初心者にもわかる不動産投資ローン基礎知識|資金計画の立て方も解説
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資産を所有していると、気になるのが相続税のことです。

納める相続税の金額は、不動産の相続税評価額によって大きく変わります。不動産の相続税評価額とは、相続税や贈与税の計算のためだけに使う評価額のことです。相続税評価額が高ければ高いほど、納める相続税の金額は高くなりますが、実は不動産の活用方法によって不動産の相続評価額を抑えられます。

不動産を活用して不動産の相続税評価額を下げるには、相続税の不動産評価額をどのように計算するのか理解しておくことが必要です。本記事では、2種類ある不動産の相続評価方法や評価額を下げる不動産の活用方法を解説します。

目次

  1. 土地の評価方法には路線価方式と倍率方式の2つがある
  2. 建物の評価は倍率方式(固定資産税評価額)を用いて計算する
  3. 不動産の状況によって評価額が変わる
  4. 評価額を下げ節税につながる活用方法
  5. 【まとめ】相続時の不動産評価方法を理解し賢く節税できる活用をしよう!

土地の評価方法には路線価方式と倍率方式の2つがある

不動産の相続税評価は、土地と建物のそれぞれについておこなわれます。まずは、土地の評価方法から見ていきましょう。土地の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。

路線価方式は路線価を基に相続評価をする

一般的な土地の相続税評価額は「路線価方式」で計算します。路線価方式とは、路線価を用いて土地の評価をする方法で道路に面している土地における1㎡あたりの価額(千円単位)のこと。毎年国税庁が運営している専用サイトで公表されます。路線価図は、次のページで調べることができます。

上記ページで、評価する土地が所在する都道府県を選び、表示された画面から「路線価図」をクリックすると、市区町村の一覧が表示され、該当する地区名を選ぶと、路線価図が表示されます。

路線価方式による土地の相続税評価額の基本的な計算式は、次のとおりです。

  • 土地の相続税評価額=路線価×土地の面積(㎡)

例)路線価が30万円、土地の面積が200㎡の場合
土地の相続税評価額は、路線価30万円×土地の面積200㎡=6,000万円となります。

実際には、奥行価格補正率、側方路線影響加算率、二方路線影響加算率などを加味して、土地の相続税評価額が決まります。

目安として土地の相続税評価額を求めたい場合は、「路線価×土地の面積」で求めるとよいでしょう。

倍率方式は固定資産税評価額を基に相続評価をする

土地の相続税評価額を求めるもう一つの方式として「倍率方式」があります。倍率方式とは、固定資産税評価額と評価倍率表を用いて評価額を計算する方法です。

実は、路線価はすべての土地に設定されているわけではありません。倍率方式は、主に路線価が設定されてない土地の相続税評価額を求める際に用います。倍率方式による土地の相続税評価額の基本的な計算式は、次のとおりです。

  • 土地の相続税評価額=固定資産税評価額×評価倍率

例)固定資産税評価額が3,000万円、評価倍率が1.1の場合
土地の相続税評価額は、固定資産税評価額3,000万円×評価倍率1.1=3,300万円となります。

固定資産税評価額は、市区町村から毎年送付される固定資産税納税通知書などに記載されています。

評価倍率は、路線価と同じく国税庁が運営している下記の専用サイトで公表されます。

上記ページで評価する土地がある都道府県を選び、表示された画面から「評価倍率表(一般の土地等用)」をクリックします。

市区町村の一覧が表示されるため、該当する地区名を選ぶと評価倍率表が表示される仕組みです。

建物の評価は倍率方式(固定資産税評価額)を用いて計算する

次に、建物の相続税評価額を求める方法を見ていきましょう。建物の相続税評価額は、倍率方式で求めます。原則、建物の相続税評価額は固定資産税評価額に1.0を乗じて求めます。つまり、「建物の相続税評価額=固定資産税評価額」です。

土地と建物は、それぞれで相続税評価をする必要があります。家やマンションなどを相続税評価する場合は、土地と建物に分けてそれぞれで評価額を求める必要があるため、注意しましょう。

不動産の状況によって評価額が変わる

ここまでは、一般的な不動産の評価方法を見てきましたが、不動産の評価は不動産の状況によっても評価額が変わります。特に、土地の形状が標準の土地と違っていたり、不動産の利用状況が自己使用でなかったりすると不動産の評価額が減額されます。

たとえば、土地がおおむね正方形や長方形などに整地されていない土地(不整形地)や道路に接していない土地(無道路地)、セットバックが必要な土地などは、一般的な土地に比べて利便性が悪いです。

そのため、相続税評価額は一般の土地より低く算出されます。また、他者に貸している不動産や複数人で所有している不動産は、一般の不動産と比べて、その不動産を別の用途に使用したり売却したりしにくい傾向です。

そのため、相続税評価額は一般の不動産より低く算出されます。ほかにも、小規模宅地等の特例などを使えば、相続税評価額を抑えることが可能です。

このように、不動産の状況によって評価額が変わるため、不動産の相続税評価をする場合は所有している不動産が評価額を減額する要件に当てはまるかどうかを注意深く判断する必要があります。

