高齢化が進む日本では、政府が退職年齢の引き上げ推進を行うなど、長く働いてもらえる環境作りに力を入れている。実際に70歳以上でも働ける制度がある企業は増加傾向だ。

しかし「長く働く」ということに関しては、自分の身体を使うだけではなく「お金に長く働いてもらう」という視点も持っておきたい。

日本で進むシニアの働く環境整備

70歳以上まで働ける企業は何% ? 「収入の柱を増やす」視点も持とう
(画像=ponta1414 / stock.adobe.com)

日本政府は、シニアの働く環境を整備するため、以下の3つの柱で政策を進めている。

  • 企業における高年齢者雇用の拡大
  • 地域における多様な雇用・就業機会の確保
  • 企業や高年齢者を支えるための支援

企業における高年齢者雇用の拡大に向けては「65歳超雇用推進助成金」の支給や事業主に対する相談・援助サービスの提供などに取り組んでいる。

また、地域における多様な雇用・就業機会の確保を進めるために、シルバー人材センター事業の推進施策も実施。さらに、ハローワークなどを通じて高年齢者を雇用する事業主への助成や主要なハローワークにおける「生涯現役支援窓口」の設置を行い、企業や高年齢者への支援を行っている。

70歳以上まで働ける企業は何% ?

日本政府の取り組みもあり、高年齢者の雇用に関する状況は改善している。以下の表は、厚生労働省が発表した令和4年「高年齢者雇用状況等報告」より、「66歳以上」「70歳以上」まで働ける制度がある企業の割合をまとめたものだ。

同報告では、常時雇用する労働者が21~300人規模の企業を「中小企業」、301人以上規模の企業を「大企業」としており、中小企業・大企業ともに前年調査よりも状況が良くなっていることが分かる。

【66歳以上まで働ける制度がある企業の状況】

種別割合前年調査比
全企業40.7%2.4ポイント増
大企業37.1%3.0ポイント増
中小企業41.0%2.3ポイント増

【70歳以上まで働ける制度がある企業の状況】

種別割合前年調査比
全企業39.1%2.5ポイント増
大企業35.1%3.0ポイント増
中小企業39.4%2.4ポイント増

一方、「定年制廃止企業等の状況」は以下の通りだ。定年制廃止企業が増えていないのは、定年制を廃止するよりも定年年齢を引き上げたり、継続雇用制度を導入したりして高年齢者の雇用確保に取り組んでいる企業が多いためである。

【定年制廃止企業等の状況】

種別割合前年調査比
全企業3.9%0.1ポイント減
大企業0.6%変動なし
中小企業4.2%変動なし

「収入の柱を増やす」視点も持とう

70歳以上でも働ける企業が増えるのはいいことだが、加齢とともに体力は衰えていく。体力が落ちれば働ける時間も減り、いずれ病気などで働けなくなる可能性もある。そのため「長く働く」ということだけではなく、資産運用で「収入の柱を増やす」という視点も持っておきたい。

資産運用は、長く続けることで資産の増加幅が大きくなっていきやすいため、老後を待たずにできるだけ早めに取り組み始めることが重要だ。

初心者でも取り組みやすい資産運用法

ここでは、初心者でも取り組みやすい資産運用の方法を5つ紹介する。

単元未満株

単元未満株は、通常100株単位の取引となる日本株を1株単位で取引できるサービスだ。少額投資ができるため、初心者がリスクを抑えて資産運用を始めたい場合に向いている。ただし、通常の株式取引に比べて手数料が割高になるケースもある点には注意したい。

個人向け国債

個人向け国債とは、個人が購入できる日本国債のことで、国が元本と利子の支払いを行うことから安全度が高い。ただし、リターンはさまざまな資産運用のなかでは小さいため、投資資金すべてを個人向け国債に充てると利益に物足りなさが出てくる。

ロボアドバイザー

ロボアドバイザーとは、いくつかの質問に答えるだけで自分にとって最適な資産配分などを提案してくれる金融サービスのことだ。初心者には心強いが、必ず利益が出ることが保証されているわけでない。最終的にその提案通りに投資するかは、自分でもある程度情報収集したうえで決める必要がある。

ETF

ETFとは、上場している投資信託のことだ。投資信託を保有すると分散投資がしやすくなり、特定の資産や銘柄の下落によるダメージを抑えることにつながる。ただし、投資信託にはリスクが高めの商品もあるため、よく内容を調べてから選定するようにしたい。

外貨預金

外貨預金は、円預金よりも高い金利収入を安定的に得られることが魅力だ。ただ保有を続けていれば利息が得られるため、初心者でも取り組みやすい。為替変動により含み損が出ることもあるが、安定的に入る金利収入によって損失のカバーを目指す方法や、複数の外貨を保有してリスクを分散する方法もある。

少しでも早く資産運用を始めよう

収入の柱を増やすために資産運用を行う場合は、「複利効果」を意識して少しでも早くスタートすることが大切だ。複利効果とは、運用益を再投資することでその運用益がさらなる運用益を生み、利益が増えるスピードが加速する仕組みのことを指す。

また、資産運用はリスクを抑えるために複数の金融商品を組み合わせることもポイントだ。本稿で紹介した5つの資産運用の方法を自分用に組み合わせ、早速資産運用にチャレンジしてみてはいかがだろうか。

(提供:大和ネクスト銀行


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