本記事は、菊原 智明氏の著書『マネジャーの心得』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

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(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

「エースから監督になる」と考えるとうまくいく

マネジャーという仕事に就いたとき、あなたのキャリアは新しいステージに入ります。それは、プレーヤーとして自分が結果を出す立場から、チームとして結果を出すという立場に変わるということです。
多くの人は、この変化を頭では理解していても、なかなか気持ちの面では受け入れられないものです。

プレーヤー時代に積み上げてきた成功体験は素晴らしいものでしょう。
しかし、その誇るべきことが、マネジャーとしての成長を妨げる“足かせ”にもなることもあります。

あなたはきっと能力の高い人ですから、部下がもたついているところを見ると「自分がやった方が確実にいい結果になる」と思うのは当然のことです。
しかし、時間は有限であり、一人でできることは限られています。一人の努力で出せる成果には、どうしても限界があるのです。

知人のマネジャーが、
「部下に任せたいと思いながら、自分でやってしまいます。その結果、数字も伸びず部下も育たないんです」
と言っていました。
これは多くのマネジャーが持つ共通の悩みです。責任感が強く、成果にこだわるマネジャーほど、この落とし穴にはまってしまいます。

マネジャーの役割は、完璧に仕事をこなすことではなく、チームのポテンシャルを引き出すことです。

サッカーでたとえるなら、あなたはピッチ上でボールを追っていたエースストライカーから、戦略を立てる監督に変わったという感じです。
かつては、自分がドリブルで相手を抜き、ゴールを決めることに快感を覚えていたでしょう。
監督になったのなら、選手の適性を見極めてオーダーを組み、試合を見守ります。ピッチに立ってはいないけれど、あなたの采配や判断一つで試合の流れが決まります。
最初は物足りなく感じるかもしれません。
しかし、監督にしか味わえない喜びがあります。
「やっと彼が一人で契約を取れた」
「配置換えをしたら彼女は伸びたな」
部下が結果を出した喜び。その喜びは、プレーヤー時代のどんな成功よりも味わい深いものです。

“任せる”と“放任”との違いとは

では、どうすれば部下にうまく仕事を任せられるのでしょうか。

ポイントは「任せっぱなしにしない」ことです。
任せることと放任はまったく違います。

私が研修を担当している企業の優秀なマネジャーは「結果の責任は私が取る。だから思い切ってやってごらん」といったことを伝えていました。
責任を引き受けながら自由を与えているのです。
そのマネジャーが「部下への声掛けのコツ」を教えてくれたことがあります。

  1. 定期的に声を掛ける(うまくやっているね、と声を掛ける)
  2. 小さな変化に気づいてあげる(これ上達したね、と伝える)
  3. ことあるごとに「困ったときにはいつでも相談して」と伝える

この三つを続けることで、部下は安心してチャレンジするようになります。「これで部下は失敗を恐れずに動けるようになる」とマネジャーは言いました。
信頼関係とはこうした日々の“安心の積み重ね”で生まれます。

“エースから監督になる”とは、自分だけのために戦うステージを終え、チームとして結果を出すステージに立つということです。
チーム全員が成長し「自分がいなくても成果が出るようになった」と感じられるときが来るかもしれません。
そのとき、あなたは本当の意味でステージアップできるのです。

マネジャーの心得
菊原 智明(きくはら・ともあき)
営業サポート・コンサルティング株式会社代表取締役、関東学園大学経済学部講師、一般社団法人営業人材教育協会理事、営業コンサルタント。
群馬県高崎市生まれ。群馬大学機械科卒業後、トヨタホームに入社。その後7年間、苦しい営業スタッフ時代を過ごすが、お客様へのアプローチを訪問から営業レターに変えたことをきっかけに4年連続トップ営業となる。約600名のなかの営業トップとなり、社のMVPを獲得。2006年に独立し、営業サポート・コンサルティング株式会社を設立。現在は、経営者や営業向けのセミナー、研修、コンサルティング業務を行い、これまで15,000名以上を指導。2010年より関東学園大学講師も勤めている。

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