評価額を下げ節税につながる活用方法

不動産の相続税評価額は、さまざまな要因により減額することが可能です。そのため、所有する不動産を相続税評価額が下がるように活用することで将来発生するであろう相続税の金額を下げることができます。ここからは、相続税評価額を下げ、節税につながる活用方法を見ていきましょう。

小規模宅地等の特例を使う方法

「小規模宅地等の特例」を使うことで、土地の相続税評価額を減額することができます。小規模宅地等の特例とは、事業や住まいなどに使っていた土地で一定の条件を満たす土地について「最大80%もの相続税評価額を減額する」という特例のことです。

たとえば、相続税評価額5,000万円の土地について小規模宅地等の特例を使い、80%の減額を受けた場合、相続税評価額は次のようになります。

  • 小規模宅地等の特例による減額分:5,000万円×80%=4,000万円
  • 相続税評価額:5,000万円-減額分4,000万円=1,000万円

相続税評価額5,000万円の土地が1,000万円になるため、大きな節税になります。小規模宅地等の特例は、所有している土地すべてに適用できるわけではなく、以下のように面積や減額の制限があります。

用途(一定の要件を満たしたもの) 適用面積 減額割合
事業用の土地 400㎡までの部分 80%
居住用の土地 330㎡までの部分 80%
貸付用の土地 200㎡までの部分 50%

所有している土地で遊休地があれば、小規模宅地等の特例が使えるように利用することも考えましょう。ただし、小規模宅地等の特例は、節税効果が高いため、上記のほかにも厳しい条件があります。特例を利用する場合は、税務署や税理士などの専門家にご相談ください。

賃貸物件として活用する方法

所有している不動産を賃貸物件として活用すれば、相続税評価額が減額されます。ここでは、不動産を賃貸した場合の相続税評価について見ていきましょう。

賃貸している土地の評価

賃貸している土地の評価は、土地のみを貸しているのか、土地と家屋の両方を貸しているのかによって評価方法が異なります。

・貸地の評価
貸地とは、貸主が土地のみを貸し、土地にある建物は借主が所有している土地のことです。貸地には、借主の権利である「借地権」が存在するため、通常の土地よりも低い評価となります。

貸地の相続税評価は、次の計算式で求めます。

  • 貸地の相続税評価=土地(自用地)の評価額-土地(自用地)の評価額×借地権割合

計算式を見てもわかるとおり、借地権の分、土地の評価額が減額されます。借地権割合は30~90%(A~G)まであり、路線価図で調べることができます。

・貸家建付地の評価
貸家建付地とは、貸主が土地と土地の上にある家屋の両方を所有しており、土地と家屋の両方を借主に貸している土地のことです。貸家建付地の評価は、借地権割合や借家権割合を用いて計算するため、貸地よりも複雑です。

貸家建付地の相続税評価は、次の計算式で求めます。

  • 貸家建付地の相続税評価=土地(自用地)の評価額-(土地(自用地)の評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

借家権割合は、基本30%です。借家権割合は、下記のページで調べることができます。

上記ページで評価する土地がある都道府県を選び、表示される画面から「2.土地関係以外 借家権割合」をクリックします。

賃貸している家屋(貸家)の評価

貸家の相続税評価は、次の計算式で求めます。

  • 貸家の相続税評価=固定資産税評価額-(固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合)

計算式を見てもわかるとおり、借家権の分、家屋の評価額が減額されます。土地とともに家屋も賃貸している場合は、土地だけでなく貸家の相続税評価も忘れずにおこないましょう。

また、所有している土地が遊休している場合などは、相続税の節税や安定した収入を得るために賃貸用として活用することも考えましょう。

不動産の立地による補正を利用する方法

土地の相続税評価は、上述したとおり原則「路線価×土地の面積(㎡)」の計算式で求めます。

しかし、厳密にいうと路線価に奥行価格補正率などで補正をしたあとに、その土地の面積を乗じて相続税評価額を求めます。補正率には、奥行距離に応じて補正される「奥行価格補正率」や、間口が狭い土地の場合に適用される「間口狭小補正率」、奥行きが長い場合の「奥行長大補正率」など、さまざまな種類があります。

補正率のほとんどが、土地の相続税評価額を下げるものです。相続税申告時に補正率を使い忘れてしまうと、節税効果を受けることができません。所有している土地が補正の対象となるかを事前に確認しておくことが重要です。

【まとめ】相続時の不動産評価方法を理解し賢く節税できる活用をしよう!

相続時の土地評価では路線価方式と倍率方式、建物評価では倍率方式(固定資産税評価額)がそれぞれ用いられます。土地と建物は、それぞれで相続税評価をおこなう必要があります。

家やマンションなどを所有している場合は、忘れずに土地と建物の両方について相続税評価をしましょう。また、小規模宅地等の特例を利用したり、所有している不動産を賃貸物件として活用したりすることで相続税を節税することができます。

相続時の不動産評価方法を理解し、節税のために賢く活用をしていきましょう。

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