本記事は、水澤 健一氏の著書『インフレ時代の不動産投資 最短で成功するロードマップ』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

インフレ時代の不動産投資 最短で成功するロードマップ
(画像=Fyezzbd_stock.adobe.com)

物件の引渡しを受けたその日からあなたは経営者です

物件の引渡しを受けた瞬間、多くの人はこう思うでしょう。
「これでようやく不動産投資のすべてのタスクが終わった!」
しかし、本当はここがスタートです。
物件を購入するまでは「投資家」ですが、引渡しを受けたその日からは「経営者」になります。
投資家の目的は物件を取得することですが、経営者の役割は、入居者に安心して暮らせる住環境を提供しながら、長期にわたって利益(税引後キャッシュフロー)を生み続けることです。つまり、本当の仕事はここから始まります。

決済当日は、想像以上にやるべきことがあります。
購入代金の残代金の支払いをはじめ、不動産会社への仲介手数料、司法書士など士業への報酬、固定資産税や管理費などの日割精算を行い、多くの書類への署名・押印も必要になります。
さらに、土地や建物の図面、賃貸借契約書などの関係書類を受け取り、プロパンガスであればガス会社との契約、共用部の電気・水道などの契約名義の変更、管理会社との打ち合わせや管理委託契約など、引渡し後の準備も進めなければなりません。
初めて物件を取得する方は、決済当日の慌ただしさに追われ、「後で対応しよう」と思っていたことを忘れてしまうことも少なくありません。事前にチェックリストを作り、一つずつ確認しながら進めることをおすすめします。

そして、特に重要なのが引渡し後の最初の数カ月です。
この期間の対応が、その後の賃貸経営を大きく左右すると言っても過言ではありません。
例えば、私たちが新築9部屋のアパートを取得したときのことです。引渡し時点では満室ではなく、最終的に満室になるまで約半年かかりました。
原因は、同じエリアで同時期に大型の新築物件が大量供給されたことでした。
私は管理会社の店長や担当者と定期的に打ち合わせを行い、現地を何度も確認しました。その結果、競合物件が仲介会社へ家賃3カ月分以上という高額な広告料を設定していたことが分かりました。当然ながら仲介会社はそちらを優先して紹介するため、私たちの物件は後回しになっていたのです。
このようなケースは決して多くはありません。しかし、競争環境によっては十分起こり得ることです。
幸い、この物件は融資実行時に銀行と相談し、引渡しから半年間は元金据置きで金利のみ返済という条件にしていたため、大きな資金繰りの不安を抱えることなく満室になるまで待つことができました。もちろん、その間の家賃収入は失われますが、焦って条件を悪化させることなく経営できたことは大きなメリットでした。

また、別の築浅アパートでは、管理面の課題も経験しました。
こちらは満室で引渡しを受けたため入居には困りませんでしたが、管理会社には複数の管理プランがあり、試しに管理費の安いプランを選択しました。
結果は予想どおりでした。
引渡しから数カ月後に現地を確認すると、共用部の清掃が不十分で、郵便ポストにはチラシが散乱し、ゴミ置場や駐輪場も整理されていませんでした。
共用部が荒れてくると、入居者のマナーも少しずつ悪くなります。そして、その雰囲気が新たな入居希望者にも伝わり、さらに管理状態が悪化するという負の循環に陥ってしまいます。
そこで以前から取引のあった管理人サービス付き清掃会社に現地を確認していただき、定期清掃を依頼することにしました。
それ以来、共用部は常に清潔な状態が保たれ、入居者のマナーも改善し、退去が出ても比較的短期間で新しい入居者が決まるようになりました。

この経験から学んだことは、管理会社に任せることと、任せきりにすることはまったく違うということです。
管理会社は賃貸経営に欠かせない大切なパートナーです。しかし、最終的な責任を負うのはオーナーです。
だからこそ、定期的に現地へ足を運び、自分の目で建物の状態を確認することが大切です。管理会社とも適度な緊張感を保ちながら、お互いにより良い物件運営を目指す関係を築いていきましょう。

なお、管理会社から送られてくる巡回報告書は、賃料精算書と合わせて翌月に届くケースが少なくありません。その場合、確認できる情報はすでに1カ月前の状況となり、対応が遅れてしまいます。
最近では、スマートフォンのアプリを利用し、巡回当日に写真付きで報告してくれる管理会社も増えてきました。こうした仕組みを積極的に活用することで、小さな問題にも早い段階で対応ができ、物件の資産価値を維持しやすくなります。

インフレ時代の不動産投資 最短で成功するロードマップ
水澤 健一(みずさわ・けんいち)
大家さん学びの会®代表
1967年東京都生まれ。父の転勤で10歳から20歳まで兵庫県神戸市で過ごす。1988年神戸高専・電気工学科卒。1988年4月富士通株式会社に入社。1996年に日本ルーセントテクノロジーズ(米国元AT&Tの日本法人)へ転職。その後2度事業部ごと売却され、最後はイスラエル企業に所属。
1996年結婚を機に、所有していた香川県高松市郊外の戸建で賃貸を始める。1997年から妻の両親のそのままでは使えない不動産の整理整頓を抜本的に行い、賃貸マンション3棟新築、その際に立退、貸地トラブル解決、土地の等価交換、収益不動産の調達等とその手腕を発揮。
2004年2月4日に大家さんの為のお困りごと相談コミュニティ「大家さん学びの会®」を発足。この会から2008年に『絶対に「儲かる大家さん」になる実践バイブル』(日本実業出版社)を出版。現在、全国8拠点で定例勉強会&懇親会を行う。自身も個人・法人で賃貸経営を行う。2014年6月に会社員を卒業、大家さん学びの会®の勉強会の運営、メンバーサポートを行う。2014年からREITISS(物件購入から売却まで税引後キャッシュフローを分析するシステム)のマスター・コンサルタント。不動産投資で成功するメンバーを多数創出している。7棟の賃貸アパート・マンション、区分8、戸建て4の合計70世帯を運営中。

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