拍子抜けするかもしれないが、都市部で、会社員として働いている人たちは、日本人や欧米人とさほど変わらない生活をしている。「トロトロ」と呼ばれる乗り合いバン、もしくは自家用車で通勤し、オフィスではパソコンを使い、自宅に戻っては、テレビや映画を見て団欒を楽しむ。男性は、友人と、近所の「チョップバー」 で、サッカーを見ながら、ビールを飲みケバブをつまむこともある。日本のサラリーマンが、居酒屋で焼鳥とビールを興じるのと同じようなものだ。

『The African Development Bank』によると、 5人に1人、460万人が、一日の消費が4米ドルから20米ドルのミドルクラスに属すると報告している。生活最低限の必需品だけでなく、貯蓄や嗜好品を購入できるクラスだ。また、このうち、150万人が一日10ドルから20米ドル消費するアッパーミドルクラスで、質素な家や乗用車を購入したり、飛行機を利用したりしていると言われている。

ドイツのメディア 『Deutsche Welle』で、紹介されていた典型的なガーナのミドルクラスの生活ぶりを見てみよう。

イベント・マネージャーとして働く32歳のAnneselma Bentil は、イベントの運営とマーケティングを任されている。「Barclays Bank が30人から50人の要人を世界中から迎えてミーティングを行う際に、良いロケーションなどを手配するように私に連絡が入ります」Bentil は、クライアントのニーズに適うよう必要なアレンジメントを下請けに説明、コストの見積もりを取ります。

彼女は、平均的な年収の家庭に育ちました。父親はジャーナリストで、母親は、議会で働く職員でした。『毎日、外食に出かけたりすることはできませんでしたが、食卓には、いつも十分な食事が並んでいました』と、言います。

二人の兄弟と同様に、教育を受け、ビジネスとソーシャル・サイエンスの学士号を取得しました。今日、彼女は、毎月1,200 GHC ($630) を稼いでいます。この収入は、世界銀行が定義する一日平均収入の$2−$20のレンジ、アフリカのアッパーミドルクラス層に入ります。

彼女は結婚しており、夫との収入を合わせた生活は、裕福ではありませんが、必要最低限以上の物を購入できる生活です。たまに、露天ではなく、価格の高いスーパーで買い物 をすることもあります。

夫婦二人の世帯収入は、約$1,500といったところ。この収入層の人々は、一家に一台乗用車を保有している。これは、1970~80年代の日本の生活に似ているではないか。20年後には、この階層の人々が先進国の中流階級と同じような生活を送るようになるのではないか。

このようなミドルクラスの人々が台頭する一方で、その日暮らしの人もたくさんいる。一方で、裕福なビジネスマンにおいては、億ションの自宅に、専用バトラーを抱え、自宅でコーヒー飲むのに、コックに頼んでいる様子を目撃してたまげたこともある。ガーナ人の生活は一括りではできないほど細分化されており、貧富の差は日本の比ではない。