G20財務相・中央銀行総裁会議閉幕
9~10日の2日間にわたり開催されたトルコ・イスタンブールでのG20財務相・中央銀行総裁会議は、「世界経済に対し慎重な見方を示し、必要なら成長支援に向け金融、財政政策を講じる」との声明を採択し閉幕した。今や欧州全体を巻き込んでいるギリシャの債権問題への具体的な言及はなかったが、緊急財政支援策の受け入れを拒否し、つなぎ融資を要請するギリシャ側と、あくまで枠内の調整を主張する債権国ドイツの溝は埋まっていない模様だ。続く首脳会談においても、事態打開への期待は望み薄、とEU委員会の報道官は語っている。
現行支援策が欧州を破たんへ導く?
9日、ギリシャ・バルファキス財務相は、「支援プログラムは、ギリシャを救うことにはならない」と、議会で発言。一方ショイブレ独財務相は、ギリシャが支援プログラムを受け入れないならそれで終わりだとし、ドイツ側はつなぎ融資を受け入れる意がないことを示した。バルファキス財務相は「ギリシャの債務を増加させる支援策には応じない」と、ギリシャ側も姿勢を変えていない。対立が激化する様相を受け、欧州金融市場は動揺し緊張感に包まれた。イギリスでは、ギリシャのユーロ圏離脱の可能性に備え、財務省とイングランド銀行当局者による緊急会合が開かれた。
債務再編財務アドバイザーの米投資銀行ラザード・パリ支店、マシュー・ピガス氏も、「トロイカ政策は間違いで、同国を窮地に追い込んだ、欧州さえ窮地へ追い込む可能性がある」と10日のフランスのテレビ報道の中で触れている。ギリシャは独善的になっているとの批判もあるが、現実的に功を奏さなかった「枷」を取り除き、資金逼迫を目の前に見ながら、つなぎ融資や短期証券発行額上限引き上げ等の具体策を組み合わせつつ、新しい政策で自国を救おうとする新政権は、「枠外」へ眼を据えている。
しかし、10日、欧州委員会のモスコビシ委員(経済担当)は、「枠組みの外ではなく、その範囲内でどのような解決策が可能かを考える必要がある」とし、協議を継続するためには、16日までに支援延長に関して合意する必要があると強調した。同氏は「11日の臨時ユーロ圏財務相会合は、ギリシャが自らの見解を示す機会となる。またユーロ圏の財務相がギリシャの考えをどう受け止めるかを見る機会にもなる」と指摘する。
「枠内」と「枠外」の合意点は見つかるか
現時点までは「非常に実りのあるものだったとは言えない」が、ギリシャとの暫定合意を目指し、ユーロ圏関係者やギリシャ首脳らが緊密に連絡を取り合っていると、欧州委員会の報道官は説明する。10日の米紙関係者筋によると、欧州委員会は、ギリシャに6カ月間の支援延長申請を求め、その間にすべての懸案事項や支援後の計画を協議、合意したいという考えを提示したようだ。これを好感し米株式市場は反発。複数の報道が飛び交う中、金融マーケットは、引き続き一喜一憂しながら事態の行く末を見守っている。
(ZUU online)
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