本記事は、小山 昇氏の著書『最強の仕組み「整頓の科学」』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
いち早く異常に気づけるのは整頓をしているから
整頓とは、正常な状態を決める仕組みである
仕事の異常に気づく力は、現場の真実をつかみ、正しい経営判断を下すために欠かせません。異常を放置すれば、やがて取り返しのつかない損失やトラブルにつながります。
異常に気づけるかどうかは、個人の能力によって決まるのではありません。社内に「整頓の仕組み」があるかどうかで決まります。
整頓とは、正常な状態を決めるための仕組みです。正常な状態とは、必要なものが、必要なときに使える状態のことです。
正常な状態が明確になると、そこから外れたものが異常として見えるようになります。
◉正常…… 「置き場所を決める」「名前と数量を明示する」「向きを揃える」「使ったあとは元の場所に戻す」といったルールが守られ、必要なものを、必要なときに、すぐに使える状態になっている。
◉異常…… ルールが崩れ、「いつも通り」ではない状態。必要なものがすぐに見つからず、無駄な判断や探す時間が生じている。
1から10までの数字が書かれたトランプを想像してください。
バラバラの位置に、向きもランダムに置かれていたらどうでしょうか。そこから「7」のカードが1枚抜けていても、すぐには気づけません。
しかし、数字を1から順番に、向きを揃えて横一列に並べておけばどうでしょう。あるべき場所に空白があれば、誰が見ても「7が抜けている」とすぐにわかります。
置き場所も数量も決まっていなければ、何が正常で何が異常なのかがわかりません。乱れていても、足りなくても、本人は見慣れてしまっているので気づけない。
会社の異常が見過ごされやすいのは、整頓が行き届いていないからです。
行き当たりばったりになるのは、整頓をしていないから
日常業務においても、正しい状態を決めておくことが大切です。行き当たりばったりで仕事を動かしたり、個人の裁量に任せきりにしたりせず、
「誰が、どの仕事を、どのやり方で、どの日に、どれだけやるのか」
とルールを決めて業務を整頓しておけば、予定通りに進まないときに「何かが起きている」と察知できます。
わが社は、在庫を管理する際、
「売れている商品を増やして、売れない商品を減らす。売れている順に商品を置く」
と整頓の基準を決めています。
「売れている順に並んでいる」のが整頓された正常な状態だと決めていれば、在庫の山を見ただけで、どの商品が動いていないかがひと目でわかります。
もし、一番手前に置かれている売れ筋商品の動きが鈍く、奥に置かれている商品が先に減っていたら、それは「売れ筋が変わった」あるいは「需要予測が外れた」という異常のサインです。
置き場を整頓せず、ただなんとなく商品を並べていては、死蔵在庫が増えても気づけません。整頓ができていない会社では、知らないうちに利益がゴミに変わっていきます。
基準があるから、異常が起きたときに原因を突き止めることができます。
会社の異常に気づけないのは、社員の意識の問題だけではありません。経営者が整頓の仕組みを導入していないことが大きな原因です。
1948年山梨県生まれ。東京経済大学卒業後、1976年に日本サービスマーチャンダイザー(現・武蔵野)に入社。一時期、独立して自身の会社を経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰し、1989年より社長に就任。赤字続きだった武蔵野を売上70億円(社長就任時の10倍)を超える優良企業に育てる。
2001年から同社の経営の仕組みを紹介する「経営サポート事業」を展開。現在、700社超の会員企業をサポートし、400社が過去最高益となっているほか、全国の経営者向けに年間240回以上の講演・セミナーを開催している。
1999年度「電子メッセージング協議会会長賞」、2001年度「経済産業大臣賞」、2004年度、経済産業省が推進する「IT経営百選最優秀賞」をそれぞれ受賞。2000年度、2010年度には中小企業部門では日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞。2023年「DX認定制度」認定。2025年・2026年、健康経営への取り組みが評価され、健康経営優良法人「ホワイト500」に認定。
『経営者のための生成AI組織的活用の教科書』『1%の社長しか知らない銀行とお金の話』『人が輝く経営のすごい仕組み』『生成AIでわかった経営者のための人財定着術』(いずれもあさ出版)、『会社を絶対潰さない 組織の強化書』(KADOKAWA)、『「儲かる会社」の心理的安全性』(SBクリエイティブ)、『改訂4版 仕事ができる人の心得』(CCCメディアハウス)など著書多数。
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