本記事は、菊原 智明氏の著書『マネジャーの心得』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

マネジャーの心得
(画像=fidaolga/stock.adobe.com)

「なぜ動かない?」ではなく「どうすればできる?」

工程上のボトルネックを探る

部下が思うように動かないときにあなたはどのように指導していますか?
「なぜ動かないんだ!」と責めたり「なぜ失敗したんだ?」と追及したりしている覚えがあるのなら、注意が必要です。
もちろん、原因を追究することも大切です。部下が2度も3度も同じ失敗を繰り返していたのでは会社としても困ります。しかし「なぜできなかったか」と問い詰めても、根本的に部下の行動を変えることにはなりません。

マネジャー職の知人は、部下が取引先への納品ミスを起こすという問題を抱えていました。
納期に微妙に遅れたり、場所や時間変更に対応できなかったりしてしまい、知人にも取引先から直接クレームがきています。今まで何度となく「なぜミスするんだ? 前も言っただろ!」と叱責しますが改善されなかったと言います。
そこで知人は「なぜできないか?」を問い詰める代わりに「どうすればできるか?」を一緒に考えることにしました。
具体的には、部下と一緒に1日の行動を書き出しチェックします。何が理由で納品が遅れてしまうのかをチームで考えたのです。
そこで判明したのは、納期に遅れる部下は「メールチェックが遅れて後手に回る」という行動です。外に出ている間、メールチェックせず夕方に帰ってからまとめてみるというパターンをとっている部下にミスが目立つことがわかってきました。
何か変更を知ったときには、すでに品物は発送されている、ということが起こっていたのです。
そこで、スマホのリマインダー機能を利用し10時、13時、15時とメールチェックの時間を設けることにしました。するとそこから、取引先のメールへのレスポンスが早くなり、納品のミスが激減します。工程上のボトルネックにあることがわかり、チーム全体で改善策を実行することができたのです。
このように、「どうすればできる?」という問いは、部下を責めるのではなく、行動を前向きに変える力を持っています。
一番大切なのは、部下が取り組みやすい“小さな一歩”を設計してあげることです。先ほどの例の“10時、13時、15時とメールチェックする”というのはいい例だと思います。

行動のハードルを下げてあげる

知人が経営しているIT企業でのことです。
開発チームでは、若手エンジニアのタスクが終わらず、進捗が滞ることが問題になっていました。技術者はこだわりが強い人が多く、どうしても期限を過ぎてしまうというのです。
ここで、マネジャーが「どの部分がボトルネックになっているのか」を観察しました。
すると、タスクの優先順位ができていないことが原因の一つだと判明します。目先のことにとらわれて、本来やるべき仕事ができていなかったのです。
マネジャーは部下に「出社したら今日やるマストの仕事を三つ書き出してみよう」と提案しました。さらに、終わったタスクにはチェックをつけるというシンプルな仕組みを導入します。これだけで、部下は自分で考えて行動できるようになり、仕事が滞ることなく進むようになったのです。

このポイントは、すべて解決しようとせず、部下が手軽に取り組める行為にまで落とし込むことです。一気に変えて手間が増えると部下は戸惑い、逆に動けなくなります。部下の行動のハードルを下げることが重要なのです。

優秀なマネジャーは、部下の問題点を把握し、適度な改善策を見つけ出します。そのポイントは、指示ではなく“問いかけ”で導くことです。

「今どこでつまずいている?」
「こうしたらどう思う?」
「次はどんな順番でやってみる?」

こうした問いかけは、部下に考える力をつけさせ、自分で判断し行動する力を育てます。言われたとおりに動く部下ではなく、自分で考えて動ける部下になっていくのです。
この思考を取り入れることで、チームは命令で動く組織から“部下が自ら考えて動く組織”へと変化するのです。

マネジャーの心得
菊原 智明(きくはら・ともあき)
営業サポート・コンサルティング株式会社代表取締役、関東学園大学経済学部講師、一般社団法人営業人材教育協会理事、営業コンサルタント。
群馬県高崎市生まれ。群馬大学機械科卒業後、トヨタホームに入社。その後7年間、苦しい営業スタッフ時代を過ごすが、お客様へのアプローチを訪問から営業レターに変えたことをきっかけに4年連続トップ営業となる。約600名のなかの営業トップとなり、社のMVPを獲得。2006年に独立し、営業サポート・コンサルティング株式会社を設立。現在は、経営者や営業向けのセミナー、研修、コンサルティング業務を行い、これまで15,000名以上を指導。2010年より関東学園大学講師も勤めている。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます。
マネジャーの心得
  1. エースから監督へ、任せるほどチームは強くなる
  2. 指示より質問、部下が自分で動き出すマネジメント
  3. 未来の時間をつくれ、できるマネジャーの“時間の複利”
  4. 答えを急がない、部下が動き出す“最後まで聞く”術
  5. 評価で終わらせない、認めてから一緒に改善する2ステップ
ZUU online library
(※画像をクリックするとZUU online libraryに飛びます)