本記事は、中村 裕昭氏の著書『臆病者のための起業法』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

臆病者のための起業法
(画像=olly/stock.adobe.com)

「これを売ろう」が最初の落とし穴

商品やサービスを先に設定してはいけないワケ

商売を始めようとすると、多くの人が商品やサービスから考え始めます。どんなものを売ろうかな、何か売れそうな商品はないかな、という感じです。
実はこれが最初の落とし穴です。

まだ世の中に普及していない珍しい商品と出会ったとします。「これを売ろう」と決めた瞬間に、そこに「自分の主観」が入り込みます。
売れるかどうかは、売ってみなければわかりません。売れないのであれば、その商品を扱うべきではありません。
でも、商品やサービスを軸に考えてしまうと、売れないという結果が出たとしても、「売りたい」「私は間違っていない」という考えから離れられなくなります。

「自分の好きなことでお金を稼ぎたい」という人もいると思います。例えば、料理が好きだから自分のお店を出したいとか、アクセサリーづくりが趣味なのでそれで稼げるようになりたいとか。
それ自体は悪いことではありませんが、強い思い入れがあるために、主観から離れられなくなる危険性が高くなります。そうなると、時間もお金もどんどん浪費してしまうことになります。

商売をつくり上げていくためには、さまざまなことを考えなければいけません。どうやって集客するか、どうやって売るか。お客さんのニーズに合わせて商品の形を変えたり、売り方を変えたりする必要があります。別の商品をヒントに、より効率よく稼ぐためにどうすればいいか、を考えなければいけないこともあります。あるいは、「これはやってはいけない」と決めておくべきこともあります。
でも、商品から決めてしまうと、こうしたたくさんの選択肢が見えなくなり、間違ったものを選択したまま進み続けてしまうので、結果的に失敗の可能性が高まってしまいます。
商品やサービスを軸に考えるなというのは、その商品がダメだということではなく、思考の枠や選択肢を狭めてしまうからなのです。

もちろん最終的には、どんな商品を扱うかを決める必要はありますし、「売れるまで売る」という姿勢で取り組まなければ、商売で結果を出すことはできません。ただ、特に「初期段階では選択肢を狭める必要はない」ということなのです。

気を抜くと「商品ありき」が入り込む

以前、仕事仲間がこんな話をしてきました。
「見切り品のお菓子を安く仕入れることができるルートを見つけたんですよ。それをどこかに売れば、儲かるんじゃないかと思って」これはビジネスチャンス! と一瞬思うかもしれませんが、実はここにも落とし穴があります。

そもそも、なぜ見切り品のお菓子があるのか、なぜ安く仕入れることができるのか。
簡単です。商品がダブついているからです。
つまり、仕入れることができても売り先がありません。問屋が売り先を開拓できずにいるのに、商品を買ってくれるところがそんなに都合よく見つかるはずがありません。
さらに、お菓子の上代(販売価格)はそもそも低いため、安く仕入れても安く売るしか方法がなく、高い利益は得られません。そうすると、大量に売らないといけなくなるので、余計にたくさんの売り先(お客さん)が必要になります。とどめに、お菓子には消費期限があるので、商品価値は日々下がっていきます。
もちろん、このような見切り品を取り扱い、成功している会社もあります。ただ、新規事業としてゼロから立ち上げることを考えると、わざわざここを狙わなくてもいいのではないかと思います。

彼は、商売に自分の考えを入れることは危険だ、という僕の話をわかっているつもりでいました。それでも、「定価よりも安く仕入れられる」という表面上のメリットに、まんまと惑わされてしまいました。
それだけ、商品やサービスから考えるということが、ビジネスでの常識になってしまっているのです。常に気をつけていないと、いつの間にか「商品ありき」の発想に影響されてしまいます。

臆病者のための起業法
中村 裕昭(なかむら・ひろあき)
ゲートプラス株式会社 代表取締役
新規事業・ニッチビジネス構築を得意とする起業家。
福島県いわき市の工業高校卒業後、和食料理人を経て26歳でアクセサリーショップを開業。
しかし売上不振により1年で廃業。再起を図る過程で、独自の戦略とビジネス構築術を編み出す。
その手法を武器に、着物事業では人口33万人規模の商圏で地域一番店を構築。自転車のリユース事業では、わずか2年で全国に100事業所を展開させた実績を持つ。
現在は、設備メンテナンス事業、組織改革・チーム構築事業、リユース事業の他、複数のプロジェクトを推進。
講演・研修活動にも力を注ぎ、ビジネスやお金の悩みを抱える人々の問題解決を支援。経験に裏打ちされたリアルな知見が、多くの支持を集め続けている。
著書に『常識を捨てたときケタ違いのお金が入ってくる1億稼ぐスモールビジネスの新ルール』(ぱる出版)、『小さな会社で大きく稼ぐ! 最強のビジネスモデル』(つた書房)などがある。

ゲートプラスHP:https://bizsupport.jp/
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