本記事は、新名 史典氏の著書『成功率が圧倒的に高まる プレゼンの強化書』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

成功率が圧倒的に高まる プレゼンの強化書
(画像=joyfotoliakid/stock.adobe.com)

何から話し始めるべきか?

多くの提案書の最初は「会社案内」になっている

プレゼンテーションを支援する仕事の1つに、提案書の添削という仕事があります。最初にどこを見るかというと、構成です。つまり話の順番です。表紙、目次ときて、次にくるのはほとんどが自社の会社案内です。もちろん、会社案内は必要な要素。ただ、最初にくるということは「まずはうちの話から始めますね!」という意思表示になってしまいます。
しかし、提案とはそもそも相手を良くしてあげるためのもの。であるならば、最初は相手の話から入るべきです。すると聞き手(読み手)は「こちらの話をしてくれるのだな」と受け取ります。
相手の話とは何か? それは相手の困りごとだったり、相手のありたい姿。あるいは相手の会社そのものではなくとも、相手の業界で話題になっていることです。つまり解決したい相手の課題についてです。
業界で話題になっていることをプレゼンの導入にした例として、私がかつて実施した提案を紹介します。
当時、私は業務用の洗剤や消毒剤のメーカーで法人営業を担当していました。顧客は食品のメーカーです。特にコンビニのお弁当やおにぎり、サンドイッチなどを製造しているメーカーへの営業に力を入れていました。
この業界で課題となっていたのが、食品添加物を極力使いたくはないけれど、食品添加物を除去してしまうと品質を保持できないということでした。どうすれば食品添加物を使わずに品質を保持できるのか? 実際に現場でいろいろと検証したところ、ある機械での衛生管理によって実現できることがわかりました。ただ、そこにまだ多くの顧客は気づいていません。そこで、《「食品添加物を使わずして品質を保持したいが、どうすればいいのかわからない」という悩みについて今回、その対策を見つけることができたので提案したい》という切り口で提案書を作成しました。これはこの業界のほとんどの顧客が困っていた共通課題だったので、汎用性が高かったわけです。

ただ自社についてまったく触れないままだと、提案の信頼性が薄れてしまいます。そのため、課題を提示し、その解決策を述べたあとに、「なぜ自社がそれを提案できるのか」という根拠として、自社の紹介を簡潔にはさみます。ここでは、自社がどのような製品やサービスを持ち、どのような実績を上げてきたのか、さらに競合に対してどんな優位性を持っているのかを、要点だけ端的に伝えるといいでしょう。詳細は後半の会社案内に譲り、ここでは必要最小限の情報にとどめます。

相手が話の先を予測しながら聞くことができる工夫

冒頭に明確なリクエストを盛り込む

プレゼンテーションの最終目的は何でしょうか? それは情報を伝えることではなく、聞き手に「何らかの行動」を起こしてもらうことにあります。
上司からの承認を得たい、顧客に契約してもらいたい、パートナー企業に協力してもらいたい、など目的はさまざまでも、プレゼンは基本的に「相手に何かをしてもらう」ための行為です。
しかし、聞き手は話し手の頭の中までは読めません。「これくらい言えば、意図は伝わっているだろう」「そこまで言わなくても察してくれるはず」という期待は、実はとても危うい。明確にリクエストを伝えないと、プレゼン後に「なるほど、よくわかりました。ではまた検討してご連絡しますね」といった、曖昧な返答だけが残るかもしれません。そして、その「ご連絡」が二度と来ないことも少なくありません。
だからこそ重要なのは、「自分は相手にどんなアクションを求めているのか」を、話し手自身が明確に把握し、それをプレゼンの冒頭でしっかりと伝えることです。

