本記事は、小林 大祐氏の著書『2035年 増える富・消える富の見分け方 インフレ地獄を生き抜く資産戦略』(KADOKAWA)の中から一部を抜粋・編集しています。

2035年 増える富・消える富の見分け方 インフレ地獄を生き抜く資産戦略
(画像=jirsak/stock.adobe.com)

「幸福の定義」を明確にせよ
ーぼんやり生きている者に未来はない

事業や投資を始める際、なんとなく「金持ちになりたい」と思っているだけでは、成功できない。そもそも、本当に成り上がる必要があるのか、その金持ちとはどの程度を指すのか、カネを得て何をしたいのかを具体化しなければ、適切なゴール設定ができないからだ。
そもそも、自身が目指す幸せとは何かという定義を明確にしないまま適当なゴールを設定してしまうと、無駄な努力をする可能性さえある。

私はよく「上場を目指さないのですか」と聞かれるのだが、事業をこれ以上拡大するつもりはまったくない。もちろん、自らが生み出した企業を上場させてたくさんの雇用を創出し、社会に貢献している起業家は素晴らしいと思うし、心から尊敬しているが、自分がそうなりたいとは思わないのだ。
たくさんの人を雇ってそのトップに立つというのが自分の性には合わないし、その責任の重さも自らの人生を犠牲にする。
そもそも、私は私と私の周りにいる、私と関わりのある人しか幸せにする自信はないが、事業を成長させている起業家の多くは、人生のありとあらゆるリソースを事業成長に投入し、世の中を変えようとあらゆるものを犠牲にし人生を懸けている。

そんなわけで、私は自身の幸せと人生のゴールは、今以上の事業成長や多くの従業員を雇用して社会に貢献することではなく、自分と周りの人たちを幸せにすることだと定義している。
もし私がこの「幸せの定義」を定められていなければ、今ごろは1,000億円の資産を持つ人たちと自分を比べて、コンプレックスをこじらせていることだろう。

成功とか成り上がりというのは明確な定義があるわけではないので、どこまでの状態を「なりたい自分」と考えるか、そのラインや定義を明確にしなければいつまでたっても満足できない。ただ、私の感覚だと、資産が5億円を超えれば、その先はあまり意味がなく、変わらないと確信している。
もっと資産を増やしたければ、リスクが高いがアップサイドも高い株のような対象に投資する必要があるだろうが、私は今ある資産を守れれば十分なので、インフレ耐性の高い現物資産に軸足をおいて保有しているし、為替や株など、ボラティリティの大きな資産には一切手を出していない。

この先、倍々ゲームで資産を増やすことはできないだろうが、暴落局面が訪れても特に感情を乱されることはない。暴落に敏感になるのは、まだまだ事業を拡大しようとしている人や、資産を増やそうとしている人たちだからだ。
こうした選択の根底にあるのは、まさに「幸せの定義」である。幸せの定義は人それぞれであり、それを明確にするのは最初のステージで特に重要だ。そしてこの定義は、資産の多寡たかとはまったく関係がない。

たとえば、私はある知人を連れて新宿にあるなじみのもつ焼き屋によく出かける。狭くて、お世辞にもきれいとはいえない店だが、そこで出される料理はどれもうまい。
その知人は特に、奥さんが中国人で家では中華料理ばかり食べているそうで、たまに食べるこのもつ焼きが格別にうまいと喜んでいる。お腹がはちきれるほど食べても、一人3,500円程度であり、そんな店でも幸せを感じられるのは日本人の特権だと思える。

もちろん、高級レストランに行くこともある。こういう店ではシャンパンやワインが1本15万円なんてザラだ。
このシャンパンやワインはネットなら3分の1の値段で買えることは知っているが、心のこもった素晴らしいサービスをしてくれるし、そういう場所でしか会えない人たちと過ごす時間には大きな価値があると評価しているので、高いとは思わない。

重要なのは、シャンパンが1本15万円する店と、1本120円のもつ焼き店での食事の間に、本質的な幸せの違いがあるわけではないということだ。
昨今はSNSで日常的にマウントを取り合うのが当たり前になっている。高級な料理を前に1本15万円のシャンパンを開けている投稿を見て、これを経験することが幸せなのかと錯覚する人は多い。
しかし、実際にはそうした経験を一度もしないまま人生を終える人が大半であり、それだけでその人たちが不幸だなんてことはあり得ない。むしろ、その辺にいる億万長者よりもよほど幸せで、満足な人生を送っているかもしれないのだ。だからこそ、自分の「幸せの定義」を内省し、見極めることが必要になる。

つまり、幸せの定義とは「自分が人生をかけて成し遂げたいこと」を明確にすることだ。
それは人によってまったく異なるし、向き不向きもあるだろう。
会社員として平均的な収入を得ながら愛する家族と笑顔があふれる家庭を築くことや、嫁さんが作ってくれるうまい味噌汁を1日でも長く飲み続けることだって、立派な幸せの定義であり、人生のゴールだ。
誰もが死に物狂いで種銭を貯めて事業や投資に手を出して、巨万の富を得なければ幸せになれないわけではないのに、金はあるほどいいに決まっているという価値観のもとで本来の幸せを見失うのはとても不幸なことだ。

世界を見ればいまだに1日1ドルで生活する人や、戦場という明日の命も保障されない環境で暮らす人もいる。その一方で、我々は命の危険も感じず、雨露あまつゆをしのげる家でYouTubeを見ていられる。この事実だけでも、日本人は相対的にかなり幸せだ。
結論として、資本主義的な成功を追求するにせよ、そうでないにせよ、「自分の幸せの定義」を明確に持つことこそが、すべての起点だ。人生の戦い方は、この定義に応じて決めるべきなのだ。

2035年 増える富・消える富の見分け方 インフレ地獄を生き抜く資産戦略
小林 大祐(こばやし・だいすけ)
1976年生まれ。ホームコンサルティングソリューションズ株式会社代表取締役。大学卒業後、情報通信系企業に就職。関連会社解散後に親会社である富士ゼロックスに転籍。企業戦士となるが、「株式会社は株主のために存在すること」に気づき27歳の時に「兼業」で創業。「金なしコネなし知識なし」の全くのゼロから「総資産37億円」を築く。YouTubeチャンネル「不動産アニキの非常識な投資学」は登録者数10万人を超え、不動産投資を中心に、資産形成の実践的な考え方や国際情勢に対する独自の視点が注目を集めている。

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