
株式会社Onfleekグループは、20代に特化した人材紹介から始まり、現在は建設・IT分野の技術者派遣へと事業を拡大している。
代表取締役の渡邊将氏は、高校を卒業後、飲食業界での経験から、「なぜこれほど良い奴らが、仕事でつまずいてしまうのか」と疑問に感じ、人材支援に興味を持ち、起業する。当時から、「誠実で仕事に誇りを持つ人材」を「イケてる」と定義し、質の高いマッチングを追求し続けている。
同氏の創業の思いや「知る」ことを重視する独自のマネジメント論、そして2030年に売上高50億円を目指す成長戦略について聞いた。
目次
行動指針の根幹にあるのは「イケてる集団を作りたい」との思い
── 最初に事業変遷と、人材業界で起業しようと考えた背景を教えてください。
渡邊氏(以下、敬称略) 現在は人材紹介と人材派遣の二軸で事業を展開しています。以前は飲食事業なども手がけていましたが、現在は売却し、人材サービスへの「選択と集中」を行っています。
私の最終学歴は高卒です。高校卒業後は飲食業界に従事していました。その中で、100人ほどの学生アルバイトと接する機会がありました。
彼らの中には、せっかく就職してもすぐに辞めて帰ってくる者が少なくありませんでした。しかし、私から見れば彼らは非常に優秀で、魅力的な人間ばかりでした。
「なぜこれほど良い奴らが、仕事でつまずいてしまうのか」と疑問に感じたことが、人材支援に興味を持ったきっかけです。
── 優秀な若者が力を発揮できていない現状に、課題を感じたのですね。
渡邊 大学を出ていれば、本来は多くの選択肢があるはずです。しかし、その価値や可能性に気づけていない若者が多いと感じました。
彼らに「選べることは当たり前ではない」と伝え、それを現実的な支援として形にするために、20代特化型の人材紹介事業を立ち上げました。
── 創業は3人でのスタートだったそうですが、当時から「イケてる集団を作りたい」という思いを掲げていたとか。
渡邊 はい。その「イケてる」という言葉は、現在も当社の行動指針の根幹にあります。
── 「イケてる状態」とは、具体的にどのような姿を指すのでしょうか。
渡邊 一言で言えば、素直で誠実であり、自分の仕事に対して誇りを持っている状態です。
クライアントやお客様に対して誠実であることはもちろん、一緒に働く仲間に対しても誠実であるべきです。
仕事に一生懸命取り組み、周囲を大切にする。そんな人間こそが「イケてる」と定義しています。
この考え方は創業時からまったくブレていません。
── その思いは、現在のITソリューション事業やコンストラクション事業にもつながっているのでしょうか。
渡邊 もちろんです。IT事業は、もともとIT業界の知見を持つ役員がいたことから、20代の若手を輩出するために開始しました。
コンストラクション事業については、私の家系、具体的には祖父が建設業で事業を起こしたことが背景にあります。
自分でも会社を経営してみて、何年も組織を継続させることの難しさとすごさを身をもって感じました。
これまで自由にやらせてもらった恩返しとして、自分にできることは何かと考えたとき、建設業界の深刻な人手不足が思い浮かびました。
私たちが得意とする「20代の人材支援」を通じて、質の高い人材を建設業界に送り出すことができれば、業界全体に価値を提供できると考えました。
「量」より「質」を追求し、企業と求職者の真の伴走者となる
── 建設業界の経営者は、軒並み人材確保に悩んでいます。Onfleekのサービスは非常に喜ばれているのではないでしょうか。
渡邊 ありがたいことに、多くのお客様から高い評価をもらっています。立ち上げ当初は、私自身が営業から面接まですべて一人で行いました。
実際にお客様のもとへ足を運ぶ中で、感謝の言葉を直接もらうことが多く、自分たちが「イケてる人材」を創出できているという手ごたえを感じました。
── 競合他社も多い人材業界において、貴社の優位性はどこにあると考えていますか。
渡邊 私たちは「大量採用・大量紹介」というモデルは取りません。母集団はたくさん集めますが、その中から私たちが「イケてる」と確信した人材のみを採用・紹介しています。
── 質の担保を最優先していると。
渡邊 人材紹介業界はレッドオーシャンですが、当社の特徴は「伴走型」の支援にあります。
多くの大手企業では、営業担当者の評価指標(KPI)が面接設定数などの「数」に置かれています。しかし、当社ではそのような指標は置いていません。
── 数を追わないのであれば、何を重視してマッチングを行うのですか?
