機械学習の手法と用途

機械学習は、さまざまなアプローチや手法が存在し、それぞれの問題解決に効果的だ。ここでは、主な手法である「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」における概要と用途、メリット・デメリットについて紹介する。

教師あり学習

先ほど触れた「教師あり学習」は、一般的な機械学習の形態で特定の入力に対する正しい出力を学習する方法だ。教師あり学習は、スパムメールのフィルタリングやクレジットカード詐欺の検出など、具体的な問題を解決するのに非常に役立つ。

教師あり学習のメリットは、学習に正解データを用いることで高い精度と速さを実現できることだ。過去データが豊富にあれば、AIはより正確に学習できる。また「誰でも簡単に取り組める」「他に比べて学習速度が速い」といった点も教師あり学習のメリットといえるだろう。

一方、教師あり学習のデメリットは、正解データがない分野や正解データの品質が低い場合には適用できないことだ。教師あり学習では、人間が正解データを作成しなければならないため、例えば新しい製品の市場分析などでは使えない。

さらに正解データの品質が悪いと、AIはそれをもとに学習するため、精度が低下する可能性もある。AIの学習には、時間がかかることが多いため、品質の悪い正解データを使ってしまうと時間と労力が無駄になりかねない。

また精度を向上させるためには、多くのデータを用意する必要があるため、教師あり学習を始めるまでに時間や労力がかかることもデメリットといえる。

教師なし学習

一方で「教師なし学習」は、明確な正解が与えられない状況で使用されるのが特徴だ。教師なし学習の機械学習モデルは、データ内の隠れたパターンや構造を見つけるために使用される。例えば、顧客のセグメント化や新しい市場トレンドの発見などに役立つ。

教師なし学習のメリットは、データに正解ラベルが付いている必要がないため、教師あり学習に比べてスタートしやすい点だ。また正解がないパターンの特定を得意とする点は、教師あり学習と比較して優れた点といえるだろう。

教師なし学習のデメリットは、正解を与えて学習できないため、結果の評価が難しいことだ。またデータの前処理やパラメータの調整が必要になる場合がある。

強化学習

「強化学習」は、ある環境のなかで目標を達成するために最適な行動を学習する方法だ。この方法の場合、AIは行動の結果として得られる報酬を最大化するように学習する。強化学習は、人間が直接教えなくても自ら試行錯誤することで最適な行動を見つけ出すことが大きな特徴といえるだろう。強化学習は、ゲームプレーやロボットの制御などに使用される。

強化学習のメリットは、一回の行動に対する評価の定義が困難な問題も取り扱うことができたり、自律的に学習できるため人間の介入が少なくて済んだりする点だ。一方デメリットは、学習に時間がかかる場合が多く、報酬設計やパラメータ調整が難しいケースがある点だ。

教師あり学習と教師なし学習の比較と適用例

教師あり学習と教師なし学習は、それぞれに異なる問題を解決するために使用される。教師あり学習は、明確な答えがあり、それを予測したい場合に最適だ。一方教師なし学習は、データ内の未知のパターンを発見したいときに有効な手法である。