筆者のオフィスは、首都アクラの中心部から30分ほどの市内の昔からの住宅街地域にある。オフィルから数十メートル先にある食堂に買い出しに行ったときのこと。路肩の大きなむき出しのドブの上に置かれた、四角く囲われた板組の中から、子供が飛び出して来た。見ると、そのドアは、中から鍵がかけられるようになっており、板が敷かれた真ん中には、穴がぽっかり空いている。
!!トイレだ。彼らは、側溝の上に四角い板で囲いを作り、トイレとして利用していたのだ。オフィスに戻り、その話をすると、「え?ウソだろう?」と皆顔を見合わせる。信じようとしないのだ。そこで、一人が私の話の裏を取るために、実際に行って確認をすると、皆、一斉に「なんてこった!」と騒ぎ出した。「あの食堂まで大して距離がないじゃないか!もうあそこの食べ物を買うのは止そう。ハエでもついたら、たまらない」
まあ、そんなものだろうと思っていた私とは異なり、彼らが大騒ぎしていることに驚いた。「未だにトイレのない生活をしている人がこの辺りにいる」ということは、むしろ彼らにとって驚きだったのだ。ちなみに、弊社社員は、海外での留学経験もある所謂ミドルクラス。決して裕福ではないが、彼らの日常生活の感覚は、むしろ先進国で暮らす人々に近い。
私のビジネスパートナーは、こんなことを語った。「昔、外で大便をしている同じぐらいの子供を見たんだ。自分は、いつも狭い部屋の中でしなきゃいけないのに、あんな広々したところで自由にできていいなと思って、庭の片隅でしてみたら、母親に見つかって、悲鳴をあげられ、大目玉を食らった」
おそらく、彼が羨ましがったその子供は、不自由な室内トイレを一度も使うことなく、大人になったことだろう。
<著者プロフィール>
大山 知春(おおやま・ちはる)
成蹊大学文学部英文学科卒業。Nyenrode Business University MBA取得。ファイナンシャル・コンサルタントとして、みずほフィナンシャルグループでは東京・バンコクで勤務。2013年8月、ビジネススクール在学中 にガーナにてE-Commerce とコンサルティングを軸とした
MindNET Technologies Ltd.
を共同設立。ガーナ初のファッション&ライフスタイルグッズに特化したオンラインストア、
VIVIA.com.gh
をスタートさせる。その後、ガーナと日本の通商を活性化させるため、
VIVIA JAPAN
株式会社を設立。ガーナ原産の天然素材を使ったオール・ナチュラル・スキンケアブランド
JUJUBODY
を展開する。
【関連記事】
チョコだけじゃない、 日本人女性起業家が見たリアルなガーナ(1)
チョコだけじゃない、 日本人女性起業家が見たリアルなガーナ(3)
日本人大富豪ランキング トップ20の顔ぶれはこれだ!
日経新聞・四季報などがネット上で全て閲覧可!?その意外な方法とは
10万円以下でも買える?2015年の目玉LINE株を上場前に買う2つの方法