8月半ばに初の4万3000円台に乗せた日経平均株価は9月に入り、4万5000円台を突破し、年明けからの上昇幅はおよそ6000円となった。物言う株主(アクティビスト)による株式取得の動きも活発化した。

マンダムはMBOが進行中

9月後半、市場の関心を集めたのは高島屋とマンダムの2銘柄。旧村上ファンド系の投資会社であるシティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)が5%を超える株式を取得したとする大量保有報告書(5%ルール)を関東財務局に提出した。

いずれも「投資および状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」を保有目的とし、アクティビストとして著名な村上世彰氏の長女の野村絢氏が共同保有者として名を連ねる。

シティはその後、買い増しを進め、高島屋株6.55%(当初は5.32%)、マンダム株13.06%(同6.67%)まで保有割合を高めた。このうち野村氏の保有割合は高島屋株で6.47%、マンダム株で9.33%と大部分を占める。

男性化粧品大手のマンダムをめぐっては9月26日、英国投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズによるTOB(株式公開買い付け)が始まったばかり。マンダムがTOBを通じたMBO(経営陣による買収)で株式を非公開化すると発表したのは9月10日で、野村氏らはこの直後から同社株の取得に動いていた。

マンダム株の買付価格は1株につき1969円。これに対し、同社株価は現在2200円台で推移し、TOB成立が困難視されることから、買付価格の引き上げが避けられない情勢にある。

また、旧村上系の別の投資会社はフジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングスの株式を1.01%買い増して保有割合を17.33%(うち野村氏は8.96%)に高めた。

香港オアシス、3カ月連続で新規保有

スナック菓子大手、カルビーの株式をめぐっては香港投資ファンドのオアシス・マネジメントが5.98%保有したことが分かった。保有目的は「ポートフォリオ投資および重要提案行為」としている。

オアシスは投資先企業に取締役の選・解任やガバナンス改善などを求める積極的な株主提案で知られるアクティビストファンド。新規に5%超の株式保有が判明するのは7月のカシオ計算機、8月の芝浦機械と合わせて3カ月連続だ。

M&A Online

(画像=「M&A Online」より引用)

ドラッグストア大手、クスリのアオキホールディングスではオアシスの保有割合が10%を超え、イオンに代わって筆頭株主となった。オアシスは8月に開かれたクスリのアオキの定時株主総会で青木宏憲社長と弟の孝憲副社長の取締役解任議案を提出。これは3年連続で否決されたが、両社の対立は深まったままとなっている。