伝統産業が置かれている厳しい現状

紹介した以外にも日本各地で伝統産業が根付いており、全国で240品目(2022年11月時点)の伝統工芸品が指定されている。しかし経済産業省の資料によると、生産額も従業員数も逓減しており、衰退傾向にあるのが実情だ。

【伝統的工芸品の生産額・従業員数の推移】

経済産業省 製造産業局 伝統的工芸品産業室「経済産業省説明資料(令和4年7月)」
出所:経済産業省 製造産業局 伝統的工芸品産業室「経済産業省説明資料(令和4年7月)」

グラフを見てもわかるように2001年度(平成13年度)に2,000億円程度だった生産額が、2010年度(平成22年度)には1,000億円へと約半減し、2016年度(平成28年度)には1,000億円を下回ることとなった。その後も減少傾向は続き、2020年度(令和2年度)には870億円まで落ち込んでいる。

生産額の減少度合いに比べると緩やかではあるが、伝統工芸品づくりを担う従業員の数も減少傾向だ。1998年度(平成10年度)に約11万5,000人だった従業員は2020年度(令和2年度)に約5万4,000人と半数以上も減少していることがわかる。

伝統産業が衰退傾向にある理由

伝統産業が衰退傾向にある要因にはさまざまなものがある。主な理由として「需要の減少」「後継者不足」「原材料・用具等の不足」の3つが挙げられる。

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