武田、JTと並ぶ“三羽烏”

SBGはほかにも過去、1兆円超のメガ案件を手がけている。英ボーダフォン日本支社(現ソフトバンク)を約1.9兆円で買収し、携帯電話事業に参入したのは2006年ことだ。2013年には米通信大手のスプリント・ネクステル(現Tモバイル、2000年に保有株式を売却)を1.8兆円で傘下に収めた。

大型M&Aの“三羽烏”といえば、SBG、武田薬品、JT(日本たばこ産業)だ。SBGは歴代トップ10の3位、9位、10位にランクインする。武田は首位、JTは5位とトップ10入りは1件だけだが、“次点”クラスの案件を複数手がけている。

武田は2011年にスイス製薬大手のナイコメッドを約1.1兆円、2008年に米ミレニアム・ファーマシューティカルズを約9000億円で買収した。

一方、JTは1999年に米RJRナビスコから米国外のたばこ事業を約9400億円、2016年に米レイノルズ・アメリカンから米国外のたばこ事業を約6000億円で買収。エチオピア、フィリピン、バングラデシュなどでも現地有力たばこ会社を次々に傘下に収め、JTの海外売上比率は今や8割に迫る。

SBG、節目節目で巨大M&A

SBGがヤフーの第三者割当増資を約4500億円で引き受け、子会社化したのは2019年。その後、LINEとの経営統合を通じて日本最大のインターネット企業「LINEヤフー」の発足につなげた。

SBGの歩みをたどると節目節目で巨大M&Aを仕掛け、飛躍的な成長の原動力としてきた。AI全盛期が到来する中、どんなM&Aが出番を待っているのか。

◎日本企業関連の大型M&A(1兆円超)   HDはホールディングスの略

買い手企業 対象企業・事業 金額 発表年
1 武田薬品工業 シャイアー(アイルランド) 6.2兆円 2018年
2 トヨタグループ 豊田自動織機 4.7兆円 ※2025年
3 ソフトバンクグループ 英アーム 3.3兆円 2016年
4 セブン&アイ・HD 米スピードウェイ 2.32兆円 2020年
5 JT 英ギャラハー 2.18兆円 2006年
6 日本製鉄 米USスチール 2兆円 2023年
日本産業パートナーズ東芝2兆円2023年
米ベインキャピタル 東芝メモリ 2兆円 2017年
9 ソフトバンク 英ボーダフォン日本支社 1.9兆円 2006年
10 ソフトバンク 米スプリント・ネクステル 1.69兆円 2012年
11 サントリーHD 米ビーム 1.65兆円 2014年
12 日本生命保険 米レゾリューションライフ 1.2兆円 2024年
13 ウットラム・グループ(シンガポール) 日本ペイントHD 1.18兆円 2020年
14 アサヒグループHD 豪カールトン&ユナイテッドブリュワーズ 1.14兆円 2019年
15 武田薬品工業 ナイコメッド(スイス) 1.1兆円 2012年
16 日立製作所 米グローバルロジック 1.04兆円 2021年

※発表段階。まだ買収は完了していない

文:M&A Online