本記事は、小山 昇氏の著書『最強の仕組み「整頓の科学」』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
アナログとデジタルの整頓を使い分ける
情報の性質によって、置き場所と見せ方を整頓する
ものの整頓は、同じ引き出しにまとめて入れると使いにくくなります。逆に、外に出したままでは散らかります。
大事なのは、何を、どこに、どう置くと、いちばん成果が出るかを決めることです。毎日使うもの、たまに使うもの、在庫として保管するものでは、置き場所は違います。
情報の置き方も同じです。
- 必ず見なければいけない情報
- 必要に応じて検索する情報
- 蓄積したい情報
- 更新が多い情報
など、情報の性質によって、置き場所は違います。
わが社は、アナログによる情報の整頓と、デジタルによる情報の整頓を使い分けています。
デジタルは「検索しやすい」「蓄積しやすい」「更新しやすい」という点で便利です。ただし、便利すぎるため、見なくても困らない状態をつくりやすい。つまり、アクセス性は高いのに、閲覧率は低くなることがあります。
一方、アナログは、「必ず目に入る」「全員に同じ形で伝わる」「行動を変えやすい」という強みがあります。
武蔵野は、半期に一度「社内アセスメント」を実施して、6ヵ月間の実行計画をつくっています。
実行計画をつくるときは、口頭で議論するだけでなく、各自が色の違う付箋に意見を書き出して模造紙に貼り、同じ意見は統合し、違う意見は残します。
口で話すだけでは、論点がずれたり、声の大きい人や職責上位者の意見が通りやすくなります。ですが、付箋に書いて貼り出せば、意見が目に見える形になり、どこが論点で、何を選ぶべきかを整理しやすくなります。
これは、アナログのほうが成果につながりやすい場面の一例です。議論の中身を見える化し、全員が同じ材料を見ながら合意をつくるには、手書きの付箋のほうが適している場面があります。
大事なのは、アナログかデジタルかではなく、その情報がいちばん活きる置き方を選ぶことです。
以前、経営計画書をすべてデジタル化したことがあります。デジタルなら、いつでも見られる。関連資料へのリンクも貼れる。便利です。
ですが、結果は逆でした。誰でもいつでも見られるようにすると、誰も見なくなる。いつでも見られるから、いつも見ないです。
私はこのとき、情報は「探せば見つかる状態」は不十分だと実感しました。必要なときに、自然と目に入る場所に置いておかなければ、人は見ません。情報の整頓は、保管する場所を決めるだけではなく、人の目に入る形にしておくことです。
【デジタルによる情報の整頓・共有】…… 「探す・蓄積する・更新する」に強い。
◉メリット
- 検索が速い。
- 更新や差し替えがしやすい。
- 大量の情報を保存できる。
- 遠隔でも共有しやすい。
- 履歴が残りやすい。
- AIやRAGと相性がよい。
◉デメリット
- そこに「置いてある」だけでは見られない。
- 情報が増えるほど埋もれやすい。
- ファイル名やフォルダが乱れると一気に使いにくくなる。
- ITに不慣れな人には扱いにくい。
- 「いつでも見られる」が「いつも見ない」になりやすい。
【アナログによる情報の整頓・共有】…… 「見せる・気づかせる・習慣化する」に強い。
◉メリット
- 目に入りやすい。
- 強制的に接触できる。
- 新人やパートでもすぐ理解しやすい。
- 行動を揃えやすい。
- 重要事項を徹底しやすい。
- その場で確認・指差し・共有がしやすい。
◉デメリット
- 検索には弱い。
- 大量の情報を扱うには向かない。
- 更新や差し替えに手間がかかる。
1948年山梨県生まれ。東京経済大学卒業後、1976年に日本サービスマーチャンダイザー(現・武蔵野)に入社。一時期、独立して自身の会社を経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰し、1989年より社長に就任。赤字続きだった武蔵野を売上70億円(社長就任時の10倍)を超える優良企業に育てる。
2001年から同社の経営の仕組みを紹介する「経営サポート事業」を展開。現在、700社超の会員企業をサポートし、400社が過去最高益となっているほか、全国の経営者向けに年間240回以上の講演・セミナーを開催している。
1999年度「電子メッセージング協議会会長賞」、2001年度「経済産業大臣賞」、2004年度、経済産業省が推進する「IT経営百選最優秀賞」をそれぞれ受賞。2000年度、2010年度には中小企業部門では日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞。2023年「DX認定制度」認定。2025年・2026年、健康経営への取り組みが評価され、健康経営優良法人「ホワイト500」に認定。
『経営者のための生成AI組織的活用の教科書』『1%の社長しか知らない銀行とお金の話』『人が輝く経営のすごい仕組み』『生成AIでわかった経営者のための人財定着術』(いずれもあさ出版)、『会社を絶対潰さない 組織の強化書』(KADOKAWA)、『「儲かる会社」の心理的安全性』(SBクリエイティブ)、『改訂4版 仕事ができる人の心得』(CCCメディアハウス)など著書多数。
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