(写真=Ford Motor Company)
好調が期待される米新車販売だが、本記事執筆時点のデータでは、8月は前年同月比で減少。そして、フォードの巻き返しが始まった。
フォード・モーター・カンパニー(Ford Motor Company) <NYSE:F> の多くの株主にとって、同社の販売台数が2015年は6、7カ月もの間低迷しつづける中、期待しつづけるのは困難なことだった。これは主に、相次ぎ投入された新型車やマイナーチェンジ車の生産が軌道に乗るのが遅れ、在庫が適正な水準まで確保されるのに時間が掛かったことによる。
だがついに先月8月、フォードは前年同月比で販売台数が大きく上向いた。投資家が長く待ち望んでいたことだ。また、それ以外にも良い数字が数多く発表された。今からこうした数字を読み解く上で重要な事柄をいくつかお伝えしよう。
8月新車販売台数
最初に知っておくべき事柄は、同社の先月の販売台数が前年同月比で5.4%増となり、好調な月となったことだ。市場の事前予想である同0.2%減を上振れている。さらに同社の数字は、同じデトロイトの自動車メーカーである米ゼネラルモーターズ(GM、General Motors Company, LLC) < NYSE:GM> を上回った。GMの同月販売台数は同0.7%減だ。その上同社はフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA、Fiat Chrysler Automobiles N.V.) <NYSE:FCAU> の同1.7%増をもしのいでいる。これはFCAの販売台数がこの1年、間違いなく好調だったことを考えると驚異的である。
8月の米新車総販売台数は前年同月比で異例の減少が予想されていたことを考えると、同社の販売台数が同5.4%増であったことはなおさら評価できるだろう。こうした予想は、昨年の米レイバー・デーの祝日における販売台数は8月に計上されたものの、今年のレイバー・デーの祝日における販売台数は9月に計上される予定であることと、さらに今年8月は営業日が前年同月と比べて1日少なかったことによる。全体的に、先月は販売台数の前年同月比が厳しい月だった。この数字が正式なものであるならば、同社は米大手自動車メーカーの中で、先月の販売台数の伸びが最も大きい可能性が高い。
また販売台数だけでなく、同社の多目的スポーツ車(SUV)に関しても実に興味深い話がある。
米国人のSUV熱
同社の最新SUV、新型「エッジ(Edge)」と新型「エクスプローラー(Explorer)」は、いずれも先月好調だった。エッジの8月販売台数は、前年同月比36%増で1万2,000台近くとなり、大幅に増加した。エクスプローラーも同様、先月8月は同22%増となり2万1,600台余りが販売されている。エッジとエクスプローラーはかたっぱしから売れており、デイーラー在庫は現在、それぞれ20日分と16日分しかない。
エッジとエクスプローラー、さらに「エスケープ(Escape)」の好調な売り上げにより、同社のユーティリティ・ビークル/SUV部門の8月販売台数は前年同月比12%増を達成した。同社のユーティリティ・ビークル部門における販売台数は、同月6万9,000台超を記録。これは、同社SUVの8月の数字としてはここ12年間で最大だった。
また以下に挙げるクルマはSUVではないが、これらの販売台数も注目に値する。同社の商用バンの販売台数は先月、前年同月比でなんと70%増となり、1万8,000台超が販売された。この伸びは、主に新型「トランジット(Transit)」により牽引されており、商用バンの販売台数は、8月としては1994年以降で最大となった。商用バン部門は同社の事業の中で見落とされがちだが、大変利益の出ている部門で今後も同社に良い結果をもたらしつづけるだろう。
だが同社の8月販売台数の中で最も特筆すべきは、同社の主力車種、「Fシリーズ(F-Series)」だろう。
稼ぎ頭、Fシリーズ
同社のFシリーズの販売台数は8月としては2006年以降最大となり7万1,000台超が売られた。好調だった昨年8月と比較しても5%増だが、1カ月でこれほど売れたことは過去10年間でも数えるほどしかない。さらにFシリーズの総販売台数は前年同月比5%増だが、同車の小売販売台数は同15%増だ。これは米国で最も販売台数の多いトラックである同車に対して、消費者需要が非常に高いことを意味するだろう。
Fシリーズに関する興味深い小ネタが1つある。それは、8月に小売販売された「F-150」のうち、63%にオプション設定の環境型エンジン、『エコブースト』エンジンが搭載されたということだ。これは前年比では86%増となり、投資家にとってうれしいニュースだろう。エコブーストエンジンのオプションは、通常のV6エンジンより高い料金設定だからだ。
最後に、2015年後半には、2015年モデルのF-150が同社の売り上げを牽引すると投資家は信じて良いだろう。米新車総販売台数のうち、ピックアップトラックのシェアは昨年がわずか11.3%だったのに対し、今年8月は約13%だったことを考えると期待できる。ガソリン価格がこのまま値上がりせず、ローンの借り入れも容易なままであれば、トラックは売れ続けるだろう。その上、同社のF-150の在庫はまだ約9万台のみだが、F-150の昨年の在庫数は17万3,000台だ。昨年は、F-150のモデルチェンジに伴う組立工場の閉鎖や変更に備えた在庫の積み増しで数字がやや膨らんだといったことはあるが、それを差し引いてもはるかに届かない。
以上を踏まえると、8月以降は同社の販売が上向く可能性が高い。これは投資家が2015年に入ってからずっと待ち望んでいたことだ。2015年いっぱいは同社の株主にとって間違いなくうれしい期間となるだろう、ということを最後に覚えておいてほしい。
ダニエル・ミラー(Daniel Miller)(提供: The Motley Fool )
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