本記事は、内藤 誼人氏の著書『戦略的に24時間を自分のために使う 大人の時間術』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

戦略的に24時間を自分のために使う 大人の時間術
(画像=FAMILY_STOCK/stock.adobe.com)

時間を生み出すコツ

「時間がない、時間がない……」とたえず愚痴をこぼしている人がいます。
みなさんもそのような人の1人ではないでしょうか。たえず時間に追いまくられ、精神的な余裕もなくしている人は相当に多いのではないかと思われます。

現代人は、みなとても忙しいのです。
では、どうすれば自分の時間を生み出せるのでしょうか。

一番の方法は、自分のやるべきことを他の人に押し付けてしまうことです。「押し付ける」という表現が気になるのなら、「お任せをする」と言い換えてもよいでしょう。やるべき仕事を他の人にそっくり任せてしまえば、自分の時間を確保できます

「自分の仕事を部下に任せるのは不安」と感じる人もいるでしょう。

けれども、それは任せていないからそう思っているだけです。試しに任せてみると、意外にうまくいってしまうことは少なくありません。
一度でもよいので、ぜひご自身で試してみてください。

英国ロンドン・ビジネス・スクールのジュリアン・バーキンショウは、時間を生み出すコツとして他人に任せる方法を検証してみましたが、何と事務作業の47%は他人に任せても何の問題も起きませんでした。約半分の仕事は、他人にお任せしても大丈夫だったのです。

事故や病気になり、物理的に自分では仕事をこなしきれなくなって、他の人に仕事を代わってもらうしかないことがあります。
だいたいこういう状況になると、「何だ、自分でなくとも大丈夫じゃないか」と気づくことが多いのです。

部下に自分の仕事を代わってもらうと、部下の成長にも役に立つでしょう。自分は時間を確保できますし、部下を成長させることもできるので、一挙両得というものです。

しかも部下が成長してくれれば、上司としての自分の評価も高くなるかもしれません。

米国スタンフォード大学のジェフリー・フェファーによると、上司の多くは、自分がやらないと部下ではうまく仕事がこなせない、という誤った認識を持っており、そのため仕事を任せたがらないそうです。

もちろん、それは上司の誤った思い込みに過ぎません。ところが、部下に仕事を任せてみると、けっこう何とかしてくれるものなのです。

「時間がない」とぶつくさ文句を言っていても、「時間がない」という問題は決して解決されません。
自分の仕事はどんどん他の人に代わってもらうようにしないと、時間不足はいつまでも解決されず、悶々とした気持ちだけが高まることになってしまうということをきちんと認識しましょう。

時間に敏感になる

私は大学の先生をしておりますが、最近の学生は腕時計をあまりしていません。
スマートフォンの画面で簡単に時間を確認できるので、そもそも腕時計など必要がないということなのでしょうが、腕時計をしていたほうがよい、という研究結果があります。

米国ヴァージニア州にあるクリストファー・ニューポート大学のリー・ドリスは、18歳から30歳の100人に、普段から腕時計を身につけているかを尋ね、また「人生目的テスト」(PIL)という心理テストを受けてもらいました。

インターネットで「The Purpose in Life Test」と検索してもらうと20項目から成る心理テストのPDFファイルを見つけることができます。

「私は常に……」という文章の後に続いて、「退屈」から「熱狂的」までを5段階から選んだり、「人生とは私にとって……」という文章の後に続いて「まったく惰性的」から「非常に興奮する」までのどれかを選んだりすることで測定します。

その結果、普段から腕時計を身につけている人のほうが、人生に高い意義を持っているということがわかりました。なぜ、腕時計を身につけていることが重要なのでしょうか。
それは、腕時計を身につけている人のほうが、頻繁に時間を確認できるからです。つまり、時間の経過に対して敏感でいられるのです。

人と楽しくしゃべっている最中でも、腕時計をしていれば、「おっと、油を売りすぎてしまった、私はもう仕事に戻るよ」と対処できます。
腕時計をしていない人は、そういう判断が瞬時にできませんので、ダラダラとおしゃべりを続けてしまうものです。

時間に敏感な人は、家のあちこちにたくさん時計を置いています。居間に掛け時計がひとつだけ、というのではなく、玄関の脇にも、廊下にも、脱衣所にも、トイレにも、あちこちに時計があるのです。

家のあちこちに時計が置かれていれば、どうしても時計が視界に入ってくるでしょうし、それを目にするたびに時間を意識することができます。
だいたい仕事ができる人の家は、そんな感じになっているものです。

時計を目にする習慣が身につくと、「1秒も時間をムダにしたくない」という意識が芽生えます。私たちの人生には限りがあるわけですから、時間を意識して行動したほうが、より充実した人生を歩めることは論をまちません。

たしかにスマートフォンでも時間を確認することはできますが、それでもやはり時計を置いたほうがよいと思います。自分のデスクの上にも時計を置きましょう。
そうすると時間を意識して行動することができ、作業能率もアップするはずです。

デジタル資産とWeb3
内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長。
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。
社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。
趣味は釣りとガーデニング。
著書に『世界最先端の研究が教える新事実心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる! 暗示大全』『「人たらし」のブラック心理術』(すばる舎)、『人と社会の本質をつかむ心理学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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