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(画像=『ZUU online』編集部)

メガバンクで約25年間、上場大手企業のホールセール営業や海外支店課長などを歴任し、豊富な経験とマネジメントキャリアを持つZUU常務執行役員兼経済界副社長の小谷 光弘。

本記事では、ZUUが提供する独自のコンサルティング事業や、小谷氏が立ち上げを主導したファイナンス事業の特長について、また、お客様の事業の可能性を最大限に引き出すために、小谷氏がどのような想いで向き合っているのかを語ってもらいました。

小谷 光弘(こたに みつひろ)――株式会社ZUU 常務執行役員
1995年明治大学商学部商学科卒業、さくら銀行(現三井住友銀行)入行。 ホールセール営業に25年間従事。そのうち8年間は管理職として、最大80名のマネジメントを経験。 2009年バンコクで5年半勤務し、タイの日系・非日系企業支援に加え、ミャンマー等の周辺国業務や新商品サービス開発、ローカルスタッフ登用推進の人事制度改革を手掛ける。証券会社への出向も経験しており、デッドだけでなくエクイティ業務の経験を持つ。 2020年株式会社ZUU入社。CEO officeで新規事業創出を担当。現在は、ZUU常務執行役員兼株式会社経済界副社長として、企業のファイナンス支援を推進している。

ーー現在、ZUUはファイナンス事業、コンサルティング事業、メディア事業を展開していますが、それぞれどのようなところに強みがあると考えていますか?

まずメディア事業においては、「ZUU online」が富裕層・投資家メディアとして、一定の規模と影響力を持っています。会員数は約24万人で、その中にはオーナー経営者やお医者様などの富裕層が多く含まれており、そうした顧客基盤を形成していることは大きな強みです。その良質なユーザーの流入が、ファイナンス事業とコンサルティング事業の拡大につながっています。

コンサルティング事業は、代表の冨田和成が構築した「鬼速PDCA」という独自のメソッドを採り入れており、これまで600社以上の支援実績があります。戦略設計からPDCAを回す上流工程、そこからM&A、IPO、IRといった個別テーマの実行サポートまで幅広くサポートしており、その中から成長に必要な資金調達や運用といったニーズが生まれ、ファイナンス事業へと連動する形が構築されています。

この3つの事業がつながっていく一気通貫のサービス体制が、ZUUの最大の強みだと考えています。

ーー経営コンサルティングのサービスは数多くありますが、その中でZUUのコンサルティング事業はどのようなところを特長としているのでしょうか?

特長の1つは、バックキャスト思考による戦略策定です。目標と現状のギャップを埋めるために逆算で考える「バックキャスト」の考え方で戦略を策定します。これは、富裕層向けコンサルティングで言う「ゴールベースアプローチ」に近い考え方で、経営者層にとって非常に重要かつ腹落ちしやすいアプローチだと考えています。

次に、徹底した因数分解による本質的な課題発見です。一般的な因数分解だけでなく、因子を見る角度を変える、複数の因子を掛け合わせることで新たな要素を発見するなど、本質的な課題を見つけ出す徹底的な因数分解を行います。

さらに、メディアが生み出す知見の活用です。メディア事業を通じて、数多くの経営者の成功要因や困難を乗り越えた事例といった知見を財産として蓄積しており、これをコンサルティングの現場で活用できることも独自の特長です。

ーー今年4月に経済界がグループインしました。どのような狙いでM&Aに踏みきったのでしょうか?

まずは、ブランド力の強化です。経済界には60年の歴史があります。雑誌媒体は資産価値があり、経営者自身の声の発信やブランド価値の向上に優れています。その雑誌媒体と、我々が持つオンラインメディアの両方を有することで相乗効果を生み出し、企業のブランド価値向上と営業の両面で大きな成果を出すことを目指しています。

また、経済界には優良な顧客基盤があります。メディア、BtoB事業、会員組織といった点で経済界のビジネスモデルの根幹はZUUと似ていますが、経済界は長い歴史の中で、高度経済成長時代を牽引した超大手企業の経営層との強固なネットワークを持っています。この非常に質の高い顧客層とつながれることも大きな魅力です。

次に、地方顧客へのリーチ拡大です。経済界は地方に4つの支局を持っており、地域に根差した優良企業との強力なパイプもあります。ZUUグループにとって、さらに事業を拡大していくために大変魅力的なネットワークであると捉えています。

ーーZUUの常務執行役員を務める傍ら、経済界の副社長も兼任されています。グループインから半年が経過した今、どのような部分でシナジーが生まれていると感じていますか?

互いの顧客にそれぞれのサービスを利用していただくなど、まだ件数は多くないですが、着実な成果が出ています。ようやく倍々ゲームで伸びていくためのスタートラインに立てたという実感を得ています。

もっとも企業同士のカルチャーの融合はこれからだと思っています。バックグラウンドや事業内容が全く異なるため、急激な融合は難しいと考えています。しかし、「大切なお客様に価値の高いサービスや情報を提供していく」という根底の考え方は両社で共通しています。

ツールの違いがあるだけで価値をクロスさせることが重要だと考えており、それができれば、組織や文化の一体化は徐々に進んでいくものだと思っています。

ーー元々はメガバンクに勤めていらっしゃいましたが、これまでどのようなキャリアを歩んで来られたのでしょうか?

