ここで私が直近目にした具体的事例にも触れておきたいと思います。


1)オリンピックをにらんだコンドミニアムへの投資


これは私のシンガポール人のお客様のケースです。彼自身が友人から聞きつけ東京湾近辺の新築のマンションを3部屋ほど買っていました。50階近辺のペントハウスが80平米で8000万ほどで買えたといってシンガポールに比べて安すぎだと興奮して話していました。実際に1期目の販売は終了し2期目に入ったところ既に15%ほど値段が上がっていたと喜んでいました。シンガポールの銀行が日本の銀行とタイアップしているらしく2%程度の金利で50%くらいのレバレッジがきかせられるとのことです。ポイントとしては、シンガポールに売りに来ている物件ではなく自ら東京に足を運んで物件を選んでいるという点でしょうか?


2)中東のロイヤルファミリー


グローバルのフォーブス100にも入っているようなファミリーメンバーと数時間ご一緒させて頂ける機会が先日ありました。彼自身はもともと投資銀行に勤めていた経緯もありマーケットには非常に精通しておりロンドンでの不動産で大儲けしたという話をしておりました。その彼に日本の不動産について聞かれ、まさに上記したようなことを話してみると不動産投資自体は面倒だからすぐにでもREIT(不動産投資信託)のアナリストを紹介してくれと言われました。オフィスよりも安定しているであろうレジデンシャルに関心があるようでした。やはり税金などを考えると金融商品としてのREITの方が馴染みもあり分かりやすいのでしょう。


3) 中国の超富裕層


この方は私の部下のお客様なのですが、中国でも50本の指に入る資産をお持ちの企業経営者です。自国の不動産には弱気になっていて、売却後の投資先として日本の主要都市(彼は東京、大阪、福岡を選んでおられました)への不動産またはREITも考えておられるとのことでした。まずは500億円まででポートフォリオを作ってみたいと言われましたが、そのサイズのファンディング(資金調達)が果たしてできるものかどうかは悩ましいところです。


4)某地方都市でのリゾート開発案件


非常に仲良くさせてもらっているインドネシアのお客様なのですが、ちょうど1年前に東京での不動産投資を契約直前の段階で断られていたためその方が日本の不動産をまだ見ておられるとは想像もしておられませんでした。内容としては当然具体的スキームまでは教えて頂けないものの某商社に誘われて東北地方のとある都市でのリゾート開発案件を一緒に手がけるいうものでした。100億円ほどのプロジェクトになるため、我々に円ファンディングの手伝いを、(もし確定すれば)依頼したいということでした。何かスペシャルなコンテンツがあるとも言っていましたが実現確率としては5分5分だと言われました。


小さい話から大きな話まで色々ありますが、1年前では想像もできなかったくらい日本の不動産市場は、グローバルに注目されているマーケットであるということは間違いないようです。

また今後も定期的にアップデートさせていただきます。ではでは。

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【参考:直近のシンガポールプライベートバンカーシリーズ】

世界で活躍するプロフェッショナルの条件〜シンガポールでの採用活動を通じて感じる事〜
富裕層を魅了するシンガポール~教育問題・言論の自由…その魅力の裏に潜む影~
大事なのはお酒とゴルフ?〜もしアジアの大富豪からホームパーティーに呼ばれたら〜
プライベートバンク×インベストメントバンク?~アジアンバンカーのダイナミズム~
日本の富裕層の不遇〜真に頼れるプライベートバンカーの姿とは?〜


By NS: シンガポールで華僑を担当するプライベートバンカー