GXエンジニアリング株式会社

2020年に設立し、太陽光発電関連の工事を中心に成長を続けてきたGXエンジニアリング株式会社。同社は再生可能エネルギーの出力制御という社会課題を背景に、2025年より系統用蓄電所事業へと本格参入した。最大の強みは、用地開発から設計、調達、建設までを内製化し、一気通貫で提供する独自のEPCモデルである。

自らデベロッパー的な役割も担うことで建設に付加価値を与え、目先の利益にとらわれない中長期的な成長を志向。今後は大規模な特別高圧案件への挑戦を視野に入れ、業界のポテンシャルを切り拓くと語る同社代表取締役の小高将司氏に、話を聞いた。

小高将司(こたか しょうじ)──代表取締役
1994年、埼玉県生まれ。中学校を卒業後、翌年より鳶職として建設業界に従事。2014年、電気通信会社へ入社し、通信インフラ工事や電気工事の施工管理経験を積む。2020年、TNK株式会社(現GXエンジニアリング株式会社)を創業。
GXエンジニアリング株式会社
2020年、TNK株式会社として設立。太陽光発電で培った技術を基盤に成長し、2025年より系統用蓄電所事業へ注力。設計から施工・運用まで一貫対応し、着工実績は2026年5月時点で20MW(80MWh)に達した。全国で用地取得・開発を進める。 企業サイト:https://gxe.co.jp/

目次

  1. GXに資するエンジニアリングサービスを提供
  2. 土地を取得し蓄電所をつくるというビジネスモデルの詳細
  3. 急成長を遂げつつも、長期的な利益確保を軸足にする
  4. 特別高圧の案件獲得が現在のチャレンジ

GXに資するエンジニアリングサービスを提供

── 電気関連のエンジニアリング会社ですが、これまでの事業変遷について教えてください。

小高氏(以下、敬称略) 私たちは、2020年にさいたま市見沼区で創業し、現在七期目を迎えました。もともとは電気工事業と太陽光発電設備に関する工事をはじめ、さまざまな分野での電気工事を行っていた会社です。

太陽光発電においては、工場の屋根上に設置する自家消費型設備(オンサイト)を、5年間にわたり幅広く事業展開してきました。

2025年より、新たな主力事業として系統用蓄電池事業を開始し、現在はその開発に最も注力しています。用地調達からEPC、メンテナンスまでワンストップで対応できる強みを活かし、企業や投資家の皆様への建設・販売を行っています。現在は、この蓄電池事業と従来の太陽光事業の2つを大きな柱として展開しています

── 再生可能エネルギーが特に取り組む領域ということでしょうか?

小高 私たちの展望としては、社名にあるGX(グリーントランスフォーメーション)の通り、再生可能エネルギーにかかわるエンジニアリングサービスを広く展開することです。風力や水力など、幅広い再生可能エネルギーに対応するエンジニアリングサービスを提供したいと考えています。

当社の最大の強みは建設力です。工事を外注に頼る営業会社も多い中、私自身が電気工事会社出身ということもあり、当社は社内に確かな技術と職人の力を備えています。設計から調達、そして発電所として仕上げて引き渡すまでの一貫したスキームは、当社のDNAとして、新たな蓄電池事業でも同様に活かされています。

ビジネスモデルとしては、自社で開発した用地、あるいはご紹介いただいた用地に対して、当社の建設力という付加価値を上乗せして仕上げ、企業様や投資家様に販売することで収益を上げる仕組みです。

蓄電池事業を手掛ける企業には運用収益で成り立つモデルもありますが、私たちはEPC(Engineering、 Procurement=調達、 Construction)として、調達から建設までを一貫して内製化しています。特定建設業の許可も取得しており、中規模から大規模の高圧・特別高圧の発電所を得意としています。

土地を取得し蓄電所をつくるというビジネスモデルの詳細

── 太陽光発電だけでなく、蓄電所をつくるビジネスに参入した理由を教えてください。

小高 2011年、FITという太陽光で発電したものを固定価格で買い取る国の制度が始まりました。それを端緒に、太陽光発電所はとてつもないスピードで開発されてきました。

当たり前の話ですが、太陽光発電は太陽の光が当たれば発電できます。つまり、電気があまり必要のないときでも、天気がよければ発電されてしまうのです。そこで今、出力制御という発電の抑制がかかることがあります。いい換えれば、電気を捨てている状態です。

そこで救世主となるのが、蓄電池です。発電しすぎたものを捨てないために貯めておくための調整をする役割が、蓄電池にはあります。

また、この日本では電力を安定させるため、火力発電があり、今後は原子力発電の稼働も始まります。いわゆる、ベース電源です。必要なときに必要な分量を生み出し、調整するためのものです。

これらの調整力の置き換えとなるのが、蓄電池の存在だと考えています。発電所が増え、発電力も増えたのに、調整力が追いついていないという状況を変えるものです。私自身、太陽光発電にかかわる立場として、調整が追いつかないということを切々と感じていました。

よって、蓄電所が今後、間違いなく増えるとの考えから参入しました。

── 系統用蓄電池を一気通貫で手掛けるにあたり、体制構築で最も困難だった点は何でしょうか?

