こんにちは、シンガポール在住のプライベートバンカーのN.Sです。
ご無沙汰しております。
年末も近づいて来ますと毎年のことではございますが、外資系銀行さんのリクルーティング活動が非常に活発になってきます。こんな私にもお誘いをいただくケースが何件かあり、コスト削減に余念がない我々の業界ではございますが、どの銀行さんが活発か、お金をかけて採用をしているかなど直接感じることができる面白い機会ではございます。
久々ではございますが、私の身の回りで起こっていることを話題に、富裕層のお客様がつき合うべきバンカー像について少しお伝えさせていただきたく思います。
【参考:直近のシンガポールプライベートバンカーシリーズ】
世界で活躍するプロフェッショナルの条件〜シンガポールでの採用活動を通じて感じる事〜
富裕層を魅了するシンガポール~教育問題・言論の自由…その魅力の裏に潜む影~
大事なのはお酒とゴルフ?〜もしアジアの大富豪からホームパーティーに呼ばれたら〜
プライベートバンク×インベストメントバンク?~アジアンバンカーのダイナミズム~
アジアの富裕層ビジネスにおいて必要とされる2つの信頼関係〜PBビジネスの魅力を感じる瞬間とは?〜
◉シンガポールのバンカー採用・就活事情
自分は今更隠し立て、並びに誇張をしてアピールをするような気力もないため、ありのままを伝えるようにはしておりますが、相変わらず狭い世界で限られたプレーヤーを巡って各社が一生懸命採用をしているのだろうな、というのが非常にわかります。
かくいう私も、数年前採用をもらった某イギリス系の投資銀行で採用の際に面接をされたシニアのバンカーから数年ぶりに連絡があり、カナダ系の銀行に移って立ち上げメンバーを探しているから一緒にやってくれないかという内容でした。
また、一方では我々も採用活動を積極的に繰り広げているため、色々な銀行から面接にくる方を捕まえては各銀行の内部事情を聞いたりもしております。そこで思いますのは、当たり前ではございますが、一人で戦える優れたプレーヤーは常に何か不満を抱えつつ新たな可能性を模索しているな、ということです。
いかにネームバリューのある銀行でも、内部ではプレミアムバンク(支店に歩いてこられて少し大きくお金を預けてくださるお客様)と富裕層(絶対に自分から支店に歩いてくるような事がないようなお金持ち)をどうセグメントし、効率的に当たっていくかという、永遠に答えの出ない問いに対しての解を探し続けており、そこで板ばさみになっている優秀な若者をいかに採用するかというのが目下の我々の課題かもしれません。
話は多少飛躍するかもしれませんが、我々がいわゆる稼ぎ続ける(続けるというのがキーポイントです)バンカーを重宝したいのと同じように、お客様も気に入った(日々のアップデートが適切にもらえ、パフォーマンスも悪くなく、またご飯を食べに行っても有意義な時間を過ごせる)バンカーがいるのであれば、彼、彼女を手元において双方にとってプラスになる関係を長きに渡って求めて行くことが大事なことだと思われます。
それほど世の中に、つまり日本、シンガポール、香港問わずバランス感覚のある長く付き合っていて面白く、かつ優秀なバンカーは残念ながら多くはないのです。本当に優秀なバンカーは、ほとんどのケースが大抵独立していってしまいます。良いバンカーとの出会いは、大事にされた方がいいですよ、という心からのアドバイスでございます。