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人から財産を無償で受け取ったときは、原則として贈与税が発生します。
贈与税は財産を受け取った人が支払う仕組みになっていますが、課税対象となるのはいくらからなのでしょうか。
本記事では贈与税の概要について解説するとともに、財産を受け取った際に非課税となる特例についても紹介します。
- 贈与税は110万円を超える贈与に課税される
- 特例制度を活用すると非課税枠が増える
- 贈与税の申告には事前手続きが必要
贈与税とは
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贈与税とは、個人が他の個人に財産を無償で譲り渡した際に課される税金です。
日本の税制では、相続税と一体的に設計されており、生前に財産を移転することで相続税の負担を軽減する行為を防ぐ目的があります。
贈与税の課税対象となる財産には、現金、不動産、有価証券などが含まれます。
課税対象額は、その年に受け取った贈与財産の合計額から基礎控除額(年間110万円)を差し引いた金額です。
基礎控除後の金額に応じて、10%から55%の累進税率が適用されます。
また、特例措置として、教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与に関する非課税制度があります。
これらの特例を利用するには一定の条件を満たす必要があります。
さらに、直系尊属(親や祖父母)から20歳以上の子や孫への贈与には「相続時精算課税制度」という選択肢があります。
相続時精算課税制度は、2,500万円まで非課税となる代わりに、相続時に贈与財産が相続財産として再計算されます。
贈与税は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに申告・納付が必要です。
贈与税を適正に納めることで、財産の移転を透明に管理し、不当な税負担を防ぐ役割を果たします。
なお、法人から受け取った財産は、所得税の対象になることも覚えておきましょう。
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贈与税はいつ払うの?納付書の書き方から納付方法や注意点まで解説
贈与税の対象となる財産
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贈与税の対象となる財産は、贈与者から受贈者に無償で移転された財産であり、以下のような種類が含まれます:
1.現金および預貯金
贈与された現金や銀行口座への振込金が対象です。
2.不動産
土地、建物、マンションなどの不動産が対象になります。
不動産の評価額は、原則として固定資産税評価額や路線価などを基に算出されます。
3.有価証券
株式、債券、投資信託などの金融資産が含まれます。
評価額は市場価格や取引価格に基づいて計算されます。
4.動産
高価な絵画、骨董品、貴金属、宝石、自動車などが対象となります。
5.金銭債権
貸付金や売掛金のような金銭債権も贈与財産として扱われます。
6.その他の経済的利益
贈与税法では、形のある財産だけでなく、経済的価値のある利益も課税対象となります。
例:住宅取得資金や借金を肩代わりしてもらった場合など。
7.生命保険金
生命保険契約で、受取人が契約者以外の第三者の場合、保険金額が贈与と見なされることがあります。
贈与税の課税対象は、形式ではなく実質的な経済的利益に基づいて判断されます。
そのため、たとえ契約書が存在しなくても、贈与が成立していれば課税対象となる場合があります。
贈与税の対象となる財産の評価方法
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贈与税の対象となる財産の評価方法は、財産の種類ごとに異なり、原則としてその財産の時価を基準に評価されます。
ただし、特定の財産については評価基準が定められています。
以下は主要な財産の評価方法です。
1.現金・預貯金
現金
贈与された金額そのままが評価額となります。
預貯金
贈与時点の残高が評価額です。
2.不動産
土地
路線価方式
路線価(税務署が公表する土地の価格)を基に評価します。
倍率方式
路線価がない場合は、固定資産税評価額に倍率を掛けて算出します。
建物
固定資産税評価額を基に評価します。
3.株式
上場株式
贈与時の終値、またはその月・前月・翌月の平均額のうち最も低い価格で評価します。
非上場株式
原則として「類似業種比準方式」や「純資産価額方式」により評価します。
