ETFで積立投資を始めよう!やり方も紹介

ETF(上場投資信託)とは、株のように取引できる投資信託のことです。

投資信託の積み立てと同様に、ETFでも積立投資ができます。

投資信託よりもコスト(信託報酬)が低い点はメリットなので、興味がある人はETFの積立投資を始めてみましょう。

この記事では、ETFで積立投資を行うメリットやデメリット、そしておすすめの銘柄やネット証券などを紹介します。

  1. ETFとは
    1. ETFと投資信託との違い
  2. ETFで積立投資をするメリット
    1. 1.投資信託よりも低コストで投資できる
    2. 2.銘柄選びが楽
    3. 3.投資タイミングに悩まずに済む
  3. ETFで積立投資をするデメリット
    1. 1.自動積立設定ができない場合がある
    2. 2.分配金が自動で再投資されない
    3. 3.銘柄数が投資信託に比べて少ない
  4. おすすめETFの銘柄5選
    1. 1. NEXT FUNDS日経平均225連動型上場投信
    2. 2. バンガード・トータルストックマーケットETF (VTI)
    3. 3. SPDR S&P 500 ETF Trust (SPY)
    4. 4. NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信
    5. 5. iシェアーズ・コア米国高配当株ETF (HDV)
  5. ETFをはじめるのにおすすめのネット証券5選
    1. SBI証券
    2. 楽天証券
    3. マネックス証券
    4. auカブコム証券
    5. 松井証券
  6. ETFで積立投資をする際の注意点
    1. 1.投資信託と比べて必要金額が大きい
    2. 2.クレカ積立に対応していないのでポイントが貯まらない
  7. まとめ

ETFとは

ETFは「Exchange Traded Fund」の略で、日本語では「上場投資信託」と呼ばれます。

投資信託の一種ですが、株式のように証券取引所に上場しており、株式と同様に売買できるのが最大の特徴です。

ETFは、特定の指数(例えば日経平均株価やTOPIX、S&P500など)に連動するように運用されるものが多く、その指数に採用されている複数の銘柄にまとめて投資するのと同じ効果があります。

そのため、個別銘柄を選ぶ手間を省きながら、分散投資を手軽に行うことができます。

例えば、「日経225連動型ETF」を購入すれば、日経平均株価を構成する225銘柄にまとめて投資したことになります。

ETFは、株式市場が開いている時間帯であれば、リアルタイムの価格で売買できます。

指値注文や成行注文も可能で、株式投資と同じように取引できます。

また、一般的な投資信託に比べて信託報酬(運用にかかる費用)が低い傾向にあるのもメリットです。

ETFと投資信託との違い

ETFと一般的な投資信託の最も大きな違いは、「上場しているかどうか」です。

この違いが、取引方法や価格決定方法などに影響を与えています。

ETFは証券取引所に上場しているため、株式と同じように取引時間中にリアルタイムで売買できます。

株価のように価格が変動するため、市場の状況を見ながら、指値注文(希望の価格を指定して注文)や成行注文(現在の価格で注文)が可能です。

一方、一般的な投資信託は、1日に1回算出される基準価額でしか取引できません。

そのため、注文を出しても実際にいくらで取引されるかは、その日の取引が終わるまでわかりません。

また、ETFは証券会社を通じてのみ購入できますが、投資信託は証券会社だけでなく、銀行や郵便局などでも購入できます。

信託報酬(運用にかかる費用)は、一般的にETFの方が低い傾向にあります。

これは、ETFの運用方法が比較的シンプルであることが多いためです。

簡単にいえば、ETFは株式のように手軽に売買できる投資信託、投資信託はまとめて複数の銘柄に投資できるパッケージ商品のようなイメージです。

どちらを選ぶかは、投資スタイルや重視する点によって異なります。

例えば、頻繁に売買したい場合はETF、長期保有を考えていて手間をかけたくない場合は投資信託が適しているといえるでしょう。

【ETFと投資信託の違い】

項目 ETF
(上場投資信託)
投資信託
取引方法 証券取引所でリアルタイムに売買可能 証券会社や銀行を通じて基準価額で取引
取引価格の
変動
市場の動きに応じてリアルタイムで変動 1日1回、基準価額が更新される
最低
購入金額
1株単位
(数千円程度から購入可能)
数百円から購入可能
手数料 売買時に証券会社の取引手数料が発生 購入時や運用時の信託報酬がかかる
運用コスト 一般的に低コスト コストは商品によって幅がある
分配金 受け取ることが可能
(再投資型もあり)
基本的に再投資される
分散投資 幅広い市場や指数に連動し分散投資が可能 幅広いテーマや地域への分散投資が可能
運用の
自由度
自分で取引タイミングを選べる プロの運用者に任せられる
積立投資 一部の証券会社で可能 積立投資が容易
対象者 ある程度の知識を持ち、自分で取引したい人向け 初心者や長期積立を希望する人向け

