楽天証券はやめたほうがいい?デメリットを解消できる証券会社も紹介

楽天証券は、楽天グループの業績が悪いことやサービスの改悪が複数回あったことから、「やめたほうがいい」という人がいます。

たしかに将来的な不安点が全くないとはいえません。

しかし、楽天グループのサービスを利用するのなら楽天証券も選択肢に入れてもいいでしょう。

本記事では、楽天証券のデメリットやデメリットを解消できる証券会社について紹介します。

楽天証券が向いている人、向いていない人も解説しているので、証券会社選びに迷っている人は参考にしてください。

  1. 楽天証券が「やめたほうがいい」といわれてしまう4つの理由
    1. 1. グループの業績が悪く将来的な不安がある
    2. 2. 楽天ポイントの仕組みがわかりにくい
    3. 3. IPOに弱い
    4. 4. 親会社が中国からの出資を受けたことがある
  2. 楽天証券のデメリットを解消できる証券会社
    1. SBI証券|業績が安定している
    2. マネックス証券|ポイントの仕組みがわかりやすい
    3. SBI証券|IPOに強い
  3. やめたほうがいいといわれても楽天証券が1,000万口座を突破できた3つの理由
    1. 1.楽天グループとの連携で得られるので特典が豊富
    2. 2.日経新聞が無料で読めるなどサービスが充実
    3. 3.わかりやすく使いやすいスマートフォンのアプリ
  4. 楽天証券が向いている人
    1. 1.楽天銀行・楽天カード・楽天市場を使う人
    2. 2.アプリのわかりやすさや操作性を重視する人
    3. 3.楽天ポイントを投資に使いたい人
  5. 楽天証券が向いていない人
    1. 1.楽天グループのサービスを使う予定がない人
    2. 2.IPOへ投資してみたい人
    3. 3.iDeCoを始めようと思っている人
  6. 楽天証券と他の大手ネット証券を比較
    1. SBI証券との比較
    2. マネックス証券との比較
    3. auカブコム証券との比較
    4. 松井証券との比較
  7. 楽天証券で投資を始めるのが不安な人からよくある質問
    1. 万が一潰れたらどうなる?
    2. 楽天証券は赤字なの?
  8. まとめ|楽天会員なら楽天証券の利用も選択肢の一つ

楽天証券が「やめたほうがいい」といわれてしまう4つの理由

楽天証券が「やめたほうがいい」といわれてしまう主な理由は、以下の4つです。

1.グループの業績が悪く将来的な不安がある

楽天証券は、グループ全体の業績が悪いため将来的な不安があります。

楽天グループが2024年2月14日に公表した決算(2023年12月期)は、約3,394億円の赤字でした。

楽天証券自体は、黒字を維持しているものの楽天モバイルの赤字が大きく響いています。

また楽天グループは、黒字化を目指してモバイル事業に注力していますが、このまま赤字が続いた場合、また楽天証券のサービスの改悪があっても不思議ではありません。

実際に楽天証券では、クレカ積立のポイント還元率が一部銘柄で0.2%に改悪されたあと0.5%に変更されています。

投資信託の保有でもらえるポイントも残高達成時に1回だけ付与される仕組みに改悪されました。

2024年2月23日現在では、一部銘柄で投信保有ポイントが復活していますが、対象銘柄はたったの6銘柄です。

グループの業績が良い証券会社を選びたい人はこちら

楽天ポイントの仕組みがわかりにくい

楽天証券では、楽天ポイントとは別に「楽天証券ポイント」があり、あまりにも似た名前なのでわかりにくいです。

【楽天ポイントと楽天証券ポイントの違い】

楽天ポイント 楽天証券
ポイント
ポイント投資
対象商品
投資信託
日本株
米国株
投資信託
使えるシーン ポイント投資
グループのサービス利用
ポイント投資
楽天ポイントなどへ交換

楽天ポイントのなかでも「通常ポイント」と「期間限定ポイント」で扱いが異なり、ポイント投資は、通常ポイントしか使えません。

楽天会員であれば慣れているので問題ありませんが、これから楽天のサービスを使おうと考えている人は、戸惑うこともあるでしょう。

IPOに弱い

ネット証券はSBI証券を除いてIPOに弱い傾向です。

IPO(新規公開株)は、証券会社によって取り扱いの有無や引受株数が異なり、IPOで中心的な役割を担う主幹事証券が株数のほとんどを引き受けています。

直近の実績を見ると、ネット証券はSBI証券を除いて主幹事証券に選ばれていません。

楽天証券は、IPOの完全平等抽選を自社の魅力とアピールしていますが、裏を返せば株数があまりにも少ないため、平等抽選にするしかないといえます。

親会社が中国からの出資を受けたことがある

楽天グループは2021年にテンセントの子会社から出資を受けています。

楽天証券が中国からの出資を受けたわけではありませんが、中国からの出資を受けたことは日米両政府が懸念を示したことでニュースにもなりました。

楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は「なぜ大騒ぎしているのか意味がわからない」との反応を示しました。

