I owe youの借用証書IOU

IOUは、「将来、IOU保有者に指定された額のユーロを支払う」ことを約束する証書のことである。ギリシャ政府は、現地通貨を発行する代わりにIOUを発行し、年金や公務員の給料を支払い、その分確保したユーロを対外債務の支払いに充てる。国外へのユーロ流出を抑える資本規制による束縛を緩和する効果もある。

IOUによる支払いは、政府関連項目の国内支払いに留まり、公務員給与のほか、光熱費の支払い程度に制限され、当初は広く普及することはないようだ。


将来へはつながらない回避策に過ぎない?

とはいえ、このIOU発行は、ギリシャが支援金を獲得するまでの一時的デフォルト回避策としての構想である。グレグジットの可能性と周辺諸国の懸念を先延ばしにし、ギリシャの目下の状況を乗り切るためのもので、問題根本の解決策ではない。一時的なユーロを「確保する」だけで、景気回復・税収増加による国内資金を増大させるものではない。

EU内債権国への通貨の変更に伴う金融システムへのショックと混乱を、一時的に和らげる効果はあるかもしれない。だが、すべてはフィクションであり、不安を払しょくするものではないという声もある。依然ギリシャは財源を国外からの借り入れに頼っている状況である。将来の支払いの見込みが薄い国へ融資するものがどれ程あるだろうか。

EU経済に詳しい関係者は、この新通貨の発行は、ギリシャがユーロを離脱した時のオプションの一つとしてつかわれるべきだと、指摘する。ドラクマのユーロに対する切り下げを回避する効果もないだろう。また、どれ程国民に受け入れられるかという疑問も残るところである。(ZUU online 編集部)

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