ETFで積立投資をするメリット

ETFで積立投資をする主なメリットは以下の3つです。

1.投資信託よりも低コストで投資できる

ETFであれば投資信託よりも低コストで投資できます。

実際に主要な米国企業およそ500社に投資する投資信託と、ETFで比べるとETFのほうが低コストです。

【投資信託とETFのコスト(信託報酬)】

  eMAXIS Slim
米国株式
(S&P500)
VOO
(Vanguard S&P 500 ETF)
信託報酬
(年率)
0.09372%以内 0.03%
(2024年8月9日現在)

海外のETFに投資する場合、為替手数料がかかりますが、SBI証券・楽天証券・松井証券であれば米ドルの為替手数料は無料です。

為替手数料を考慮しても、ETFのほうが低コストで投資できます。

2.銘柄選びが楽

ETFは、銘柄数が投資信託と比べて少ないため、銘柄選びが楽です。

大手ネット証券の場合、投資信託の取扱銘柄数が2,000を超える会社もありますが、米国ETFなら多くても430程度です。

【大手ネット証券の投資信託・米国ETFの取扱銘柄数】

投資信託 米国ETF
SBI証券 2,565 394
楽天証券 2,572 417
マネックス証券 1,773 430
auカブコム証券 1,814 231
松井証券 1,887 412
(2024年8月17日現在)

ある程度投資先を決めてしまえば10~20前後に絞れるので、ETFのほうが圧倒的に選びやすいでしょう。

3.投資タイミングに悩まずに済む

積立投資であれば、投資タイミングに悩まずに済むでしょう。

買うタイミングの見極めは難しく、安いときに買おうと思っても「まだ下がるのでは」と考えてしまい、なかなか買えません。

毎月、毎日など積立日を指定しておけば、相場の動向に惑わされることなく購入できるでしょう。

大手ネット証券であれば、ETFの積立投資も簡単に設定できます。

ETFで積立投資をするデメリット

続いてはETFで積立投資をするデメリットを解説します。

1. 自動積立設定ができない場合がある

一般的な投資信託では、毎月決まった日に一定金額を自動的に積み立てる「自動積立設定」が可能です。

しかし、ETFは株式と同様に取引所を通じて売買されるため、証券会社によっては自動積立サービスに対応していない場合があります。

そのため、ETFで積立投資を行う場合は、自分で定期的に購入する必要があります。

ただし、最近では、ETFも株式累積投資(るいとう)の対象銘柄に組み込んでいる証券会社も出てきており、自動積立に近い形で投資できる場合もあります。

2.分配金が自動で再投資されない

ETFや投資信託は、決算時に利益や配当が分配金として現金で支払われます。

投資信託の場合、分配金を自動的に再投資するタイプの商品が多く、複利効果を効率的に得られます。

しかし、ETFでは分配金が自動で再投資されない場合がほとんどです。

そのため、分配金を再投資する場合は、自分でETFを買い増す必要があります。

ただし、分配金再投資型のETFも存在します。

3.銘柄数が投資信託に比べて少ない

銘柄数が投資信託に比べて少ないこともETFのデメリットの一つとして挙げられます。

投資信託は銘柄が非常に豊富なのに対し、それと比較しETFは約400銘柄程度(証券会社による)と、選択肢が限られています。

メリットとして、ETFの銘柄が少ないことをあげましたが、豊富な銘柄の中から選びたい人にとってはデメリットになるといえます。

また、これにより、特定の市場やテーマに対する投資機会が狭まる可能性があります。

さらには、銘柄数が少ないことでポートフォリオの分散効果が低下するリスクもあります。

投資信託は多様な資産に分散投資できるため、リスク管理がしやすいのに対し、ETFでは特定の指数に連動する商品が多く、特定のセクターや地域に偏った投資になりがちです。

さらに、ETFはリアルタイムで取引できるため、短期的な市場変動に敏感に反応する一方で、長期的な視点での安定した成長を求める投資家には不向きな場合もあります。

このように、ETFの銘柄数の少なさは、投資戦略の選択肢を狭め、リスク分散の面でも不利に働くことがあります。

おすすめETFの銘柄5選

ここでは、特におすすめのETFを5つ厳選して紹介します。

これらのETFは、日本経済や米国市場の動向を反映し、安定したリターンを期待できる商品です。

それぞれのETFの概要とおすすめの理由を詳しく解説し、投資家の皆様が自分に合った選択をするための参考にしていただければ幸いです。

1. NEXT FUNDS日経平均225連動型上場投信

NEXT FUNDS日経平均225連動型上場投信
※2025年1月27日時点、直近5年間の推移
画像引用:SBI証券 NEXT FUNDS日経平均225連動型上場投信