約25年間の銀行員時代はホールセール営業が中心で、そのうち約15年間は大企業担当でした。本店営業部、証券会社への出向、海外駐在などを経験し、大企業取引だけでなく、中堅・中小企業、さらに金融機関の取引も経験するなど、幅広い法人営業経験を積むことができました。

タイのバンコク支店では、マネジメント業務だけでなく、現地政府や日本政府機関を巻き込み、新しい金融商品や施策を企画・実行するといった、新規事業の立ち上げに近い経験も積みました。これは、本店営業部時代に培った、お客様のニーズに合わせて新しいサービスや仕組みを作り上げていく経験が活きたものだと考えています。

ーーそのような中、どのような理由からZUUに転職することを決意したのでしょうか?

1つは、人生100年時代を迎え、自身のセカンドキャリアが長くなることを見据えて新しいことにチャレンジしたいという思いがあったからです。

最終的に複数の企業から内定をいただいたんですが、その中でZUUを選んだ決め手は、新規事業の立ち上げを任せてくれる環境があると感じたからです。私は経営者としての素養よりも、ナンバー2やナンバー3として事業や組織を作ることに強みがあると考えており、ZUUの勢いや、会社が目指すベクトルと自分の方向性が合致していたため入社を決めました。

ーー入社後、実際にどのような新規事業に関わったのでしょうか?

私がZUUに入社した当初は、コンサルティング事業において、CXO向けのPDCAコンサルティングが中心でした。そこから派生したIPO・IR支援といった個別テーマの事業の実行サポートに携わり、そこを通じて金融ニーズが見えてきたため、ファイナンス事業の立ち上げと事業化を主導しました。

特にフィンテック・トランザクションは、ZUUにおいてメディア以外で初めて売上10億円を超えるビジネスに成長し、現在は事業の柱の1つとなっています。当初、特定のファイナンス事業を立ち上げるという明確な構想があったわけではありませんが、フィンテックを掲げる当社の方向性と合致し、中心メンバーの一人として事業をある程度作り上げられたことは、入社時の目標の入口に立てたものと考えています。まだまだ発展途上ですが、順調に成長していると感じています。

ーーファイナンス事業は立ち上げから3年半が経過しましたが、ここまで伸ばすことができた理由はどんなところにあるのでしょうか?

1つは、試行錯誤を繰り返しながら、投資家層との関係性を強化してきたことです。事業立ち上げの初年度で約30社の資金調達支援を行い、この過程で投資家が魅力的に感じる商品や、投資家層の厚みを増すことができました。

次に、初期段階でターゲットを絞り、突破口を見つけたことも理由の1つです。事業ブレイクスルーのきっかけとなったのは、スモールミドルキャップの上場オーナー経営者に対し、複数の金融機関と連携して有価証券担保ローンによる調達手段を提供し、その資金を運用につなげるビジネスモデルを確立したことです。

その後は、ステップバイステップで試行錯誤を重ねながら、お客様に魅力あるサービスをマルチブティック形式で提供できるようにした結果、さらなる顧客層と商品層の拡大につながったと考えています。

ーーファイナンス事業の立ち上げと並行する形でコンサルティング事業の管掌もされていましたが、同事業はどのように伸びてきているとお考えですか?

コンサルティング事業は初期フェーズで、新聞やタクシーで大規模な広告施策を実施し、お客様の層を広げることができました。

その後、踊り場の時期もありましたが、ここ1年半から2年ほどは、私と当時のコンサルティング事業の責任者が二人三脚で、事業基盤と体制を土台から見直してきました。コンサルティングは、お客様との信頼関係と、役務提供後のフォローが非常に重要です。そこで、過去のお客様へのフォローや、ファイナンス事業との連携を強化した結果、今期の通期換算では売上5億円が見えるレベルまで成長しています。

ーー日々どのような想いを持って仕事に向き合っていますか? また、大切にしてることがあれば教えてください。

お客様の満足度向上や成長は、短期的に成果が出るものではなく、非常に時間のかかることだと認識しています。

お客様の成長が長期的に右肩上がりとなるよう伴走することが重要です。お客様の成長こそが我々の成長にもつながると考えていますので、良い時も悪い時も、しっかりとサポートできるパートナーとしてお取引をさせていただきたいという想いを持っています。

また、ビジネスパーソンとして私が大切にしている指標はただ1つ、会社の時価総額を上げることです。

事業の立ち上げには一定の貢献ができたと思っていますが、結果として会社の価値を十分に上げられていないことに対し、自責の念を持っています。売上や利益が上がっても、株式価値が上がらなければ真の成長にはつながらないと考えていますので、そこを上げることを主眼に置いて業務に取り組んでいます。最低100億円を最初のステップとして目指しています。 その先の500億、1,000億という目標は中長期的な話ですが、まずは100億円超えを達成したいと考えています。

ーー今後のキャリアにおける夢を教えてください。

短期・中期の夢は、ファイナンス事業の基盤を確立することと、海外への事業展開です。

まず、ファイナンス事業においては、銀行とは異なり貸金や送金手数料がないため、ベース収益を安定させる必要があります。お客様の増加とトランザクションの積み重ねによって、事実上のベース収益を持つ会社に作り上げたいと考えています。そして、日本国内では縮小傾向にある金融市場を鑑み、海外での事業展開を早期に実現することが中長期的な夢です。

それは入社当初から抱いていた目標であり、特に人口増加の観点からアフリカのような大きな成長が見込める市場への進出を、今後5年以内を目処に実現し、事業をさらにスケールアップさせて、その先の企業価値向上を目指していきたいと考えています。