本記事は、永谷 顕氏の著書『非IT人材で成果が出る DX成功ルール』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

過去の成功体験や従来の方法に固執してはいけない
過去の成功体験や従来の方法に固執してはいけないビジネスの世界は日々変化しています。従来のやり方や考え方に縛られていると、時代の変化に対応できず、自然と淘汰されるリスクがあります。
しかし、デジタル技術を活用して新しいビジネスモデルやサービスを生み出せば、競争力が高まり、ビジネスチャンスも広がります。
たとえば、クラウド型システムを導入することで、リモートワークや外出先での業務が可能になり、業務効率が大幅に向上するでしょう。
逆にこうした取り組みを怠ると、競合他社に遅れを取り、市場での地位を失うかもしれません。
企業を成長させるためには、過去の成功体験や従来の方法に固執せず、環境の変化に適応する姿勢を持つことが大切です。
ビジネス環境の変化に対応するためには、これまでの方法や考え方を見直し、新しいアプローチを採用することが求められます。
変化を拒み、現状維持を続ける企業は競争力を失い、最悪の場合は市場からの退場を余儀なくされるのです。
では、さまざまな障壁がある中小企業にとって、実際にどのようにDX化に取り組めばよいのか。中小企業のDX化を成功に導くための考え方をルール化して紹介していきます。

[成功ルール]
うまくいっている業務をデジタルの力でさらに高める
「新しい技術を使って、新しいことをはじめる」のは難易度が高い
新しい技術を導入する際、多くの経営者は「今までと違った新しいことができる」と考えがちです。しかし私は、
「今までもうまくできていることが、もっとラクに、もっと早く、もっとスムーズにできるようになる」
と考えます。なぜなら、すでにアナログでうまく機能している業務をデジタル化するほうが、「既存ビジネスの生産性改善」を期待できるからです。
【すでにうまくいっている仕事をDX化(デジタル化)するメリット】
- (1)仕事の効率アップ
- アナログで行われている定型的な業務をデジタル化することで、手作業にかかる時間や労力を大幅に削減できます。
たとえば、紙ベースの書類管理を電子化すれば、情報の検索や共有が簡単になって、業務のスピードアップが可能です。
- (2)コストの削減
- ペーパーレス化や業務プロセスの改善によって、紙や印刷、郵送などのコストを削減できます。たとえば、紙の使用量を減らすことで、年間の経費を削減できます。
- (3)ミスの減少
- 手作業での入力ミスや書類の紛失といったリスクを防げます。たとえば、データ入力を自動化することで人為的なミスを減らし、業務の正確性を高めることができます。
- (4)データの一元管理と積極的な活用
- デジタル化した情報は一元的に管理できるため、リアルタイムでのデータ分析や意思決定に役立てることができます。これにより、経営判断の迅速化や市場の変化への柔軟な対応が可能となります。たとえば、販売データをリアルタイムで分析することで、在庫管理の最適化が図れます。
ミヨシテックのDX化が進んでいる大きな要因は、新しいツールやソフトを
「現状の成果をさらに強化する」
「手元のデータを効率的に活用する」
「既存業務の無駄を省く」
手段として導入しているからです。
もちろん、アナログでうまくいかなかった業務をデジタルで補うことも重要ですが、まずは、「今うまくいっている仕事」をデジタル化して効率化を図ることが、DX化を進める上で現実的な戦略です。

1973年、兵庫県西宮市出身。1996年、神戸商船大学(現・神戸大学海洋政策科学部)卒業。1998年、神戸商船大学大学院修了。同年、株式会社ミヨシテック入社。
2008年より現職。
「決めた目標に脇目もふらず突き進む」「必要であれば、既存のシステムを容赦なく壊す」ことから、「ブルドーザー社長」と呼ばれる。島根県松江市観光大使。
株式会社ミヨシテックは非IT人材のみでDX化を推進し、2022年7月「DX 認定」、「kintone AWARD 2022」ファイナリスト、「DXセレクション2024」優良事例企業に選定される。同社のDX 化の取り組みを学ぼうと、国内外から視察が絶えない。
※画像をクリックするとAmazonに飛びます。
- 成功体験が足かせに? ビジネスを成長させるDX活用術
- 失敗しないDX! 新旧システム共存でリスクを最小化
- 「自社開発不要」プラグイン活用でコスト削減と効率UPでDXを加速
- RPA導入で失敗しない、効果を最大化する6つのステップ
- データは武器! 中小企業を強くする「分析ツールKI」の威力
- PDCAサイクルで「環境整備」DXを習慣化する秘密