倒産リスクを意識し始めた市場
ペトロブラスにとって悩ましいことに、会計上の問題もある。11月13日に届け出る予定であった決算が提出できずに、会社側から12月13日への延期が発表された。監査会社のプライスウォーターハウスクーパーズが決算を承認せず、汚職に関する調査等を再度厳密にするよう突き返したのだ。
続いて11月20日には汚職に関与したとされる容疑者への資産凍結が実施され、22億円相当が資産凍結の対象となった。監査法人が決算を承認せずに決算発表が延期になることは日本でも例があるが、そうした会社は後に倒産することは珍しくない。そうした動きへの懸念から、市場はペトロブラスに厳しい評価を下している。
ブラジルレアル安の影響は
ブラジルレアルはドルに対しては1ドル=0.4ブラジルレアル近辺と、ここ5年間で見ると最も安い水準で推移している。ブラジルレアル安はペトロブラスにとって輸出採算を改善するため、安価で石油を供給することが可能となっている。
一方で、石油関連の輸出は採算割れ寸前でのチキンレースが始まっている。アメリカのバーンスタインリサーチによると、1バレル80ドル割れの現在の水準ではシェールオイルプロジェクトの3分の1が採算割れとなる。このため、いずれ石油生産業者の破たんがあると噂されているのだ。
こうした動きから、ペトロブラスがチキンレースから降りなければならなくなった場合にはブラジル経済を支える柱が無くなることになる。その後のブラジルレアルの動きとしては資金逃避が起こり、大幅に安くなる可能性がある。ブラジルの経常収支はここ3年続けて9兆円程度の赤字なので、輸入物価が上がり混乱が拡大するものと思われる。
ペトロブラスは踏みとどまれるか
オリンピックが2年後に控えているため、そこまで持ちこたえられるのか。原油安になれば、供給側が話し合いで需給を調整したものだが、それも今は昔の話だ。石油輸出国機構(OPEC)が需給を管理できた時代は去り、一部が減産してもそれを穴埋めする供給業者は世界に散らばっているのだ。
このチキンレースはメインプレイヤーが倒れるまで続く、勝者なき戦いなのだ。ペトロブラスは生き残れるだろうか。時期オリンピックまでには敗者が決まっているだろう。
(ZUU online)
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