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11月20日、日経新聞で上場企業によるエクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)が高水準で推移していることが報じられた。

日本証券業協会が20日に公表した統計データによれば、上場企業が2014年1~10月に国内外でのエクイティファイナンスで得た資金総額は、前年同期比23%増の2兆908億円となり、2013年(2兆1,530億円)に続き2年連続で2兆円を突破した。今年は、11月以降の市場での調達動向を考慮すると、前年を超えて2010年(3兆7,757億円)以来4年ぶりの高水準に達することが確実だ。

ここでは、エクイティファイナンス増加の背景と、効果的に活用している狙い目の企業について見ていく。


エクイティファイナンスとは?

一般に、デットファイナンスが負債の増加を伴うのに対して、エクイティファイナンスは資本の増加を伴うところに大きな特長がある。

エクイティファイナンスのメリットのメリットやリスクは、資金の返済が不要な代わりに、株主は株主総会に出席して議決権を行使することで、会社経営に対する発言権を得ることができる点だ。

会社に対して「モノいう権利」を持つ者を増やすことになり、投資される企業は、株主から業績価値の向上を求められることになる。また、発行株式数の増加につながるため、1株当たり利益や株価の下落を招くおそれがある。


今年の傾向は「リキャップCB」

今年のエクイティファイナンスの特徴は、自社株買いとCB発行を組み合わせる「リキャップCB」と呼ぶ手法が相次いだ点だ。CB発行により負債として資金を調達し、その資金で自社株買いを行う、つまり資本を圧縮する。資本構成を変えることで、ROE(株主資本利益率)の上昇が期待され、発行済株式数が減少することにより1株利益の改善にもつながる。9月にはアデランス <8170> やエディオン <2730> 、自動車部品メーカーのユーシン <6985> などがリキャップCBの発行に動いた。

また、IPOによる資金調達も活発だ。市場を通じた調達額は10月末までに合計で2,814億円となった。今年最大の上場案件となったリクルートホールディングス <6098> のほか、西武ホールディングス <9024> やすかいらーく <3197> など、大型の再上場が相次いだことも金額を押し上げている。IPOでは2006年(5,948億円)以来の調達額だった2013年(3,779億円)を超えそうな展開となっている。