会計士への挑戦と、社会人としての挫折

大学に入ってからは、公認会計士の資格を取るために大学に通いながら資格の専門学校に通うことにしました。高校時代に税理士が話す特別授業があり、「これからは女性会計士の時代が来る」と言っていたのが頭に残っていたんです。

しかし、会計士の勉強は想像以上に大変でした。そのため、半年もすると、「私が本当にやりたいのは、監査の仕事なんかじゃない!」と言い訳をするようになり、勉強を止めてしまいました。

ただ、心の中では投げ出してしまったことを後悔していました。昔から強かった正義感は他人だけでなくて自分にも向いていて、中途半端な自分を許せなかったんです。

そんな気持ちが強くなってきて、3年生になった時に、もう一度会計士を目指し始めることにしました。 会計の仕事がしたいわけではないけど、投げ出したくはない。何の仕事をするかは、資格を取ってから考えようと決めたんです。

それからは、公認会計士試験に向けて必死に勉強しました。そして、4年生の秋に1次の短答式試験に合格し、卒業した年には2次の論文式試験を突破することができたんです。そして、紆余曲折あり、監査法人の中でも大手のデロイトトーマツ東京事務所に入ることになりました。

しかし、監査法人では周りの人が優秀すぎて、大きな挫折感を味わってしまいました。それまで、一般常識がないと馬鹿にされることもありましたが、「勉強」に関してだけは自信がありました。ところが、会社の中で私は底辺の存在。他の人ができることができない。この時、私はこの世界では通用しないんだと痛感したのです。

昔から母に「どんな分野でもいいから何かで1番になりなさい」と育てられてきた私にとって、トップになる可能性がない会計の世界には、希望を感じられませんでした。また、憧れていた「カッコいい女性」になれたはずなのに、何かが違ったんです。

そのため、転職なのか寿退社なのか分かりませんが、長くは働かないだろうと思っていましたね。