NEXT FUNDS日経平均225連動型上場投信は、日本の代表的な株価指数である日経平均株価に連動するETFです。

このETFは、日経225に含まれる225銘柄の株式を対象にしており、個別株に投資することなく、日本経済全体に分散投資が可能です。

特に、日経平均は日本の経済動向を反映するため、経済成長が期待される時期においては魅力的な投資先となります。

また、流動性が高く、リアルタイムで売買できるため、投資家にとって使いやすい商品です。

コストも比較的低く、長期的な資産形成に適しています。

2. バンガード・トータルストックマーケットETF (VTI)

バンガード・トータルストックマーケットETF (VTI)
※2025年1月27日時点、直近5年間の推移
画像引用:SBI証券 VANGUARD TOTAL STOCK MARKET ETF (VTI)

バンガード・トータルストックマーケットETFは、米国株式市場全体に投資することができるETFです。

このETFは、米国の大型株、中型株、小型株を含む約4,000銘柄に分散投資を行います。

これにより、特定の企業やセクターに依存せず、米国経済全体の成長を享受することが可能です。

低コストで運用されており、経費率も非常に低いため、長期投資に適しています。

また、配当も定期的に支払われるため、安定した収入源としても利用できます。

3. SPDR S&P 500 ETF Trust (SPY)

SPDR S&P 500 ETF Trust (SPY)
※2025年1月27日時点、直近5年間の推移
画像引用:SBI証券 SPDR S&P 500 ETF Trust (SPY)

SPDR S&P 500 ETF Trustは、米国の代表的な株価指数であるS&P 500に連動するETFです。

このETFは、米国の大型企業500社に投資することができ、分散投資の効果を享受できます。

S&P 500は、米国経済の健全性を示す指標として広く認識されており、長期的な成長が期待されます。

流動性が非常に高く、取引コストも低いため、短期的なトレードにも適しています。

また、配当も定期的に支払われるため、投資家にとって魅力的な選択肢となります。

4. NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信

NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信
※2025年1月27日時点、直近5年間の推移
画像引用:SBI証券 NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信

NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信は、東京証券取引所の全上場銘柄を対象としたTOPIXに連動するETFです。

このETFは、日本の株式市場全体に投資することができ、個別株のリスクを軽減しながら、日本経済の成長を享受することが可能です。

TOPIXは、時価総額加重平均型の指数であり、より広範な市場の動向を反映します。

流動性が高く、リアルタイムでの売買が可能なため、投資家にとって使いやすい商品です。

また、コストも低く、長期的な資産形成に適しています。

5. iシェアーズ・コア米国高配当株ETF (HDV)

iシェアーズ・コア米国高配当株ETF (HDV)
※2025年1月27日時点、直近5年間の推移
画像引用:SBI証券 iシェアーズ・コア米国高配当株ETF (HDV)