債券
市場価格を基に評価します。市場価格がない場合は額面金額や利率を考慮して算出します。
4.動産
美術品、骨董品、貴金属などは、一般的な取引価格(市場価格)が基準となります。
5.金銭債権
貸付金や売掛金
贈与時点の債権額を評価額とします。
ただし、回収が困難な場合はその分を差し引くことが認められる場合があります。
6.生命保険契約の権利
解約返戻金相当額が評価額となります。
7.その他の財産
ゴルフ会員権
市場取引価格を基に評価します。
8.知的財産権
収益性や市場価値を基に評価します。
贈与税の課税方法
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贈与税の課税方法は2種類あります。
贈与税の課税方法には、毎年受け取った財産に対して課税される「暦年課税」と「相続時精算課税」です。
ここからは、それぞれの課税方法について詳しく解説します。
1.暦年課税
暦年課税では、毎年1月1日から12月31日までに受け取った財産の合計額をもとに贈与税額を計算します。
受け取った財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりませんが、110万円を超える部分については贈与税の課税対象になるので、確定申告にて贈与税の申告を行わなければなりません。
確定申告の期間は、贈与を受けた翌年の2月16日から3月15日までです。
この間に申告し、贈与税を納めます。
ただし、贈与税額が10万円を超えており、かつ納付期限までに支払うお金が手元にない場合、申請することによって5年以内に毎年分割して納める方法を選ぶこともできます。
これを「延納」といい、延納制度を利用する場合は本来の贈与税額の他に利子税がかかり、また原則として担保を提供しなければなりません。
贈与税は、財産を贈った人と受け取った人の間で連帯納付が義務付けられていることも覚えておきましょう。
なお、贈与者が亡くなる前の一定期間に受け取った財産は贈与税ではなく、相続税の対象になります。
2023年までは亡くなる3年前から受け取った財産が相続税の対象になる仕組みでしたが、制度改正により2024年から2031年にかけて段階的に期間が延び、最終的には死亡する7年前から受け取った財産が相続税の対象になります。
・暦年課税のメリット
暦年課税の主なメリットは以下の3つです。
1.年間110万円までの贈与が非課税
暦年課税の最大のメリットは、年間110万円までの贈与であれば贈与税が課税されないことです。
この基礎控除額を利用することで、毎年少額ずつ贈与を繰り返すことで、将来の相続税対策として活用できます。
たとえば、複数人の子供や孫に毎年110万円ずつ贈与することで、相続財産を減らし、相続税の負担を軽減することが可能です。
また、贈与額が110万円以下であれば、贈与税の申告も不要なため、手続きも簡単です。
2.贈与者・受贈者に制限がない
相続時精算課税制度と異なり、贈与者と受贈者の関係に制限がありません。
親から子、祖父母から孫はもちろん、友人や知人間での贈与にも適用できます。
このため、贈与の対象者を自由に選ぶことができ、柔軟な財産移転が可能です。
たとえば、お世話になった方への感謝の気持ちとして贈与をおこなう場合などにも活用できます。
3.手続きが比較的簡単
相続時精算課税制度では、贈与税の申告時に「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要ですが、暦年課税ではそのような特別な手続きは不要です。
贈与税の申告が必要となる場合でも、基礎控除後の課税価格に基づいて税額を計算し、申告・納税するだけで済みます。
そのため、手続きの負担が比較的少なく、気軽に贈与をおこなうことができます。
・暦年課税のデメリット
暦年課税の主なデメリットは以下の3つです。
1.高額贈与になるほど負担が増える
暦年課税では、贈与額が大きくなるほど累進税率が適用され、税負担が急激に増加します。
特に1,500万円以上の贈与では、55%(特例税率では45%)の高税率が適用されるため、高額な贈与をおこなう場合には税金が大幅に増えるリスクがあります。
2.基礎控除額が限られる
暦年課税では、年間110万円の基礎控除が設定されていますが、控除額は少額であるため、大きな資産を短期間で移転するには不十分です。
このため、多額の資産を効率よく移転するには長期間にわたる計画が必要で、贈与者が高齢の場合や急な資産移転を要する場合には柔軟性に欠ける点がデメリットとなります。
3.相続税との整合性が難しい
