この記事は2025年4月23日(水)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「西原宏一氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。


FXトレード戦略
(画像=javu/stock.adobe.com)

2025年4月23日(水)の午前10時すぎに、現役トレーダーの西原宏一さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。

西原宏一
青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラーなどを歴任後、独立。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。

現在の為替相場の傾向や相場観

昨日22日(火)のNY市場の米ドル/円はいきなり反発。本日23日(水)のシドニー市場で、一時143.22円付近まで急騰している。

きっかけは下記の報道。

1.トランプ米大統領「パウエルFRB議長を解任する意図は全くない」
2.ベッセント米財務長官が米中貿易戦争が「ごく近い将来に緩和すると予想」

トランプ氏がパウエル氏を(圧力をかけることはできるが)解任することはできないので、「1」に関してはあまり気にしていないが、米中貿易戦争が緩和するというコメントは米国株にはポジティブ。

ベッセント米財務長官は投資家との非公開の会合で、関税を巡る中国との対立は長くは続かず、緩和していく見通しだと述べたと会合の出席者が明かした。

(出所:ブルームバーグ)

ただ、ベッセント氏は、中国との交渉はまだ始まっていないとしている。

現在の為替相場の戦略やスタンス

海外短期筋の円ロングがさらに増えている事、そして昨日22日(火)夜、139.89円付近の安値をつけ、久しぶりに140円を割り込んだため、踏み上がるとは思ったが安値からあっという間に3円強急騰。

一方、この急騰の影に隠れてしまったが、昨日22日(火)はシティバンクが興味深いレポートをだしていることが話題になった。

---------日米通商協議、1ドル=120円前後が目標で妥結か---------

円はドルに対して上昇すると、シティグループは予想する。米当局は今後の通商交渉に、円安への対応についても盛り込みたい考えだ。

「米国は1ドル=100円を念頭に置いているのかもしれないが、120円前後がより現実的な妥協だろうと思う」と、高島修氏らシティのアナリストはリポートで指摘。

昨日22日(火)の取引で、円はドルに対して一時0.7%高の139円89銭まで上昇した。

加藤勝信財務相兼金融担当相とベッセント米財務長官は週内に予定が伝えられる会合で、会談する見込み。シティによると、日本銀行が政策正常化に取り組み、円を押し上げる見通しを踏まえ、トランプ政権は日本に対する関税引き上げを見送る公算が大きい。

(出所:ブルームバーグ)

こうした話題が出ると米ドル/円がいきなり3円踏み上がるのも皮肉なところ。ただ仮に日米関税交渉が為替も含めて合意するのであれば、シティバンクが述べているように120円というのもおかしな話ではない。

しかし海外投機筋の円ロングが記録的な水準で増えている状況なので時折、いきなり3~4円急騰することがあるため、リスク管理には気をつけたいところ。戦略的には、米ドル/円の戻り売りスタンス継続で臨みたい。

▽米ドル/円 日足チャート

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(画像=羊飼いのFXブログ)

*:当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。