脳速読」トレーニング
川村明宏
速読術・速脳術・多分野学習法などの開発創始者。ジョイント式速読術を開発し、日本ではじめてパソコンを利用した速読トレーニングを提供開始。全国に速読教室を展開し日本国内では少なくとも50万人以上の受講生に川村式ジョイント速読を教え能力向上を実現。
1978年から40年以上にわたり速脳、速読トレーニングの研究開発を行っており、ベストセラー「頭がよくなる速読術」など関連著書は100冊以上。NintendoDS、ソニーのゲームソフトも多数。海外での普及及び、提携活動も行ない、eyeQ(英語版 速脳速読)は現在アメリカ国内シェアNo.1となっている。米国公私立学校では2,000校以上が導入。新日本速読研究会会長、川村速脳開発協会(旧・速脳研究会)名誉会長。
川村真矢
小学生の頃より川村式ジョイント速読法の訓練を受ける。長年、速読講師を務め、本部教室の運営から関東圏カルチャーセンターでの講義、団体向けセミナー等を統括。その後、速読メソッドを応用した英語速読、認知症予防プログラムの開発に携わる。
新日本速読研究会・速脳研究会・海外事業の運営管理を行う株式会社インフィニティ代表取締役社長。SOKUNOUの新技術開発やビッグデータ検証による効果的な学習システムの改善に取り組む。

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