暦年課税による贈与は相続税と別に課税されますが、相続開始前3年以内におこなわれた贈与は、相続税の課税対象に加算されます(3年加算ルール)。
これにより、生前贈与をおこなっても相続税対策としての効果が限定的となる場合があります。
相続税との整合性を考慮した資産移転計画が求められます。
関連記事
暦年課税とは?相続時精算課税との違いと注意点を解説【贈与税の知識】
2.相続時精算課税
相続時精算課税は、暦年課税のように毎年贈与税を計算するのではなく、贈与者が亡くなったときに相続財産とそれまでに受け取った贈与財産を合計し、最終的な相続税額を求める方法です。
相続時精算課税では、年間で受け取った財産の合計額に対して2,500万円の特別控除が設けられており、亡くなるまでに受け取った財産の合計額が2,500万円を超えた場合には、超えた部分について一律20%の贈与税を納めなければなりません。
ただし、すでに支払った贈与税額は相続税額を求める際に控除されます。
相続時精算課税を利用するには一定の要件を満たす必要があり、利用するにあたっては初回の確定申告期間内に相続時精算課税制度を利用する旨を税務署に届け出なければなりません。
具体的には「相続時精算課税選択届出書」を贈与税の申告書に添付し、納税者の住所地を管轄する税務署に提出します。
提出時には、要件を満たすことを証明するための戸籍謄本などの書類も併せて提出する必要があるので、事前に確認しておきましょう。
また、一度相続時精算課税を選択すると、暦年課税には戻れないことにも注意が必要です。
つまり、相続時精算課税と暦年課税は併用できないということです。
ただし、2024年1月1日以降の贈与については、相続時精算課税にも110万円の基礎控除枠が設定されています。
・相続時精算課税のメリット
相続時精算課税の主なメリットは以下のとおりです。
1.多額の財産を早期に移転できる
相続時精算課税制度では、2,500万円までの非課税枠を利用して一括で贈与することが可能です。
これにより、多額の財産を早期に移転し、贈与者が生前に財産の有効活用を見届けることができます。
特に、住宅取得資金や事業承継のための資金として活用する際に効果的です。
2.贈与税の税率が一律20%
非課税枠を超える贈与額に対しても一律20%の税率が適用されるため、暦年課税に比べて高額な贈与において税負担が軽減される場合があります。
累進税率の適用を回避できるため、高額資産の移転に適しています。
3.相続税での精算が可能
贈与財産は相続時に相続財産として再計算されるため、贈与時点で支払った贈与税が最終的に相続税に充当されます。
相続税の総額が贈与税よりも少ない場合、差額が還付されることがあるため、資金繰りの柔軟性が向上します。
・相続時精算課税のデメリット
相続時精算課税の主なデメリットは以下のとおりです。
1.制度適用後の暦年課税利用できない
相続時精算課税を一度適用すると、その後の贈与についても同制度が適用され、暦年課税の基礎控除(年間110万円)が利用できなくなります。
小額贈与を毎年おこないたい場合には、制度選択の柔軟性が制約される点がデメリットです。
2.相続税の増加リスクがある
贈与財産が相続財産に加算されるため、贈与時の節税効果が限定的です。
贈与後に財産価値が増加した場合、相続時に高い評価額が適用されることで、結果的に相続税の負担が増える可能性があります。
3.申告手続きは複雑
相続時精算課税を利用するには、贈与を受けた翌年に税務署に申告が必要で、申告漏れや手続きの煩雑さが発生します。
また、相続時に精算計算をおこなう必要があり、専門家のサポートを受けることが推奨されるため、時間や費用がかかる場合があります。
贈与税の計算方法
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贈与税額の計算の流れは以下のとおりです。
暦年贈与と相続時精算課税で計算方法が異なりますので、しっかり理解しておきましょう。
暦年贈与
暦年贈与の場合、受け取った財産が「特例贈与財産」か「一般贈与財産」かによって計算方法が異なります。
・特例贈与財産の計算方法
特例贈与財産とは、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の人が、両親や祖父母などといった直系尊属から受け取った財産を指します。
受け取った財産が特例贈与財産にあたる場合の贈与税の計算は、下表をもとに算出します。
特例贈与財産の場合、一般贈与財産よりも税率や控除額が優遇されます。
贈与税の速算表【特例贈与財産用】
