ブラジル石油大手のペトロブラス(Petrobras)は大きな試練に直面している。2014年が始まったころは、石油会社にとっては原価をはるかに上回る1バレルあたり100ドルを超えていたアメリカ合衆国のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される、ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)も、3日終値で67.38ドルと30パーセント程度下落した。
中東やウクライナ等の地政学リスクが意識されるにもかかわらず、原油価格の本格的な下落は資源国ブラジル経済をも根本から揺さぶっている。この水準の価格が続くとプロジェクトによっては赤字となるものも出てきていると言われ、ペトロブラスの経営は非常に苦しい状況だ。
それに加えて、ペトロブラスには汚職疑惑という政治問題でも苦境に立たされている。元幹部も逮捕状を請求されている状況の中で、捜査中であることもあり、会社側からの詳しい説明はされていない。もし、政権中枢にまで摘発の手が及ぶことになればブラジル経済を巻き込んだ大スキャンダルに発展する可能性もある。
ラテンアメリカ最大の事業会社
ペトロブラスはブラジルの石油会社で半官半民企業である。代表者は、セルジオ・ガブリエリ (Sergio Gabrielli)で本社をリオデジャネイロ市におく。南半球最大の石油採掘会社であり、アマゾンのウルクー油田での石油生産のため、1953年に設立された。
また、ラテンアメリカ最大の事業会社でもあり、2008年度の売上高は1,183億ドルに達した。会社自身で石油精製の設備とタンカーを保有しており、深海での油田採掘技術も保有している。日本では、2007年に沖縄県の中堅石油精製企業である南西石油を買収したことで知られている。