育児用品メーカー大手のピジョン <7956>は、6期連続で最高益を更新するなど非常に好調だ。連結売上高は昨年よりも8.6%増の841億円を達成。来期も9.4%増の920億円になる見通しだ。

国内の育児用向け消費は、少子化の影響を受けすでに頭打ち状態になっている。ピジョンの国内事業における連結売上高も244億円で横ばいに推移している。

しかし、会社全体での業績は好調なのだ。ピジョンは36年前からシンガポールに現地法人を設立するなど、早くから海外での事業展開を進めており、これが功を奏した格好である。

ピジョン全体の売上高のうち海外事業は6割を占め、国内事業の割合を上回るほどになっている。特に海外事業の中でも中国での事業は突出しており、約半数を占める。2000年に1億6千万円だった中国事業の売上高は、今では263億円にまで急成長している。


中国の次はどこか

すでに進出済みの北米や欧州といった地域では、自社商品の新規導入店舗の増加や既存店への取扱商品の拡充を地道に行う一方、主力商品である母乳パッドや乳首ケアクリームのシェアの拡大を目指している。搾乳から保存、そして授乳に至るまでを総合的にサポートをしていく企業であるという、ブランド認知の向上を進めている。

現在好調な中国事業も、市場の成長に伴い他社の参入が増え競争が激化しつつある。そこで、世界で二番目に人口が多いインドを次の重点エリアと定めた。すでにインドへは進出しており、売上高は10億円程度と小つぶであるものの、人口成長率の割には中国ほど市場が熟していないため、今後の伸びが期待できるのだ。

2014年11月には7億円をかけ建設した現地工場が完成し、ほ乳びん等の生産に向け着々と準備が進んでいる。

さらには、将来への布石としてブラジルへの進出も検討しており、2014年3月には現地法人を設立し情報収集を行っている。


今後の展望

ピジョンは新たに2015年1月から2017年までを対象とした第5次中期経営計画を策定した。中でもピジョンとして強みをさらに活かせる5分野「ほ乳びん・乳首」、「搾乳器」、「おしゃぶり」、「スキンケア」、「母乳パッド」へ重点的に注力していくと発表。これら5分野を核として、国内だけでなく積極的に海外進出を進めていくようだ。

国内の少子高齢化という背景に基づき、今後は介護やヘルスケア分野への拡大も狙っているものの、将来的に縮小していく国内市場よりも海外市場を中心としてとらえざるを得ないという現状認識の方が強いだろう。海外にはアップリカのような多国籍に進出している育児用品メーカーの方が圧倒的多数だ。

今後もピジョンが成長を続けていくためには、現地での自社ブランド力の浸透と、商品への信頼性がカギになるだろう。(ZUU online 編集部)

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