ホンダ,S660,スポーツカー
(写真=ホンダHPより)


出足好調なS660

ホンダ <7267> が軽スポーツカーS660の販売を4月2日に開始した。

4月からの軽自動車増税で、販売落ち込みが懸念されている軽自動車だが、S660は当初の月間販売予定の800台を大幅に上回る3,000台をすでに受注し、納車は3ケ月待ちだという。軽自動車としては198万~238万円(税込)と高価格帯に属する車だ。2シーターのスポーツカーで、すでに市場で人気のダイハツのコペンと同様、セカンドカーとして楽しむ事が前提として設計されている。そのため、購買層は中高年がターゲットだ。


スポーツカーがエコ仕様で再燃

近年の環境意識の高まりから、自動車各社はハイブリッド、電気自動車など低燃費で環境にやさしい自動車の開発、販売へと一斉にシフトした。そのため、スポーツカーなど趣味性の高い運転を楽しむ車は相次いで生産が中止されてしまった。しかし、徐々にその路線は転換されつつある。その切り札になっているのがターボチャージャーの改善だ。従来のスポーツカーに比べて低燃費で、それでいてパワー向上が実現したのだ。このS660も新型のターボチャージャーが搭載されている。従来のターボチャージャーに比べ、ターボラグを抑え、ボディの軽量化に成功している。

スポーツカーと呼ばれるジャンルは今年、ホンダがS660を皮切りに、夏にはNS-Xを復活販売する予定で、マツダが6月にロードスター、来年にはRX-7を復活する予定となっている。ロードスターは先日始まった先行商談で、国内初回割り当て分2,000台がほぼ完売したと報道された。

このような趣味性の高い車は、業績に大きく寄与する事は考えにくいが、自動車離れが顕著な若者層の購買意欲を誘発させる原動力になり、また経済的にゆとりがあり、趣味にお金をかけられる中高年層へのアプローチにもなる。「軽とワンボックス、ハイブリッド車では夢がない」とされる昨今の自動車業界の風潮を変えられるかどうか、今年は大きなターニングポイントに来ているといえるかもしれない。


新型ステップワゴンにも注目

今回のS660同様、ホンダにはもうひとつ、注目を集める車がある。4月24日から販売開始となる新型ステップワゴンだ。この車にも新しいターボチャージャーが搭載される。そして注目されている理由が排気量が従来の2,000ccから 1,500ccになる点だ。そのため、自動車税が5,000円ほど安くなるとされる。排気量を小さくしても、従来の2,000ccエンジンと同じ150馬力を発生する新開発のターボエンジンが搭載されている。

そして、バッグドア、いわゆるテールゲートが従来の上への開閉と横開き、両方の操作が可能という点も非常に画期的で新しい。バッグドアは上に上げるタイプが一般的だが、後方のスペース、天井の高さにより、どうしても開閉できない場合もある。そのため、バッグドアを3列目シートの乗降に使うことは難しかったが、新しいステップワゴンでは、横開きにすれば後方からの3列目シートの乗り降りもスムーズになる。使い勝手もさらに向上し、税金など諸経費も抑える事ができる新型ステップワゴンの人気は高まるのではないかと考えられる。


そして最大の話題はスーパーカーNS-Xの復活

話題性という点ではNS-Xの復活も見逃せない。ミッドシップスポーツと呼ばれる、エンジンを車の重心位置に配置したNS-Xは、一般的なスポーツカーのFR(フロントエンジン)では味わえない走行性能が魅力だ。今回発売される新型NS-Xは国産車としては驚異的な550馬力以上というハイパワーな設計で、価格は1,800万円程度に設定されるのではないかと言われている。国内のみならず、全世界のスポーツカーファンをターゲットにしたスーパーカーで、話題となるだろう。

昨年はリコール問題で苦しんだホンダだが、今年は話題性の高い新車を次々と投入し、復権へ攻勢をかける。その販売状況や市場評価に注目したい。(ZUU online 編集部)

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