楽天グループが金融や通信インフラを担っている以上、政府が中国からの出資に敏感になるのは当然です。

そのため楽天グループを嫌う人はもちろん、楽天のサービス利用者からも中国資本が入っていることから利用を控える声もあります。

楽天証券や楽天銀行をはじめとした金融系のグループ会社に直接出資しているわけではありませんが、良い印象は持つ人は少ないでしょう。

楽天証券のデメリットを解消できる証券会社

楽天証券のデメリットが気になる人は、デメリットを解消できる証券会社を選びましょう。

SBI証券|業績が安定している

グループの業績が安定しているのは、SBI証券です。

SBIホールディングスの業績は、2023年4月~12月の間で596億円の黒字になっています。

以下の表を見てもわかるとおり、SBI証券の利益は他の大手ネット証券を圧倒しています。

【大手ネット証券5社の純利益(2023年4~12月)】

SBI証券 約362億2,100万円
楽天証券 約135億700万円
松井証券 約70億2,900万円
マネックス証券 約65億4,200万円
auカブコム証券 約17億3,100万円

業績の安定は、サービスの安定や拡充にもつながるので、サービスの改悪で振り回されたくないならSBI証券を選びましょう。

\グループ全体の業績も安定している/

マネックス証券|ポイントの仕組みがわかりやすい

マネックス証券
画像引用:マネックス証券

ポイントの仕組みは、楽天証券よりもマネックス証券のほうがわかりやすいです。

ポイントは、マネックスポイントの1種類でマネックスカードを使うことでポイントが貯まります。

クレカ積立(クレジットカード決済でできる投信積立)のポイント還元率は1.1%、2024年9月末までは2.2%あり楽天証券の0.5~1.0%よりも高いのが特徴です。

マネックスポイントは、積み立て以外の投資信託にしかポイント投資ができませんが、Tポイントやdポイント、Amazonギフトカード、Pontaポイントに交換できます。

