金融引き締め政策を行う諸外国に比べて、日本国内では依然として超低金利政策が継続している。国内預金金利は低いこともあり、近年は外貨での資産形成に注目している人が増加傾向だ。

外貨投資の代表格といえば米ドルだが、なかには中東の大国トルコの法定通貨トルコリラに投資する人もいる。トルコリラはどのような通貨なのだろうか。本記事では、トルコの概要やトルコリラの特徴について解説していく。

トルコはどんな国 ?

今後、上昇に転じるか。金利の高さが魅力の「トルコリラ」の特徴
(画像=Faraways / stock.adobe.com)

トルコリラの特徴を解説する前にトルコの基本情報を確認しておこう。トルコは「ヨーロッパ、中東、中央アジア、コーカサス地域の結節点」という地政学的な要衝に位置している国だ。国民のほとんどがイスラム教徒だが、歴史的にはキリスト教との関係も深い。トルコ革命によって1923年にトルコ共和国が成立し、近代国家としての歩みをスタートさせた。

イスラム教の戒律は政教分離 (世俗主義) を原則としているものの、イスラム社会のなかでは比較的ゆるやかに適用されている。かつては、経済成長著しい新興国を「BRICs (ブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字) 」と呼ぶ向きもあったが、トルコはBRICsに続き経済成長が期待できる新興国グループ「ネクスト11」に数えられていた。

一方、成長資金が国外頼みで通貨安や高インフレに見舞われるなど経済構造が脆弱な側面もある。

トルコリラの特徴

トルコの国情勢を踏まえたうえで、トルコリラにどのような特徴があるのかを解説していく。

高金利通貨

トルコリラの特徴の1つ目は、金利の高さだ。例えばトルコ中央銀行は、2022年12月に開いた金融政策決定会合で1週間物レポ金利を年9%に据え置いている。金利の引き上げが市場の関心を集めている米国を引き合いに出すと、政策金利のフェデラル・ファンド (FF) 金利の誘導目標は4.50~4.75% (2023年2月時点) という水準だ。

日本に至っては、短期の政策金利はマイナス0.1%に維持されており、トルコの政策金利の高さとは雲泥の開きがある。さらにトルコの1週間物レポ金利の推移を見ると、2023年2月時点では年9%だが2018~2019年にかけては年24%の時期もあった。米国がインフレの加速に伴う措置として金利を引き上げたように、インフレ率の高さと金利の高さは連動しやすい。

世界的にインフレが進んだ2022年においては、トルコの消費者物価指数 (CPI) の伸び率が前年同月比で80%を超える月もあった。いずれにせよ、トルコリラはブラジルの通貨レアルなどと並んで金利が高いことで知られている。

ボラティリティ

トルコリラのボラティリティは、政策金利の変動幅の大きさやインフレ率の高さからうかがえるように大きい。例えば2023年1月は、1トルコリラ6円台で推移しているが、2007年には1トルコリラ100円に迫ることもあった。2021年1月ごろは1トルコリラ13~14円台で推移しており、2年間で通貨の価値が半分以下になった計算になる。

トルコリラの下落要因は ?

なぜトルコリラはボラティリティが大きく、これほど急激に通貨の価値を下げているのだろうか。それには、トルコ中央銀行の金融政策が大きく影響している。トルコのインフレ率が高いことはすでに述べたが、通常インフレ率が高いときには中央銀行は金利を引き上げ、インフレ抑制措置を講じる。ところがトルコ中央銀行は、インフレが進むなかでも金利をむしろ引き下げインフレを加速させているのだ。

つまり、異例の金融政策が過度な物価高騰を招き自国通貨の価値を押し下げていることになる。トルコ中央銀行がこうした対応をしている背景には、「金利は諸悪の根源」と主張するエルドアン大統領の意向があると考えられている。強権体制を敷くエルドアン氏は、これまでに中央銀行総裁を次々と交代させてきた。

エルドアン氏が金利に対してこれほど極端な見方をするのは、イスラムの世界では「利子」をとることが禁忌とされている影響ともいえるだろう。しかし、2023年6月に予定されている大統領選に向けて「利子」と戦う姿勢を示し、国民の支持を取り付けようとしているとの指摘もある。

トルコリラの上昇要因は ?

今後トルコリラが上昇する可能性はあるのだろうか。トルコリラ下落の原因が中央銀行による利下げである以上、金融政策の変更が行われなければトルコリラに対する上昇圧力は働きにくい。もっとも、強権体制を敷くエルドアン氏のもとで中央銀行が政策を変更することは予見しづらく、2023年6月の大統領選の結果がトルコリラの今後に大きく影響する可能性がある。

金利の高さが魅力、今後上昇に転じるか

トルコリラ投資の魅力は、金利の高さだ。トルコリラ自体は、2023年2月時点でも下落が続いているが、トルコ国内の政治情勢などによっては上昇に転じる可能性もあり、通貨として現在も魅力を持ち続けている。

すでにトルコリラを保有している場合も、塩漬けになっているトルコリラをより金利の高い銀行にうつすなどし、今後も利益の機会をしっかりとうかがいたいところだ。ハイリスク・ハイリターンな側面も考慮したうえで、投資対象として検討する価値は十分にあるだろう。

(提供:大和ネクスト銀行


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