2015年の新規上場が予定される注目銘柄は、大型上場では日本郵政グループとUSJ、ネット系ではGunosyやランサーズ、バイオベンチャー系ではヘリオスやスバイバー等が挙げられる。このうち、高い収益性と将来性を併せ持った、USJが期待できる銘柄である。
KPMGあずさ監査法人の2014年・年間IPOレポートによると、2014年の新規上昇企業数は77社で5年連続の増加となった。リクルートHD <6098 > や西武HD <9024 > に代表される大型上場や、ロボットスーツのサイバーダイン <7779> 等の上場は記憶に新しい。2015年も新規上場企業数増加の流れは続くのであろうか?本稿では、2015年に新規上場が予定される銘柄のうち、注目銘柄をピックアップして見ていきたい。
①大型上場「日本郵政グループ、USJ」
2015年の大型上場として有望視されているのが、日本郵政グループとUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)である。日本郵政の上場は2015年秋とみられ、純粋持ち株会社である日本郵政と、傘下の金融子会社であるゆうちょ銀行、かんぽ生命の2社が上場すると見られている。
2014年3月期決算では、日本郵政グループの経常収益(売上高に相当)は15兆2,401億円、当期純利益は4,790億円。ゆうちょ銀行の経常収益は2兆763億円、当期純利益は3,546億円。かんぽ生命保険の経常収益は11兆2,339億円、当期純利益は634億円であった。経常収益の4分の3をかんぽ生命で稼ぎ、当期純利益の4分の3をゆうちょ銀行で稼ぐ構造となっている。かんぽ生命の経常収益は昨年度のIPO銘柄ではトップのリクルートHDの1兆1,916億円の約10倍。生命保険最大手の第一生命保険 <8750> の売上高6兆450億円の約1.9倍であり、大型上場として注目を浴びることになる。
また、USJの2014年3月期売上高は、一部報道によると、売上高が959億円、営業利益は242億円、年間の入場者数は1,050万人である。ディズニーランドを経営するオリエンタルランド <4661> の2014年3月期決算では、売上高4,735億円、営業利益1,144億円であり、USJは約5分の1の規模にとどまるが、東京ドームと隣接する遊園地を経営する東京ドーム <9681> の2015年1月期決算の売上高832億円、営業利益112億円を上回る。
オリエンタルランドの時価総額が約3兆3,800万円ほどあり、東京ドームの時価総額は約1,100億円であることから、売上高と利益水準から推定して、数千億円単位の時価総額になることが予想される。USJ の初値時価総額は、2014年度ランキングトップのリクルートHDの1兆8,196億円には及ばないもの、2位の西武HDの5,474億円や3位のジャパンディスプレイ <6740> の4,624億円に匹敵する可能性はある。
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②ネット系「Gunosy、ランサーズ」
ネット系の企業の中で上場すると見られているのが、ニュースキュレーション/ソーシャルニュースアプリ「グノシー」を提供するGunosy(グノシー)である。Gunosy社の設立は2012年11月。ニュースアプリ「グノシー」のリリースは約2年前の2013年1月であるが、Gunosy社の発表によると、2014年9月に累計ダウンロード数が500万を突破している。
しかし、2014年8月29日付の官報に発表された決算を見ると、売上高3億5,900万円。売上原価87億円であるが、販売費および一般管理費が16億2,900万円であり、13億5,800万円の赤字を計上している。また、純資産は6億円強であり、上場時に今後の成長戦略を描けるかが重要になると考えられる。
また、クラウドソーシングの「ランサーズ」も上場すると見られているネット系の企業である。ネットを介して仕事の仲介を行うクラウドソーシングでは、2014年12月にクラウドワークス <3900> が既に上場している。クラウドワークスの公開価格は760円であったが、公開初日に73%高の1,316円をつけ、直近の終値でも公開価格を上回る1050円前後で推移している。
MMD研究所の「クラウドソーシングの利用に関する調査」によると、ランサーズの会員数はクラウドワークスの約1.6倍の42万人。ランサーズの累計依頼金額はクラウドワークスの約2.2倍の384億円であり、ランサーズがIPOを行えばクラウドワークスを超える株価の上昇を見せる可能性はある。