複数のポイントを使い分けている人は、マネックス証券が使いやすいでしょう。

\クレカ積立のポイント還元率が高い/

SBI証券|IPOに強い

SBI証券
画像引用:SBI証券

SBI証券のIPOは、ネット証券のなかで圧倒的な実績を誇ります。

引受株数が多い主幹事の実績があるのはSBI証券だけです。

【大手ネット証券5社のIPOの実績(2023年4~12月)】

実績数 うち主幹事数
SBI証券 74社 17社
松井証券 53社 0社
楽天証券 48社 0社
マネックス証券 42社 0社
auカブコム証券 22社 0社

ネット証券のなかでは、主幹事数の豊富なSBI証券のほうがIPO投資がしやすいといえます。

\IPOの実績数が業界最多/

やめたほうがいいといわれても楽天証券が1,000万口座を突破できた3つの理由

さまざまなデメリットやメリットがある楽天証券ですが、本当にやめたほうがいいのなら、業界最大手のSBI証券に次いで多い口座数にはなりません。

ここでは、楽天証券が1,000万口座を突破できた3つの理由を解説します。

1.楽天グループとの連携で得られるので特典が豊富

楽天証券
※普通預金の残高が300万円以下の場合、300万円を超える分は0.04%
画像引用:楽天証券

楽天証券は、楽天グループとの連携で得られる特典が豊富です。

楽天証券と楽天銀行に口座開設してマネーブリッジに申し込むと、楽天銀行の普通預金金利が最大0.1%に上がります。

また楽天カードを使えばクレカ積立ができ、積立金額に応じて0.5~1.0%の楽天ポイントが貯まります。

貯まった楽天ポイントは投資信託や日本株、米国株に投資できるので、楽天グループのサービス利用者は楽天証券が使いやすいでしょう。

\楽天グループのサービス利用者におすすめ/

2.日経新聞が無料で読めるなどサービスが充実

楽天証券
画像引用:楽天証券

日経新聞が読める「日経テレコン」を無料で提供しているのは、大手ネット証券のなかでは楽天証券だけです。

新聞を閲覧できるのは、直近3日分に限られますが、日経電子版の料金が月4,277円かかることを考えれば十分でしょう。

手数料無料化などのサービス拡充も、SBI証券に追随して実施しています。

\月4,000円以上の情報が無料で読める/

3.わかりやすく使いやすいスマートフォンのアプリ

楽天証券
画像引用:楽天証券

楽天証券は、わかりやすく使いやすいスマートフォンのアプリがあります。

楽天証券のスマホアプリ「iSPEED」は、日本株と米国株が取引できるだけでなく銘柄ごとのニュースの確認や資産のチェックがアプリ内で簡単にできます。

利用者の評価も高く、App Storeのレビューでは4.5です。

アプリの評価の高さは口座数にも反映されており、NISAの口座数は515万口座とSBI証券(438万口座)を上回っています(2023年12月末時点)。

\NISA口座数は業界最多/

楽天証券が向いている人

ここでは楽天証券が向いている人のタイプを解説します。

楽天証券が向いている人は以下の3つタイプになります。

1.楽天銀行・楽天カード・楽天市場を使う人

楽天銀行、楽天カード、楽天市場の3つは、楽天グループのなかでも楽天証券と特に相性が良いです。

楽天銀行との連携(マネーブリッジ)は、預金金利が最大0.1%まで上がります。

楽天証券は、楽天カードによるクレカ積立に対応しており、カードのランクに応じて0.5~1.0%の楽天ポイントが貯まる点が魅力です。

【楽天証券のクレカ積立】

カード名 ポイント還元率
(クレカ積立)
年会費
楽天プレミアム
カード
1.0% 1万1,000円
楽天ゴールド
カード
0.75%(※) 2,200円
楽天カード 0.5%(※) 永年無料
※投資信託の信託報酬(保有コスト)のうち楽天証券が受け取る手数料が税込0.4%以上の銘柄はポイント還元率1.0%
(2024年2月23日現在、CRAZY MONEY Plus編集部調べ)

楽天では、グループのサービスを使うと楽天市場のポイント還元率が上がるSPU(スーパーポイントアッププログラム)があり、楽天証券もSPUの対象です。

【楽天のSPU(楽天証券)】

条件 ポイント
還元率UP
・マネーブリッジの設定
・投資信託への投資金額が月3万円以上
・うち楽天ポイントを1ポイント以上利用
0.5%
・マネーブリッジの設定
・米国株への投資金額が月3万円以上
・うち楽天ポイントを1ポイント以上利用
0.5%
(2024年2月23日現在、CRAZY MONEY Plus編集部調べ)

楽天グループのサービス利用者や、これから利用していきたい人は、楽天証券を選びましょう。

\楽天グループのサービスがおトクに使える/

2.アプリのわかりやすさや操作性を重視する人

楽天証券
画像引用:楽天証券

楽天証券のアプリは、わかりやすく操作性も良いと定評があります。

株アプリ「iSPEED」は、情報量が豊富なだけでなく直感的に操作できます

ネット証券最大手のSBI証券と比べて、アプリの評価も高い傾向です。

【株アプリの評価】

楽天証券 SBI証券
App Store ★4.5 ★2.5
Google Play ★3.5 ★3.4
※SBI証券は日本株アプリと米国株アプリの平均
(2024年2月23日現在、CRAZY MONEY Plus編集部調べ)

アプリだけでなくスマホやPCのサイトでも、どこに何があるのかがすぐわかります。

アプリやサイトのわかりやすさや操作性を重視する方は楽天証券を選びましょう。

\アプリやサイトがわかりやすい/

3.楽天ポイントを投資に使いたい人

楽天ポイントを投資信託や株への投資に使いたい場合は、楽天証券しか選択肢がありません。

楽天証券のポイント投資は、大手ネット証券で唯一、米国株にも対応しています。

※単元未満株:1~99株の日本株
(2024年2月23日現在、CRAZY MONEY Plus編集部調べ)