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | − |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
たとえば、祖父から500万円の財産を受け取ったとしましょう。
その際には110万円の基礎控除額が適用されますので、課税対象となる財産の額は390万円です。
そして、390万円に応じた税率と控除額を当てはめて計算します。
390万円×15%-10万円=48万5,000円
最終的な贈与税額は48万5,000円です。
・一般贈与財産の計算方法
一般贈与財産とは、特例贈与財産に該当しない財産を指します。
そして、受け取った財産が一般贈与財産に該当する場合は、下表をもとに計算します。
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | − |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,500万円超 | 55% | 400万円 |
500万円の一般贈与財産を受け取った際の贈与税額は、
390万円×20%-25万円=53万円
となり、特例贈与財産の場合よりも多くの贈与税額を支払うことになります。
なかには、一般贈与財産と特例贈与財産の両方を受け取るケースもあるでしょう。
その際には、全体の贈与財産に占めるそれぞれの財産の割合に応じた計算式で贈与税額を求めます。
特例贈与財産200万円、一般贈与財産300万円を1年間に受け取ったとしましょう。
その際の計算方法は以下のとおりです。
・特例贈与財産の税額=(390万円×15%-10万円)×(200万円÷500万円)=19万4,000円
・一般贈与財産の税額=(390万円×20%-25万円)×(300万円÷500万円)=31万8,000円
2つの税額を合計した51万2,000円(=19万4,000円+31万8,000円)が最終的な贈与税額です。
相続時精算課税の計算方法
相続時精算課税の計算方法は、2024年の制度改正によって変わりました。
従来、相続時精算課税を選択すると暦年課税の基礎控除(年間110万円)が適用されませんでしたが、2024年以降は相続時精算課税においても年間110万円の基礎控除が適用されるようになりました。
これにより、小額の贈与に対して柔軟に非課税の恩恵を受けることが可能です。
この基礎控除の新設により、相続時精算課税を選択した場合でも、年間110万円以下の贈与に贈与税が発生しないため、贈与額の調整が容易になりました。
ここでは改正後の計算方法を解説します。
相続時精算課税を選択し、2024年1月1日以降、祖父から生前に累計3,000万円の贈与を受けていたとしましょう。
まず110万円の基礎控除が適用されますので、相続時精算課税対象額は2,890万円です。
相続時精算課税では2,500万円を超えた部分について一律20%の贈与税がかかるので、2,890万円-2,500万円=390万円×20%=78万円を納付しなければなりません。
ただし、納付した78万円はその後祖父が亡くなった時の相続税計算の際に差し引かれます。
仮に相続税がかからなかった場合は、78万円が還付されます。
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贈与税が非課税になるケース
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財産を受け取った場合でも、贈与税が非課税になる特例があります。
特例に当てはまる場合は別途手続きが必要ですが、どのような特例があるのか確認しておきましょう。
1.扶養義務者からの贈与で要件を満たすもの
扶養義務者とは、親子や夫婦、兄弟姉妹の関係にある人を指します。
扶養義務者から生活費や教育費のために受け取った財産で、通念上必要だと認められるものには贈与税がかかりません。
たとえば、自宅外通学の子どもの生活費や、学校に通うための学費・教材費などは非課税です。
もちろん、病気やケガの際の治療費も通念上必要だと認められます。
扶養義務者からの贈与で、上記の要件を満たすものについては非課税扱いとなり、特別な手続きは不要です。
ただし、生活費や学費などに充当するために親が子どもに渡したお金を、子どもが資産運用など別の目的に利用していた場合は要件を満たさないため、贈与税の課税対象になります。
また、冠婚葬祭の際に受け取る香典やお祝い、お花代や年末年始の挨拶のために送る品などについても、通念上妥当と認められるものは非課税です。
2.贈与税の配偶者控除に該当するもの