例えば、聞き手が上司であれば、「この内容について了解いただき、次のステップに進ませていただきたい」や「次回の正式な会議で発表させていただきたい」といったリクエストがありえます。
相手が顧客なら、「この場で契約をご判断いただきたい」「実際の現場でフィールドテストをさせていただきたい」「社内の正式な検討会で取り上げていただきたい」など。
あるいは、代理店や協力パートナーなどの関係者には、「ぜひ一緒に販売施策を進めていただきたい」「クライアント企業向けの会議にご同行いただきたい」といった依頼が考えられます。
これらのリクエストは、プレゼンの最後に改めて「念押し」として伝えることも大切ですが、冒頭であらかじめ示しておくことが効果的です。「今日はこのような背景でお話をさせていただきます。結論として、〇〇のご判断の材料にしていただきたいと思っております」と伝えておけば、聞き手はその「ゴール」を意識しながら話を聞くことができます。

ここで遠慮や曖昧さは禁物です。奥ゆかしさが美徳とされる場面もありますが、プレゼンにおいては逆効果です。求めているアクションは、言い方自体はマイルドにするにしても、はっきり言葉にして伝えるべきです。
これは上司への報連相でも同じこと。上司の立場からすれば、報告と相談では聞く姿勢が異なります。
報告は知ることが重要。しかし、相談の場合、上司は的確なアドバイスをしなくてはなりません。最初にそれがわからないと、終わってから「えっ? 今の話は私に意見を言え、ということだっの?」となってしまいます。
かつての私には、これがうまい部下がいました。報告なのか、相談なのかを伝えるだけではなく、どのような心持ちで聞いて欲しいのかを明確に伝えてくれるのです。
例えば、「新名さん、これは明らかに状況報告なので、まずは知っていただきたいのですが」「これは相談です。自分なりの考えはあるのですが、少し不安もあるので念のために新名さんのご意見をいただきたいです」といった具合です。これによって聞く側はどういうつもりで聞けばいいのかが明確になり、とても助かります。
なお、「意思決定に直接関わらない関係者」に対してのリクエストは、「ちゃんとお耳に入れておきますから決して邪魔しないでね」ということ。ただ、言い方の工夫は必要で「今、このようなことを進めているので、またどこかのタイミングでご助言をいただくかもしれません。そのため、ぜひ、お耳に入れておきたいのです」というように、あなたを大事な関係者であると考えていますというニュアンスで伝えるのがいいですね。

成功率が圧倒的に高まる プレゼンの強化書
新名 史典(しんみょう・ふみのり)
株式会社Smart Presen代表取締役。
1971年生まれ。大阪府出身。大阪府立大学(現・大阪公立大学)大学院農学研究科修了後、サラヤ株式会社にて、営業・マーケティング・商品開発部門を約15年担当。大手コンビニエンスストアの食品安全保証プロジェクトでは、外資系大手との競合におけるプレゼンコンペで、18戦17勝という高い成果を収める。入社4年目には新規事業の営業統括部長に指名され、3年で年商24億円の部署に育てることに成功。
2011年10月に独立起業し、プレゼンテーション支援を主業とする「株式会社Smart Presen」を設立。研究、営業、企画、経営者と多様な立場でのプレゼン経験を基盤に、実践的な指導を展開。そのノウハウを体系化し、企業の新規事業創出・マーケティング・リーダーシップ・ネゴシエーション・部下育成など、多様なテーマでコンテンツを開発。
現在は、企業研修講師および新規事業創出プログラムの講師として、年間300回近い登壇や個別支援を行っている。研修では「丁寧な解説」「豊富な実体験」「面白い!」を追求。信条は「ビジネスは伝わってナンボ!」
主な著書に『顧客に必ず“Yes”と言わせるプレゼン』『上司を上手に使って仕事を効率化する「部下力」のみがき方』(ともに同文舘出版)などがある。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます。
成功率が圧倒的に高まる プレゼンの強化書
  1. プレゼンの冒頭で9割決まる、リクエストを先に言う技術
  2. 話が一気にわかりやすくなる、三角ロジックで組み立てる思考法
  3. プロほどハマる落とし穴、知識と意識のギャップが提案を弱くする
  4. 社内が一番大変、社内プレゼンは合理性だけでは通らない
ZUU online library
(※画像をクリックするとZUU online libraryに飛びます)