渡邊 その企業が持つカルチャーや、働く人たちの思いを深く理解することです。
「自分たちが転職するなら、この会社に行きたい」と心から思える企業に絞って提案します。
条件面や福利厚生だけでなく、本質的な価値観が合致しているかを重視するため、入社後のミスマッチや早期離職が他社よりも少ないのが強みです。
マネジメントの本質は「知ること」。個々の動機に寄り添う組織づくり
── 創業から短期間で従業員数120人規模まで拡大しています。組織運営において大切にしている基準は?
渡邊 マネジメントにおいて最も大切にしているのは「知ること」です。
マネジメントという言葉は一般的ですが、その本質を理解している人は少ないと感じます。
働くメンバーは、育った環境も価値観も一人ひとり異なります。全員が同じ考えを持っているはずがありません。
それなのに、個々の背景を無視してコントロールしようとすること自体が、根本的に間違っていると考えます。
── 一人ひとりの個性を尊重するということでしょうか。
渡邊 そうです。部下がなぜこの会社で働いているのか、将来どうなりたいのか、何を大切にしているのか。
それらを知らずに「これをやれ」と言っても、人は動きません。マネジメントをするなら、まずは相手を深く知る。これが当社のカルチャーです。
── 評価制度についても、独自の考え方があるのでしょうか。
渡邊 完全実力主義の側面はありますが、インセンティブの比重は定量面と定性面で五分五分に設定しています。
営業職である以上、数字に対する対価は必要ですが、それ以上に「誠実さ」などの定性的な行動を評価に組み込んでいます。
役職は責任の範囲を広げるためのものですが、実績を出している人間でなければ、周囲を引っ張ることはできません。そのバランスを大切にしています。
2030年に売上高50億円。唯一無二の総合人材サービス企業へ
── 組織が拡大する中で、これまでに直面した壁や課題はありましたか。
渡邊 売上高が10億円を超えるタイミングで、一つの壁を感じました。
それまでは勢いと圧倒的な行動量だけで突き進んできましたが、ある時期に離職が続いてしまったのです。
── その課題をどのように乗り越えたのでしょうか。
渡邊 「攻め」と「守り」のバランスを見直しました。全員が納得して働けるような仕組みや制度を緻密に構築し、組織としての安定性を高めました。
ガサツな経営では限界があると学び、緻密さを取り入れたことで、10億円の壁を突破することができました。
── 今後の展望について、具体的な目標を教えてください。
渡邊 2027年に売上高30億円、2030年には50億円を達成するという目標を掲げています。
── 非常に高い目標ですね。どのような戦略を描いていますか。
渡邊 IT事業では受託開発まで手がけられる体制を整えます。コンストラクション事業では、土木、特に電力インフラに特化することで、唯一無二の存在を目指します。
人材紹介においては、「20代の転職ならオンフリーク」と言われるまでサービスの価値を高める決意です。
── 外部資本を入れずに成長を続けている点も特徴的です。
渡邊 誰かの顔色をうかがいながら経営をしたくないという思いがあります。
現在は金融機関からの融資を活用しながら、自分たちのペースで加速しています。上場についても、現時点では考えていません。
「ワクワク」を原動力に、紹介が絶えない信頼の輪を広げる
── 今後はM&Aなどの展開も視野に入れているのでしょうか。
渡邊 IT企業の買収や、集客力のあるメディアを持つ会社のM&Aは検討しています。
人材サービスにおいて集客は命です。私たちの教育体制やマッチングの仕組みに、強力な集客プラットフォームが加われば、さらに大きなスケールメリットを生み出せると確信しています。
どのような企業にとっても、「人」の課題は避けて通れないものです。
私たちのサービスの良さは、実際に使ってもらわないと伝わりにくい部分があるかもしれません。口(クチ)では何とでも言えるからです。
しかし、当社はこれまで多くのお客様からの「紹介」によって成長してきました。他社をすべて解約して当社に一本化してくださるところもあります。
── 紹介が多いというのは、信頼の証ですね。
渡邊 私たちは、目先の数字のために質を妥協することはありません。長く結果を出し続けるためには、誠実であることが不可欠だからです。
「この会社はおもしろそうだ」「何かワクワクさせてくれそうだ」と感じていただけたら、ぜひ私たちを頼って欲しいです。
期待を超える価値を提供し、人と企業にワクワクを届ける存在であり続けます。