ベンチャーの世界と出会い、止まらなくなってしまったワクワク

それでも、同期や先輩や後輩には恵まれていて、楽しく過ごすことができました。周りの人がいたから頑張ることができ、喰らいつくように仕事をしていきました。また、監査という仕事をしていると、普通なら関われないような人と話ができ、なかなか見ることのできない書類に触れることができたので、仕事自体にもやりがいは感じていました。

そんな生活を送っていたある時、なぜか姉の昔からの友人と私と母と妹の4人でご飯を食べる機会がありました。その姉の友人は人との距離をぐいぐい縮めてくるタイプの人で、色々と話をしていくうちに、私は気づけば泣きながら仕事のことを話していました。

そして、しばらくしてその人が主催している勉強会に誘われました。「夢」を持つ人がそれを実現するために、お金の運用について学ぶ勉強会です。渋々その会に参加すると、次はその人自身が考えている事業での、「起業を準備する集まり」に行くことになりました。

正直、最初は足の親指を踏み入れるくらいの気持ちでしたが、行ってみると、私の想像をはるかに超えるその集まりの面白さに気づけば虜になっていました。

人々の「想いをカタチに」するための事業について熱く議論を交わすメンバーを見て、その熱量に圧倒されたんですよね。それまで形式的な会議しか参加したことのなかった私にとって、みんなで白熱した議論が行われる会議は、初めて踏み入れた世界でした。

今まで自分が見てきた世界は、いかに狭かったのか感じましたね。でも、それ以上に初めて見る世界に、どきどきが止まらなかったんです。ほぼ出来上がった仕組みを見る監査法人の仕事と違って、ゼロから作り上げていくことにワクワクしていました。また、想いを軸に資金を集める「クラウドファンディング」の仕組みも、純粋に面白いと感じました。

そこで、私もその集まりに入り、起業の準備を手伝うことにしたんです。監査法人の仕事も繁忙期で忙しかったのですが、寝る間を惜しんで準備を手伝い始めると、不思議と本業も頑張れるようになっていきました。