本記事は、菊原 智明氏の著書『マネジャーの心得』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

マネジャーの心得
(画像=Parradee/stock.adobe.com)

「認める→ 伸ばす」の2ステップで部下を動かす

マネジングにおいて“部下のモチベーションを上げる”というのはとても大切なことです。とはいえ、部下のモチベーションを上げるのはそう簡単ではありません。

  • 褒めても動かない
  • 厳しく言っても動かない
  • 熱く語っても響かない
  • 丁寧に説明してもやらない

知人の多くのマネジャーから、このような「どうやったら部下のモチベーションが上げられるのか」といった悩みを聞きます。何とかして部下にやる気になってもらいたいと思っている人も多いでしょう。

小学生から高校生まで通う学習塾を経営している知人のBさんが、生徒のモチベーションを上げることについて話してくれたことがありました。Bさんは、塾の経営だけでなく自分も生徒に教えており、「生徒たちの成績をどう伸ばすか」を日々考えている人です。
生徒のモチベーションを上げるには、テスト結果を返す瞬間が勝負とのこと。そのときに絶対にやってはいけないことが“欠点を指摘すること”なのだそうです。
例えば70点だった生徒に「なんでこの30点落としたんだ」と注意したとします。こう言われた生徒はがっかりするでしょう。ほとんどの生徒が「自分は勉強してもどうせダメなんだ」と思い込んでしまい、そうなるとやる気を失っていくそうです。
テストを返すときは、まず取れた点について認めてあげます。
「70点の部分について、よく理解しているね。頑張った。いいんじゃないかな」といった言い方をします。まず、事実として取れている点数、努力の成果をしっかりと褒めてあげるのです。

これで生徒は安心します。その後「じゃあ、今回取れなかった30点について一緒に対策を考えよう」と続けます。
認める→ 伸ばす
この順番にするだけで、生徒は前向きに次の一歩を踏み出すというのです。
これはそのまま、部下育成にも応用できます。

一般的なマネジャーはできていないところに目が行きやすくなります。
「なぜこんな簡単な案件を失注したんだ」
「ケアレスミスじゃないか」
「どうして言われたとおりにできないんだ」

こんなことをそのまま口に出したらどうでしょうか? 部下は落ち込み、仕事へのモチベーションを下げてしまうのです。一つの失敗がトラウマになり、行動できなくなってしまう部下もいるでしょう。
そこで先ほどご紹介した「認める→ 伸ばす」の2ステップで行います。

1 まずはできている部分を認める
「ここまでの説明はしっかりやっているね」
「報告はとても分かりやすかったよ」
「この部分の成長はすごいと思う」

まずはできている部分を見つけ認めます。たったこれだけで、部下は心を開き、素直に話を聞く姿勢になります。

2 認めたうえで改善を一緒に考える
出来ている部分を認めたら次に伸ばすステップに入ります。
「じゃあ、この部分は一緒に対策を考えようか」
「ここは一緒にやってみよう」
「原因を一緒に整理してみよう」

注意や押しつけではなく“共に前進するスタンス”を見せるのです。部下は「自分はダメ人間ではなく伸びしろがあるんだ」と感じ、一気にモチベーションを上げるのです。

ひと昔前は「部下は厳しくしないと伸びない」と言われていました。
しかし、今は違います。

  • 認められると伸びる
  • 寄り添われると動く
  • 褒められるとやる気になる

やる気を引き出したいなら、まずは「できている部分を見つけてしっかり伝える」というスキルを磨いてください。そのうえで一緒に解決策を探っていきます。
この2ステップが、部下を育てるマネジングの王道なのです。

マネジャーの心得
菊原 智明(きくはら・ともあき)
営業サポート・コンサルティング株式会社代表取締役、関東学園大学経済学部講師、一般社団法人営業人材教育協会理事、営業コンサルタント。
群馬県高崎市生まれ。群馬大学機械科卒業後、トヨタホームに入社。その後7年間、苦しい営業スタッフ時代を過ごすが、お客様へのアプローチを訪問から営業レターに変えたことをきっかけに4年連続トップ営業となる。約600名のなかの営業トップとなり、社のMVPを獲得。2006年に独立し、営業サポート・コンサルティング株式会社を設立。現在は、経営者や営業向けのセミナー、研修、コンサルティング業務を行い、これまで15,000名以上を指導。2010年より関東学園大学講師も勤めている。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます。
ZUU online library
(※画像をクリックするとZUU online libraryに飛びます)