iシェアーズ・コア米国高配当株ETFは、米国の高配当株に特化したETFです。

このETFは、安定した配当を支払う企業に投資することで、定期的な収入を得ることができます。

特に、景気が不安定な時期でも安定した配当を提供する企業に焦点を当てているため、リスクを抑えた投資が可能です。経費率も低く、長期的な資産形成に適しています。

また、分散投資が可能で、特定の企業に依存しないため、リスク管理にも優れています。

ETFをはじめるのにおすすめのネット証券5選

ETFをはじめるのにあたって、おすすめネット証券を紹介します。

SBI証券

SBI証券
画像引用:SBI証券

SBI証券は、ネット証券口座開設数No.1を誇る、総合力の高い証券会社です。

豊富な投資商品ラインナップ、使いやすい取引ツール、充実した投資情報などが魅力です。

ETFの取扱銘柄数が非常に多く、海外ETFも充実しています。

取引手数料も低水準で、コストを抑えてETF投資を始めたい方におすすめです。

また、SBI証券の提供する投資情報サービスは質が高く、ETF投資に関する情報収集にも役立ちます。

楽天証券

楽天証券
画像引用:楽天証券

楽天証券は、楽天グループのネット証券で、楽天ポイントが貯まる・使える点が大きな特徴です。楽天エコシステムを活用した投資が可能です。

楽天ポイントで投資信託やETFを購入できる「ポイント投資」が可能です。

取引ツールも初心者向けに分かりやすく設計されています。

マネックス証券

マネックス証券
画像引用:マネックス証券

マネックス証券は、米国株をはじめとする海外投資に強みを持つネット証券です。

情報力と分析ツールに定評があります。

海外ETFの取扱銘柄が豊富で、特に米国ETFへの投資を考えている方におすすめです。

また、マネックス証券は投資情報の提供に力を入れており、ETFに関する情報も充実しています。

分析ツールも使いやすく、中長期的なETF投資を考えている方に適しています。

auカブコム証券

auカブコム証券
画像引用:auカブコム証券

auカブコム証券は、KDDIグループのネット証券で、Pontaポイントとの連携が特徴です。

au経済圏を利用している方にとってメリットがあります。

Pontaポイントを貯めて投資に利用できる点が魅力です。

少額から気軽にETF投資を始めたい方におすすめです。

松井証券

松井証券
画像引用:松井証券

松井証券は、老舗の証券会社でありながら、ネット取引にも力を入れています。

特に、25歳以下は国内株の取引手数料が無料になるサービスが特徴です。

25歳以下であれば、国内ETFの取引手数料が無料になるため、コストを気にせずに取引できます。

若年層でETF投資を始めたい方にとって非常に有利です。

また、シンプルな取引ツールは初心者にも使いやすいです。

ETFで積立投資をする際の注意点

ETFで積立投資をする際は、2つの注意点があります。

少額での積立投資をするのであれば、投資信託のほうが便利でお得です。

1.投資信託と比べて必要金額が大きい

ETFは、投資信託と比べて必要金額が大きいです。

投資信託であれば100円から積み立てられますが、ETFは最低でも1口(1株)以上の金額が必要になります。

日本円換算で1口5万円を超えるETFもめずらしくないため、少額での積立投資はしづらいです。

【投資信託とETFの最低投資金額】

eMAXIS Slim
米国株式
(S&P500)
VOO
(Vanguard S&P 500 ETF)
100円 489.82米ドル
(約7万2,004円※)
※VOOの円換算価格は1米ドル=147円で計算
(2024年8月9日現在)

2.クレカ積立に対応していないのでポイントが貯まらない

ETFは、クレカ積立に対応していないため、積み立ててもポイントが貯まりません。

クレカ積立とは、クレジットカード決済でできる投資信託の積立投資のことで、大手ネット証券を中心に対応しています。

年会費が無料のカードでも、0.5~1.1%のポイントが貯まります。

【クレカ積立のポイント還元率(年会費無料のカード)】

※1:2024年11月買付分から還元率変更予定。詳細はこちら
※2:信託報酬のうち楽天証券が受け取る手数料(代行手数料)が年率0.4%以上の銘柄は還元率1.0%

(2024年8月9日現在)

クレカ積立のポイント還元を考慮すると、投資信託のほうがETFよりも低コストです。

【クレカ積立を考慮した投資信託とETFのコスト比較】

  eMAXIS Slim
米国株式
(S&P500)
VOO
(Vanguard S&P 500 ETF)
信託報酬
(年率)
0.09372%以内 0.03%
クレカ積立
(ポイント還元率)
0.2~1.1% なし
実質コスト なし(※) 0.03%
※クレカ積立のポイント還元率が信託報酬を上回るため
(2024年8月9日現在)

クレカ積立に対応するカードを持っている人は、ETFの積立投資にこだわる必要はありません。

ポイント還元率の高いマネックス証券やauカブコム証券で投資信託を積み立てましょう。

\dカードでクレカ積立ができる/

\au PAY カードでクレカ積立ができる/

まとめ

ETFの最大のメリットは低コストで運用できる点です。

特に米国ETFは分配金再投資型など長期投資に適した商品が充実しています。

一方で、自動積立設定ができない場合や、投資信託に比べ銘柄数が限られるなどの制約も存在します。

本記事を通じて、ETFを活用した投資のメリットと留意点を理解し、自分に適した投資方法を検討してください。

\dカードでクレカ積立ができる/

\au PAY カードでクレカ積立ができる/

北川 真大

金融系ライター・個人投資家

明治大学法学部卒業後、証券会社に入社。入社後すぐに2級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得し、個人営業に従事。証券営業の経験をもとに金融系の記事執筆やKindle出版を開始し、現在はフリーライターとして活動中。日本株、投資信託、暗号資産、不動産を保有する個人投資家でもあり、日本株の投資歴は累計7年以上に及ぶ。

(提供:Crazy Money Plus+