鶏そぼろ飯、豆腐ぶっかけ飯角版イ
(写真提供=吉野家)

6月9日、吉野家ホールディングス <9861> が展開する吉野家は、5年ぶりに朝食メニューに低価格の新商品を投入・リニューアルを実施した。

新しく投入されたメニューは「豆腐ぶっかけ飯~鯛だし味~」と「鶏そぼろ飯」。前者は粗く砕いた絹ごし豆腐に特製の鯛だしをかけ、天かすと鰹節、青ねぎを加えたもので魚介系の風味がしっかりと感じられる味となる。後者は生姜を利かせた醤油ベースのタレで、鶏そぼろ(冷凍チルド)を少し濃い目に味付けしたもので、ご飯と混ぜ味わうというものだ。

吉野家のウリでもある安さと早さに加え、両メニューの特徴は「低カロリーで朝からでも食べやすい」ということを追求している点だ。

また、定番メニューの朝定食を同日以降リニューアルし、焼魚定食(新価格450円)と特朝定食(同550円)の焼鮭のサイズを大きくした。その結果、焼魚定食と特朝定食は50円値上げされるが、納豆定食(同360円)は10円の値下げとなった。


牛肉高騰による値上げが響く

なぜ吉野家は、このタイミングで朝食メニューのテコ入れを行ったのか。吉野家は、従来どんぶり以外の品揃えが豊富な「すき家」など競合他社と一線を画し、牛丼に軸足を置いてきた。

しかし、牛肉価格の高騰により実施した昨年12月の値上げ以降、消費者の足が遠のいたことにより売上は減少傾向にある。

もともと、外食産業の中ではいち早く朝食需要の開拓を進めてきた吉野家だが、過去には朝の時間帯の売上が1日(24時間)の売上の約10%以上を占める時期もあったものの、ここ数年では同業種の朝食参入やコンビニエンスストアとの競争が激化、約4~5%程度にまで落ち込んでいた。


より早く、より安く

吉野家によると今回のリニューアルの狙いは「より早く、より安く」という吉野家の強みを前に押し出した施策であるという。一般的に慌ただしい朝の時間帯に、朝ごはんを手軽にサッと食べられるようなメニュー開発にしたとのことだ。

また、近年、消費者から求められている「健康」についても対応している。新商品は、豆腐ぶっかけ飯が並盛りで423kcal、鶏そぼろ飯が同じく並盛りで431kcalとと、他のメニューに比べて低カロリーに抑えられている。

一方、消費者から人気の高かった「ハムエッグ定食」は、今回のリニューアルに姿を消した。一部では再開を希望する声も上がっているが、現時点では「何も決まっていない」とのことだ。

朝食市場の競争が激しくなるなか、今回の吉野家の「朝食リニューアル」が狙い通りテコ入れを実現するのか、今後の動向を見守りたい。

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