楽天証券が向いていない人

続いては楽天証券が向いてない人のタイプを紹介します。

楽天証券が向いてない人は以下の3つのタイプです。

1.楽天グループのサービスを使う予定がない人

楽天グループのサービスを使う予定がない場合、楽天証券は向いてないといえるでしょう。

楽天は、自社グループのサービス利用に応じて楽天ポイントを付与し、ポイントを使ってもらうことで「楽天経済圏」を形成しています。

楽天証券に口座開設しても、楽天銀行や楽天カードを利用しないのであれば、銀行との連携やクレカ積立によるメリットは享受できません。

実際に楽天証券のユーザーの83.9%(2023年12月時点)は楽天会員です。

楽天グループのサービスを使わない場合は、楽天証券でなくてもいいでしょう。

他におすすめの証券会社が知りたい人はこちら
新NISAにおすすめの証券会社はどこ?各社の特徴を踏まえつつ解説

2.IPOへ投資してみたい人

IPOへ投資したい人は、業界最多の実績数を誇るSBI証券がおすすめです。

IPOは毎回抽選があり、当たる可能性はどの証券会社でも決して高くはありませんが、実績数の多いSBI証券のほうがいいでしょう。

なお資産1億円以上の富裕層であれば、SMBC日興証券や大和証券、野村證券などの大手対面証券のほうが当たりやすい傾向にあります。

\IPOの実績数が業界最多/

3.iDeCoを始めようと思っている人

iDeCoを始めようと思っている場合は、業界最多の口座数を誇るSBI証券がおすすめです。

楽天証券では、業界最低水準の運用コストを目指し続ける「eMAXIS Slimシリーズ」の取り扱いがありません。

一方、SBI証券は「eMAXIS Slimシリーズ」を8銘柄取り扱っており、低コストで長期投資ができます。

iDeCoは、人によっては30年以上運用することもあるため、コストの低い銘柄を豊富に取り扱うSBI証券がいいでしょう。

\低コスト銘柄の取り扱いが豊富/

楽天証券と他の大手ネット証券を比較

楽天証券は、大手ネット証券の一つですが、他に4社(SBI証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券)あります。

新NISAで日本株や米国株の手数料が無料または実質無料になる大手ネット証券5社から選ぶといいでしょう。

※手数料は新NISAで投資する場合
※2024年2月28日時点でロシア株の売買は停止中
(2024年2月28日時点、CRAZY MONEY Plus編集部調べ)

SBI証券との比較

SBI証券
画像引用:SBI証券

IPO投資やiDeCoを始めたい場合は、SBI証券がおすすめです。新NISAで投資を始める人で楽天ポイントを利用しているなら楽天証券を選びましょう。

SBI証券との比較について詳しくはこちら
SBI証券と楽天証券はどう使い分ける?どっちがいいのかも7項目で比較

マネックス証券との比較

マネックス証券
※2024年9月30日まで
画像引用:マネックス証券

クレカ積立でお得にポイントを貯めたい場合は、マネックス証券がおすすめです。

マネックス証券のクレカ積立は、口座開設後にマネックスカードの発行が必要になります。

そのため、楽天カードを使っていて別のカードを発行したくない場合は、楽天証券を選びましょう。

マネックス証券との比較について詳しくはこちら
マネックス証券と楽天証券を比較!つみたてNISAのおすすめや各社のメリットを紹介

auカブコム証券との比較

au PAY カードでクレカ積立をしたい場合は、auカブコム証券を選びましょう。

商品ラインナップは、楽天証券のほうが充実しているため、特にこだわりがないなら楽天証券がおすすめです。

auカブコム証券との比較について詳しくはこちら
auカブコム証券と楽天証券の比較!メリット・デメリットや他のおすすめ口座も紹介

松井証券との比較

松井証券
画像引用:松井証券

日本株や米国株について銘柄選びなどの相談をしたい場合は、松井証券がおすすめです。

松井証券の顧客サポートは、ネット証券のなかでも評判が良く対応が早くて丁寧です。

投資初心者ならば手厚いサポートは嬉しいでしょう。

顧客サポートをそこまで気にしないのなら、商品ラインナップが充実している楽天証券を選びましょう。

松井証券との比較について詳しくはこちら
松井証券と楽天証券、1社だけ選ぶならどっち?新NISAやiDeCoなど目的別に比較

楽天証券で投資を始めるのが不安な人からよくある質問

楽天証券で投資を始めるのが不安な人からよくある質問を2つ紹介します。

万が一潰れたらどうなる?

楽天証券が万が一潰れたとしても、顧客の資産と証券会社の資産は別々に管理するルールになっているため、ルールが守られる限りあなたの資産は保護されます。

万が一守られていない場合でも、1人あたり1,000万円までの株や投資信託、預り金などの資産は日本投資者保護基金により保護されます。

楽天証券は赤字なの?

楽天証券単体では黒字です。

楽天グループ全体では赤字が続いていますが、楽天証券そのものの経営は順調といえます。

まとめ|楽天会員なら楽天証券の利用も選択肢の一つ

楽天会員であれば、楽天証券を利用するのがいいでしょう。

楽天グループの赤字やサービスの改悪など将来的な懸念点はあるものの、楽天証券そのものは黒字です。

楽天会員であれば楽天カード、楽天銀行、楽天市場はすでに利用している可能性が高く、楽天証券との相性も良いでしょう。

余った楽天ポイント(通常ポイント)を投資に使えるメリットもあります。

楽天グループのサービス利用者、またはこれから利用していきたいと考える人は、楽天証券で投資を始めてみてはいかがでしょうか。

\楽天グループのサービス利用者におすすめ/

北川 真大

金融系ライター・個人投資家

明治大学法学部卒業後、証券会社に入社。入社後すぐに2級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得し、個人営業に従事。証券営業の経験をもとに金融系の記事執筆やKindle出版を開始し、現在はフリーライターとして活動中。日本株、投資信託、暗号資産、不動産を保有する個人投資家でもあり、日本株の投資歴は累計7年以上に及ぶ。

(提供:Crazy Money Plus+