本記事は、小山 昇氏の著書『最強の仕組み「整頓の科学」』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

最強の仕組み「整頓の科学」
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サシ飲みを仕組み化して上司と部下の関係を整える

サシ飲みで、上司と部下の距離を縮める

なぜ、上司と部下の「サシ飲み」が必要なのか。
理由のひとつは、上司は部下を叱らなければならない場面があるからです。
部下が失敗したときに、問題点を指摘することは必要です。ただし、上司と部下の間に信頼関係ができていない状態で叱ると、部下は反発しやすくなります。
上司がどれだけ冷静に指摘しても、
「自分のことをよく知らない人から、一方的に否定された」
と感じれば、部下は素直に受け止められません。つまり、問題は叱り方だけではなく、「1対1の人間関係」ができているかどうかです。

上司にとって部下は、「たくさんいる部下のひとり」です。しかし部下は、「自分をちゃんと見てくれているか」を気にしています。だからわが社は、叱る前に、まず上司と部下の心理的距離を縮めることを重視します。
そのための仕組みが、「サシ飲み(サシランチ)」です。
サシ飲みは、最初に上司が、自分の故郷や家族、若いころの失敗談など、プライベートな話をします。そのあとで、部下が自分のことを話す。こうしてお互いの人柄を知ることで、少しずつ本音で話せる関係に変わっていきます。

ただし、「部下とコミュニケーションを取ってください」「サシ飲みの機会をつくりましょう」と言うだけでは、実行されるとは限りません。
そこで私は、サシ飲みのあとに報告書を提出させています。話の内容は抜きで領収書と証拠写真を添付し、それらを一覧できるように本社の会議室の壁に貼り出したこともあります。
報告を義務づけている理由は、おもに2つあります。

【サシ飲みの報告を義務づける理由】
① 不正受給を防ぐため
サシ飲みは、会社から補助を出しています。そのため、領収書と証拠写真を提出させ、不正受給が起こらないようにしています。

② 上司の義務を確実に果たすため
私は、サシ飲みを上司の義務と考えています。だから、「毎月1回」の基準を定め、それが守られたかどうかを報告書で確認しています。

整頓は、やるべきことを決め、その状態が守られているかを確認することです。
サシ飲みも同じです。実施の基準を決め、報告書で確認することで、上司と部下のコミュニケーションを個人任せにせず、会社の仕組みとして整えています。

【サシ飲みの主なメリット】

  • 日常業務では見えにくい価値観やキャリア観を聞くことができ、お互いの人となりを理解しやすくなる。
  • 会議室より心理的ハードルが下がるため、部下の不満や不安、キャリアの希望が表に出やすくなる。
  • 信頼関係が深まることで、日常のフィードバックや指示が伝わりやすくなる。
  • 評価面談ほど重くない形で、今後の期待や成長課題を伝えやすくなる。
  • 職場全体の話しかけやすさが増し、コミュニケーション量が増える。
  • 上司・部下のマルコポーロから2人の「トリセツ」を作成し、お互いの長所・短所を確認すると行き違いがなくなります。
最強の仕組み「整頓の科学」
小山 昇(こやま・のぼる)
株式会社武蔵野代表取締役社長
1948年山梨県生まれ。東京経済大学卒業後、1976年に日本サービスマーチャンダイザー(現・武蔵野)に入社。一時期、独立して自身の会社を経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰し、1989年より社長に就任。赤字続きだった武蔵野を売上70億円(社長就任時の10倍)を超える優良企業に育てる。
2001年から同社の経営の仕組みを紹介する「経営サポート事業」を展開。現在、700社超の会員企業をサポートし、400社が過去最高益となっているほか、全国の経営者向けに年間240回以上の講演・セミナーを開催している。
1999年度「電子メッセージング協議会会長賞」、2001年度「経済産業大臣賞」、2004年度、経済産業省が推進する「IT経営百選最優秀賞」をそれぞれ受賞。2000年度、2010年度には中小企業部門では日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞。2023年「DX認定制度」認定。2025年・2026年、健康経営への取り組みが評価され、健康経営優良法人「ホワイト500」に認定。
『経営者のための生成AI組織的活用の教科書』『1%の社長しか知らない銀行とお金の話』『人が輝く経営のすごい仕組み』『生成AIでわかった経営者のための人財定着術』(いずれもあさ出版)、『会社を絶対潰さない 組織の強化書』(KADOKAWA)、『「儲かる会社」の心理的安全性』(SBクリエイティブ)、『改訂4版 仕事ができる人の心得』(CCCメディアハウス)など著書多数。

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