再上場まで平均6.3年
では、TOBやMBOで一旦、上場廃止した企業が再上場した事例はどのくらいあるのだろう。M&A Onlineが調べたところ、少なくとも18社(11社がMBO、一覧参照)が確認できた。再上場までの平均期間は6.3年。
再上場まで最も長いのがアパレル大手のワールド。2005年に創業家のMBOで株式を非公開化し、2018年に13年ぶりに東証1部(東証プライム)に復帰した。
外食大手のすかいらーくホールディングスは2014年に8年ぶりに東証1部(同)に返り咲いた。2006年に創業家が野村証券系の投資ファンドと組んでMBOを行い、2011年から米投資ファンドのベインキャピタルの傘下で事業再構築に取り組んできた。

トーカロが第1号
MBO後の再上場の第1号は現在東証プライム上場で金属表面処理加工のトーカロ。2001年にMBOをジャフコ(現ジャフコグループ)の支援で実施して当時の店頭公開を廃止し、その2年後の2003年に東証2部に上場した。
MBOではないが、日立製作所の上場子会社だった日立国際電気(現国際電気、日清紡ホールディングス傘下)は2018年、米投資ファンドのKKRによるTOBなどで非公開化。同社の場合、半導体製造装置部門を分社して引き継いだKOKUSAI ELECTRICが2023年に東証プライムに上場した。
とりわけ、MBOは究極の買収防衛策とも言われる。経営と所有の一致により買収の脅威を遮断できるからだ。
昨年4月に上場廃止した大衆薬大手の大正製薬ホールディングスをめぐるMBOは総額7000億円規模と過去最大となったが、このケースでは投資ファンドを頼らず、オーナー家が単独で主導したことから、恒久的な非公開化が狙いとみられている。
牧野フライスと同じ工作機械業界でも今年、MBOがあった。中堅の浜井産業は6月、東証スタンダード市場への上場が廃止となった。創業家出身の武藤公明社長が設立した買収目的会社がTOBを行い、1963年以来の上場にピリオドを打った。
文:M&A Online