メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「メキシコ首位奪還。懸念はUSMCA」メキシコペソ見通し

予想レンジ 8.1-8.6

(通貨1位、株価5位)

 (ポイント)
*ペソは年初来でトップに立つ
*9月消費者物価。依然コアが高い
*中銀議事要旨では追加利下げを示唆
*USMCA見直しの準備交渉始まる、2国間か3国間か
*世銀、26年のメキシコ成長予測を小幅上方修正
*大統領支持率73%!
*郷里送金減少傾向
*IMF、OECDが成長見通し上方修正
*メキシコ国とペメックスの格付けの高評価。去年と様変わり
*中国製品に最大50%の関税賦課を検討
*FDIは米関税賦課の不確実性の中でも増加
*米との論点=関税、麻薬、移民、LA騒乱、送金課税、USMCA、司法、水、等々

(メキシコペソが首位奪取)
 メキシコペソがついにスイスを抜いて首位奪取(年間)。対円10.34%高、対ドル11.77%高。株価は10月に入って弱い。年初来22.85%高。グルポ・メキシコのBanamex買収でグルポ・メキシコ株が20%以上の下落となったからだ。買収は一旦中止となったがまだ響いている。10年国債利回りは8.67%で年初の10.83%から低下傾向。

(9月消費者物価、コアが目標を超えている)
9月消費者物価は3.76%上昇、前月は3.57%、予想は3.79%。コアは4.28%、前月は4.23%、予想は4.28%。依然コアが目標の4%を上回っている。ただ成長率が低く、歴史的にインフレが低い水準にあることから利下げは続いている。

中銀議事要旨では「利下げサイクルを継続することが適切だと考えられている」とした。今夜は8月鉱工業生産の発表がある。直近の他の指標は9月企業信頼感指数が49.7(8月は49.4)、9月製造業PMIが49.6(8月は50.2)、9月消費者信頼感指数が46.5(8月は46.7)。

(USMCA見直しの準備交渉、2国間か3国間か)
 米通商代表部のグリア氏は先週、来年見直しが予定されている貿易協定USMCAをメキシコが遵守していないと非難した。「USMCAを遵守すべき分野があるにもかかわらず、遵守していない分野があります。エネルギー、通信サービス、農業など、あらゆる分野がこれに該当します」とグリア氏は述べたが、具体的な内容には触れなかった。
 こうした状況を受けて、通商代表部は、2026年に予定されているUSMCAの見直しを前に、メキシコ当局と「USMCAをより良く遵守する方法」について協議していると述べた。

シェインバウム大統領は、メキシコが米国と「良い」合意に達すると自信を示した。大統領は、USMCAは「継続される」と述べた。
 一方、トランプ米大統領は、 USMCAがまだ必要かどうか疑問視し 、同協定を単に見直すのではなく「再交渉」したいとの意向を示唆している。

グリア氏は「今後の実際の交渉の多くは、おそらくほぼ二国間交渉になると思います。三国間解決が役立つ問題もあるでしょうが、各国と一対一で話し合うことに多くの時間を費やすことになると思います」と述べた。

(世銀、26年のメキシコ成長予測を小幅上方修正)
 世界銀行はOECD、IMFに続き メキシコの成長予想を25年を0.5%に上方修正した。従来予想は0.2%。26年は1.4%へ加速する見込み。
世銀は、物価の安定に対する期待がある一方で、インフレ目標の達成は難しくなり、利下げのペースも鈍くなると指摘。米国の関税措置を背景に世界の通商政策を巡る不確実性が高まり、投資全般の重しになっているとした。