中小企業は限られた人材で事業活動を行うため、社員のモチベーションが経営を大きく左右する。社員のモチベーションアップの手段に、給与や待遇の改善を考える経営者は少なくないが、必ずしも報酬がモチベーション向上につながるとは限らない。

本記事では、社員のモチベーション向上術について、代表的な理論を紹介しながら具体的なアプローチ方法を解説する。

目次

  1. モチベーションとはそもそも何なのか?
    1. 社員のモチベーションが低いとどうなるか
    2. 社員のモチベーションを高めるメリット
  2. 中小企業経営者が知っておきたいモチベーション理論
    1. ハーズバーグの二要因論
    2. 動機づけ要因:モチベーション要因
    3. 衛生要因:満足度要因
  3. モチベーションと関連性の深いその他の理論
    1. E・デシの内発的動機付け
    2. マズローの欲求段階説
    3. マクレランドの欲求理論
    4. ロックの目標設定理論
    5. ブルームの期待理論
  4. 社員のモチベーションを上げるポイント
  5. 社員のモチベーション向上に取り組む具体的な取り組み
    1. 人事評価制度の明確化
    2. 給与待遇の見直しとインセンティブの設置
    3. 業務の権限委譲を行う
    4. 研修の実施と自己啓発のサポート
    5. 社員が自らチャレンジできる施策の導入
    6. 社員の提案を受け入れる土壌をつくる
    7. キャリアプランを考える場所を提供する
  6. 社員のモチベーション向上に向け理論的かつ具体的にアプローチすることが必要
社員のモチベーション向上、どうすればいい? 動機づけ理論からアプローチ法
(画像=siro46/stock.adobe.com)

モチベーションとはそもそも何なのか?

モチベーションとは、「人が行動する際の動機づけや目的意識」のことである。仕事に対するモチベーションとは、達成感や自己成長などさまざまであり、社員それぞれの価値観や目標などによって異なる。

経営者は、社員個々人のモチベーション要因を理解し、適切にサポートすることが重要だ。

社員のモチベーションが低いとどうなるか

社員のモチベーションが低いと、業務の生産性が低下し、組織にとって多くのデメリットが生じる。

モチベーションが下がれば、仕事に対する興味喪失や効率の悪化を招き、タスクが遅延したり製品の品質が低下したりする。さらに、従業員の離職率が増加し、人材採用や育成コストがかさんでしまう恐れがあるだろう。

また、モチベーションの低下はチーム全体にも広がり、組織間や個々人間の協力意識の低下を招く可能性もある。

社員のモチベーションを高めるメリット

社員のモチベーションを高めれば、組織は多くのメリットを得られるだろう。

社員のモチベーションを高く保つことができれば、生産性が向上し、仕事の質と効率が高まる。社員は個人だけでなく社内目標を達成するために積極的に努力し、自己成長を追求する。また、社員同士の連携意識が増し、チームの一体感が生まれるだろう。

中小企業経営者は、社員のモチベーション向上を促進するための取り組みに積極的に関わる必要がある。