夫婦間で、居住用の不動産もしくは居住用の不動産を購入するためのお金を贈与した場合は、贈与税の基礎控除額110万円とは別に最高2,000万円の控除を受けられます。
ただし、この特例の適用を受けるためには、婚姻期間が20年以上あることの他、以下の要件を満たす必要があります。
・夫婦の相手側(配偶者)から受け取った財産が居住用の不動産であること、もしくは居住用の不動産を購入するためのお金であること
・財産を受け取った年の翌年3月15日までに、受け取った居住用の不動産もしくは受け取ったお金で購入した居住用の不動産に、財産を受け取った人が現実に住み、その後も引き続き住む見込みがあること
ここでいう居住用の不動産とは居住するための土地または土地の上に建っている家屋を指し、さらに国内にあるものに限られます。
この特例の適用は、配偶者が同じ場合は一生に一度しか受けられません。
また、特例の適用を受けるためには、必要書類を添付した上で贈与税の申告をしなければならないことを覚えておきましょう。
3.教育資金の一括贈与に該当するもの
父母や祖父母など直系尊属から、教育資金に充てるための費用として受け取った金銭については、1,500万円までが非課税になります。
この特例の適用を受けるためには、お金を受け取る人が30歳未満でなければなりません。
また、金融機関に教育資金非課税申告書を提出する必要があります。
ここでいう教育資金には、学校に対して直接支払う入学金や授業料、教材の購入費用などの他、塾や習い事など学校外に支払う費用も含まれます。
ただし、学校外に対して支払う費用は500万円までです。
現時点では2026年3月31日までに受け取った金銭に適用されますが、その後期間が延長されるかどうかもチェックしておきましょう。
4.結婚・子育て資金の一括贈与に該当するもの
教育資金と同様に、直系尊属である親や祖父母から受け取った結婚や子育て資金についても非課税になる特例が用意されています。
結婚に関して支払う費用は300万円までです。
子育て資金は、妊娠や出産および育児にかかる費用が該当します。
不妊治療の費用にも適用される点は注目すべきです。
お金を受け取る人が18歳以上50歳未満に限られますが、金融機関に結婚子育て資金非課税申告書を提出することで1,000万円までが非課税になります。
ただし、お金を受け取る人の前年の合計所得金額が1,000万円を超える場合は適用対象外になるため、注意してください。
この特例は、2025年3月31日までに受け取った結婚および子育て資金に適用されます。
今後この特例の適用期間が延長されるかどうか、教育資金の非課税特例と同様にチェックしておきましょう。
5.その他
また、以下に当てはまるものにも贈与税はかかりません。
・公益事業をおこなう一定の人が取得した財産で、公益目的の事業に使われることが確定しているもの
・奨学金の目的で交付されるもので、一定の要件を満たすもの
・特別障害者などが利用できる信託受益権について、障害者非課税信託申告書を信託会社に提出した場合、6,000万円までの金額(ただし、特別障害者以外の障害者の場合は3,000万円が限度)
まとめ
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1年間(1月1日~12月31日)に他人から財産を受け取った場合、基礎控除額の110万円を超える部分に贈与税が課されます。
この110万円は、受け取った人の年間合計額に基づいて計算されます。
たとえば、1人から50万円受け取った場合には贈与税はかかりませんが、複数の人からの合計が110万円を超えると税金が発生します。
ただし、相続時精算課税を選ぶと、累計2,500万円までが非課税になります。
さらに、夫婦間贈与や教育資金、結婚・子育て資金などには特例があり、一定額まで非課税です。
これらの特例や相続時精算課税制度を利用するには事前手続きが必要で、利用要件や必要書類を確認することが重要です。
また、贈与税の納付期限に間に合わない場合には、延納制度を活用できる可能性があるため、早めに税務署に相談することをおすすめします。
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贈与税は110万円以下でもかかることがある?生前贈与の注意点を解説
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公式サイト:https://marron-financial.com/
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(提供:ACNコラム)