この記事は2025年9月24日に配信されたメールマガジン「アンダースロー:Key calls(経済)構造的デフレ不況からの完全脱却の動きは継続」を一部編集し、転載したものです。

目次
成長 (CY25 : 1.0%・CY26 : 0.6%・CY27:1.5%):積極財政の推進で成長を支える
2025・2026年は、グローバルな景気減速とトランプ政権の不確実性の下押しの中、経済対策で内需を支え、0.5%程度の潜在成長率なみの成長を維持し、デフレ完全脱却への動きを継続させる。
2026年以降は、グローバルな循環的景気回復と新政権の積極財政への転換の内需の回復で、自律的な1%程度の成長への動きが始まる。実質賃金の上昇が消費の回復につながる。円高転換が企業収益の下押しとなり、景気回復に加速感はまだない。
2027年は、名目GDPの持続的拡大によって、企業の競争がコスト削減から投資に明確に変化する。設備投資のGDP比率はなかなか到達できなかった17%を上回り、消費の拡大とともに景気回復に加速感が出る。
2028年は、企業の期待収益率・成長率の上振れで潜在成長率が上昇する。企業貯蓄率は正常なマイナスに戻り、構造的デフレ不況を完全脱却。積極財政・緩和的金融政策の継続が必要条件で、緊縮財政への転換や利上げのスピードが速ければ、構造的デフレ不況脱却の失敗のリスクになる。
物価上昇率 (CY25 : 2.9%・CY26: 1.6%・CY27: 1.7%):1%台前半まで一時的に縮小
消費者物価指数(除く生鮮食品とエネルギー)の前年比は、輸入物価上昇の価格転嫁の一服と、一時的な景気低迷による需給バランスの悪化によって、2025年後半から2026年半ばにかけて一時的に1%台前半まで縮小する。グローバルな循環的景気回復と内需の回復の下、設備投資と賃金を含む企業の支出が強くなり、過剰貯蓄として構造的デフレ不況の原因となった企業貯蓄率のプラス幅は縮小していく。
2026年後半以降、実質賃金の上昇による消費の回復で、物価上昇率は再び2%に向けて上昇幅が拡大していく。2028年には企業貯蓄率がマイナス化し、構造的デフレ圧力を払拭し、賃金上昇の加速とインフレ期待の上昇によって、物価上昇率が2%にアンカーされることで、物価目標に安定的に達する。日銀の拙速な利上げによって、急激な円高にならないことが前提条件。
図1:日本経済見通し

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