11月10日、牛丼チェーン、すき家を運営するゼンショーホールディングスは2015年3月期の営業損益予想を80億円の黒字から17億円の赤字へ、純損失は13億円の赤字から75億円の赤字へと大幅に下方修正を行った。大幅な下方修正を行った背景にあるのは、問題となっている深夜のワンオペレーションが大きな影響を及ぼしていることは疑いようのないポイントだ。

しかしもう1つ、牛丼の原料である牛肉の高騰が理由として挙げられている。牛肉の高騰の原因は円安にあると言われている。なぜ円安になると牛肉の高騰につながるのだろうか。


牛肉と円安の関係

日本は今久方ぶりの円安に揺れている。それが牛丼の原材料となる輸入牛肉を直撃した。大手チェーン店の牛丼はいずれも海外から輸入している牛肉によって作られている。その主な輸入先はアメリカだ。そのため円安が進むと、実際に企業が支払うコストは増加する。

例えば、牛肉1ドル分輸入するのにこれまで100円で良かったものが円安によって107円とコストアップすることになる。少ない数量では数円の差だが、これがキロ、トンという牛肉を仕入れるようになってくると、原材料費の負担も数千万、億と大きな単位で損失を生み出すようになってくるのだ。

実際に牛丼に利用される部位である北米産の冷凍ショートプレートは、10月時点で1キログラム当り1081円となり、1年前の555円から2倍近い価格になっている。そのため牛丼チェーン店は軒並み頭を抱える事態になっているのだ。


牛肉値上げの対応方法はあるのか

牛肉が値上げしたことの対応方法はあるのだろうか。以前アメリカでBSE問題が発生した際には、アメリカ産の牛肉をオーストラリア産に変えることで急場をしのいだこともあったが、今回は輸入する産地を変えれば済む話ではない。強いて言えば国内産を使えば、円安の影響は受けないのだが、国内産の牛肉は為替損失よりも大きなコスト増を生むことになる。

そのため、原材料費の増加分は店頭価格に反映せざるを得ないのだ。すき家は2014年8月に値上げを行うことで対応を行った。牛丼並盛りの価格を従来の270円から291円に値上げを行っている。さらに豚肉や鶏肉を使ったメニューや鉄火丼など他の原材料を使ったメニューを充実させることで牛肉の依存度を下げる戦略も行っている。


吉野家と松屋の牛肉への対策

一方、すき家のライバルである吉野家と松屋はどのように対応しているのだろうか。吉野家が行ったのは、値上がりする前に多めに牛肉を仕入れておき、在庫を切り崩して使うと方法を行っている。

しかし長期化する牛肉の高騰に対して、ついに10月から復活した牛すき鍋膳と牛チゲ鍋膳の価格を630円に設定し、40円値上げを行っている。松屋はプレミアム牛めしをメニューに加え、380円での提供を開始した。従来の牛めしの販売が終了したことから実質的な値上げと言える。

今後も円安が進めば牛肉への影響は更に深刻化し、牛丼自体が店頭から消える日が来るかもしれない。為替の影響は私たちのごく身近なところにまで及んでいるのだ。

(ZUU online)

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