自分の将来の家計について考えるうえで、収入面だけではなく支出面について関心を持つことも重要だ。総務省が毎年公表している「家計調査」では、消費支出の前年からの増減率が明らかになっている。費目別で負担増と負担減のTOP3は、それぞれ何なのだろうか。本記事では、家計支出に着目し、負担増に備える術も紹介する。
家計支出の負担増・負担減TOP3は ?
総務省が2024年2月に発表した「家計調査報告」では、2023年 (令和5年) の平均データとして2人以上世帯の消費支出の費目別増減率が「名目」と「実質」でそれぞれ明らかになっている。「名目」は実際の金額を単純比較した増減率、「実質」は物価の変動を加味した増減率だ。ここでは、より負担の実態が反映されやすい実質の値を引用する。
消費支出の費目別の負担増・負担減TOP3は、以下のとおりだ。
【消費支出の負担増TOP3】
費目 | 支出金額 | 対前年増減率 (実質) |
---|---|---|
光熱・水道 | 2万3,855円 | +4.3% |
教養娯楽 | 2万9,765円 | +3.4% |
交通・通信 | 4万2,838円 | +0.6% |
負担増の1位となったのが「光熱・水道」で、電気代やガス代の増加が負担増に直結した。次いで2位が「教養娯楽」、3位が「交通・通信」となっている。
【消費支出の負担減TOP3】
費目 | 支出金額 | 対前年増減率 (実質) |
---|---|---|
教育 | 1万448円 | -9.8% |
家具・家事用品 | 1万2,375円 | -7.4% |
住居 | 1万8,013円 | -6.9% |
負担減の1位は「教育」で、授業料や補習教育に関する費用の減少が負担減に寄与した。次いで2位が「家具・家事用品」、3位が「住居」となっている。
家計支出は今後増える ? 減る ?
このように費目別の増減データを見ると、支出が家計に与える影響をより詳しく分析できる。同時に家計支出の増減に影響を与えるさまざまな根本的要因を知っておけば、「今後家計支出が増えていくのか減っていくのか」について予測しやすくなる。
増える要因となり得ることは ?
家計支出が全体的に増える基本的な要因となるのが「インフレ (物価上昇) 」だ。世界的に原油価格が上がったり、円安によって輸入商品の価格が上がったりすると、インフレになりやすくなる。
減る要因となり得ることは ?
逆に「デフレ (物価下落) 」の場合は、家計支出が減りやすい。景気が弱くなったり、円高によって安い輸入品が増えたりすると、デフレが起きやすくなる。ただしデフレは景気後退を助長しやすいため、結果的に世帯収支にマイナスの影響を与えやすい。
負担増というリスクに備える術
「将来的にインフレになるかデフレになるか」については、正確に予測することはできない。しかし、インフレによる負担増のリスクに備えることは可能だ。ここでは、インフレへの備えとしての3つのアプローチを紹介しよう。
支出を減らす
1つ目は、支出を減らすことだ。例えば食費の節約などが思い浮かぶかもしれない。しかし無理なコスト減は、QOL (生活の質) の低下に結びつくため、まずは「契約したが利用していないサブスクを解約する」など、生活の質を落とさずに最低限取り組めることから始めたい。
収入を増やす
支出を減らさなくても収入を増やすことができれば、家計は楽になる。近年は、リタイア後を見据え、年齢に関係なくずっと続けられる副業に取り組み始める40代や50代も少なくない。本業に差し支えがない範囲で、副業を始めることを検討してみてはいかがだろうか。
資産運用を始める
資産運用をまだ始めていない場合は、今すぐ検討してみよう。資産運用の方法にはさまざまな種類があり、初心者でも始めやすいものも複数ある。運用で得たリターンを再投資することで資産が膨らむスピードが加速する「複利効果」の面から考えても、早く始めるに越したことはない。
代表的な資産運用の方法は ?
資産運用には、さまざまな手法がある。ここでは、代表的な方法を3つ紹介する。
株式投資
株式投資は、個別株を保有して売却益と配当でリターンを得ていく方法だ。個別株は、企業業績の好調さなどで株価が急騰すれば大きなリターンを得ることができる。一方で、株価の急落は多大な損失を招きかねない。また、保有する株式を決めるための分析には、ある程度の時間と知識が必要だ。
インデックス型の投資信託
株価指数の値動きとの連動性が高いインデックス型の投資信託は、投資初心者向きだ。株価指数は、数多くの株式で構成されているため、自動的に分散投資ができていることになる。ただし、短期的に大きなリターンを得ることは難しい。
外貨預金
外貨預金は、円預金より高い金利がつく外貨で預金をし、安定的に利息を得ていく資産運用だ。為替差益が出る可能性がある一方で、為替差損が発生する場合もあるが、利息で安定的にリターンを得られるメリットに着目し取り組む人は多い。
思い立ったが吉日
家計負担が将来的に減るか増えるかは、誰にも分からない。しかし負担増に対する備えをしておくことは重要だ。資産運用で資産を増やせば「負担が増える」というシナリオに対応できる。
早くから始めることができれば、複利効果によって資産が増えるスピードもどんどん速くなっていく。思い立ったが吉日、早速取り組んでみてはいかがだろうか。
(提供:大和ネクスト銀行)
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