小高 最大の壁は、土木分野の知見を深め、専門人材を集めて強固な体制を構築することでした。ここに約半年間、総力を挙げて取り組み、ようやく現在のベースができ上がりました。

もともと私たちが得意としていたのは、屋根上の太陽光発電所でした。系統用蓄電池事業と屋根上太陽光発電所との最大の違いは、土木工事の規模です。屋根上であれば重機を入れた造成や伐採、排水勾配を考慮する必要はありませんが、野立ての蓄電池施設ではそれらが不可欠です。

私自身、土木ではなく電気工事会社出身だったため、組織として知見をどう高めるかが最大の課題でした。許認可の取得や、造成後の道路への排水トラブルを防ぐ設計など、まったく異なる専門性が求められます。

現在も受注を重ねながら精度を高め、根拠のある提案ができるようになったと感じています。

── 土地を仕入れて付加価値をつけ売却する、デベロッパーに近いビジネスモデルですね。

小高 結果的にそうなったというのが正しいかもしれません。もともとは電気工事の下請けからスタートしましたが、系統用蓄電池に参入するタイミングで、用地まで確保することがEPCとして必要だと判断しました。

土地を持つ企業が自社で一気通貫の開発を行う場合がある前提では、私たちがいくら安く高品質な工事を提供しても成長する余地がなくなってしまいます。そのため、自ら用地を取得し、「最後まで一貫してお任せいただく」ことが販売の条件です。

土地さえ自社で押さえていれば、柔軟に販売先を選び、責任を持って運転開始まで導くことができます。工事の受注を確実にするためにも、自らデベロッパー的な役割を担う必要があったのです。

── サプライチェーンを自社で抱えることにはリスクもあるかと思いますが、あえて持たれている理由は何でしょうか?

小高 突発的な依頼を待っているだけでは事業は成り立たないからです。後工程の建設・設定をパッケージとして提供し、確実に出口を見据えているため、自社でサプライチェーンを持つことが強みになると考えています。

急成長を遂げつつも、長期的な利益確保を軸足にする

── 飛躍的な成長を遂げた理由は何でしょうか?

小高 2018年頃から太陽光発電業界では徐々にメガソーラーが衰退し、自家消費型の屋根上設置が増加していました。そのタイミングで、電気工事を中心とした太陽光設備を開発できる当社を創業したことが、時代のニーズと合致しました。

屋根上への設置には、分電盤や電気系統の細かな設計、シミュレーション、EV(電気自動車)を連携しての非常時供給のアイデアなど、高度な電気的知識が求められます。土木工事やメガソーラーに強い従来の企業が参入しづらい領域に、うまく入り込めたことが成長の秘訣だと思います。

── 経営判断において重要視していることは何でしょうか?

小高 短期的な利益に目を奪われないことです。たとえば、仕入れた土地を高値ですぐに転売すれば現金化は早いですが、当社の本質は建設業です。上物を建てて運転させることで初めて価値が生まれます。目先の利益ではなく、建設による付加価値をつけて大きな収益を得るという中長期的な視点を大切にしています。

1〜2年の収益ではなく、5年、10年と伸び続けることができる企業を目指しています。

特別高圧の案件獲得が現在のチャレンジ

── 今後、IPOや外部資本の受け入れは検討されていますでしょうか?

小高 今は考えていません。組織として大きくしたいという思いはありますが、IPOや外部資金の考えはないです。

── 将来に向けて、現在強化すべきと考えている部分はどこにありますか?

小高 より大規模な「特別高圧案件」(電圧が7000ボルトを超える電力契約。各地で開発されるデータセンターが特別高圧契約となりやすい)への挑戦です。開発期間が長く、資金的・技術的なハードルも高い領域ですが、現在高圧案件の実績が増えており、そこで体力をつければ実現可能です。

この壁を乗り越え、会社としてもう一段階、二段階とスケールさせる勝負の時期だと認識しています。

当面は新しい事業を始めるよりも、今ある事業をベースに質を深掘りし、大規模案件に対応できる体制を強化します。

── 今後の展望を教えてください。

小高 再生可能エネルギー業界は、カーボンニュートラルに向けて本格的に動き出したばかりです。2030年、2050年に向けて、メンテナンスを含めた業界のポテンシャルは計り知れません。今後、特別高圧案件にもスケールするため、高圧案件や土地の売買についても話を進めたいです。

また、特別高圧を含む大規模案件に対応できる体制構築に向けて、技術力と現場力を兼ね備えた人材の採用を積極的に行っていきます。