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(写真=HONDA)

米国でのSUV需要急増により販売台数を伸ばしたホンダ「パイロット」。新登場の2016年モデル、中型SUV市場で上位に食い込めるか。

本田技研工業 <7267> の多目的スポーツ車(SUV)「CR-V」および新型「HR-V」(日本名「ヴェゼル(Vezel)」)が、米国のコンパクトクロスオーバーSUV(全長4,250~4,600mm) 市場および小型クロスオーバーSUV市場でそれぞれ上位を独占している。また、これらの兄弟車種に当たる中型SUV「パイロット」(日本国外のみで販売)も善戦中だ。 パイロットの米新車販売台数は、2015年上半期(1~6月期)に前年同期比36%増加した。新型パイロットが今年6月に発売開始となり、中型SUV市場で売上上位にランクインするだけの十分な条件が揃ったように思われる。


パイロットの軌跡

パイロットの米国における累積販売台数は150万台近くに上り、現行モデルは3代目だ。初代パイロットは2002年に登場し、高燃費や頑丈さで米国人を魅了した。同車は主にその耐久性により人気を博しており、購入者は日常走行に適した車だと考えているようだ。 8人乗りでさまざまな機能を備えた同車は、単なるファミリーカーとしてだけでなく重い荷物の搭載にも便利だ。

パイロットはピーク時の2006年には米国で15万2,154台を売り上げたが、2008年にはガソリン高騰や米国自動車市場の落ち込みによりSUVの売り上げが大きく打撃を受け、同車の米国販売台数は9万6,746台まで落ち込む。翌2009年にはさらに減少したものの、その後3年間は若干持ち直す。そしてようやく2013年、同車の米販売台数はリセッション(景気後退)前の水準まで回復した。

だが、2014年には再びパイロットの米販売台数が前年比14%減少。この年は、ライバル車、フォード・モーター(Ford Motor Company) の「エクスプローラー(Explorer)」およびトヨタ自動車 <7203> の「ハイランダー(Highlander)」(日本名「クルーガー(Kluger)」)が記録的な売り上げを達成している。パイロットの売り上げが伸び悩んだ大きな原因には、同車がトラックのようなフォルムであったのに対し、ライバル車は両方、より流線型になっていたことが挙げられるだろう。

ライバル車は、どちらもフルモデルチェンジあるいはマイナーチェンジを最近行っており、外観でパイロットの一歩先を行く。トヨタは2014年にハイランダーをフルモデルチェンジしたが、これが消費者に受け、米国での年間販売台数が過去10年間で最高となった。フォードは5代目エクスプローラーを2010年に発売したのち、2012年にはその上級モデル、「エクスプローラー スポーツ」を発売した。パイロットは2011年と2012年にマイナーチェンジが施されたものの、2008年以降大きなモデルチェンジは行われていなかった。こうした状況から、同車はフルモデルチェンジの必要性に迫られていた。

こうした背景により、パイロット2016年モデルは大きな任務を背負っていた。運良くSUVの人気が再燃しており、消費者を魅了するよう同車には多くの新機能が採用された。


新型パイロットの特長

刷新された最新モデルは外観がよりスタイリッシュで丸みを帯び、先代モデルよりボディの全長が約9cm伸びた。同社はまた、パイロットの室内空間を広げて同車の魅力を高めた。これは同車購入者の約95%がファミリー層ということから、こうした層に強く働きかけることが狙いだ。また、アルミ製ボンネットの採用により約136kgの軽量化に成功。この軽量化と新しいパワートレインの搭載により、燃費効率が改善した。

同社は、パイロットが中型SUVクラスでは最も低燃費だと主張しているが、あながち間違いではない。新型パイロットはリッターあたり23.1kmを実現しているが、それに引き換え、エクスプローラーは18.2km、ハイランダーは20.3kmだ。

また、新型パイロットは安全性能も向上した。 オプション設定に追加されたアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)は、前方の障害物を検知して警告を出し、車間距離を一定に保つ機能だ。さらに、車両が信号待ちなどで停車した際にエンジンが自動的に止まり、ブレーキから足を離すと再始動するアイドリングストップ機能もオプション設定した。これにより燃費削減が期待できる。また、「路外逸脱抑制機能(Road Departure Mitigation)」は、車両が車線を逸脱しそうな時に車がハンドル操作を行う機能である。


SUVのシェア向上

原油安に旅行好きな米国人の特性が加わり、SUVの米販売台数は昨年、人気のセダンをはるかに上回った。さらに最近のデータによると、このトレンドはしばらく続きそうだ。今年5月には、米新車販売台数の3分の1以上がSUVという結果になっており、また今年上半期(1~6月期)では、小型車中心の「乗用車」の米新車販売台数は前年同期比1.7%減だった一方、SUVの販売台数は同11.8%増となった。

米国SUV市場において中型SUVは高いシェアを誇るが、このセグメントには人気車種が勢揃いだ。ジープ(Jeep)の「ラングラー(Wrangler)」、フォードのエクスプローラー、トヨタのハイランダー、富士重工業 <7270> の「アウトバック(Outback)」などである。下の表は、中型SUVの米国での販売台数を示したもので、ホンダのパイロットは6位となっている。だが、注目すべきはその伸び率だ。パイロットの伸び率は上位5位のそれや業界平均の12.9%をはるかに上回っているのだ。

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(提供=モトリー・フール)

先代モデルの販売台数が減ることを恐れ、同社はパイロットの外観変更を避けてきた。そのため、これまでの販売台数の伸びは値下げによるものが大きかったが、新型パイロットはさらに多くの顧客の心をつかむことだろう。特に、2万9,995ドルに価格を抑えた下位モデルは魅力的だ。もしこの伸び率が維持されれば、パイロットの販売台数は再び過去最高水準に近づくことになり、同車は上位5位以内にランクインすることだろう。


ICRAオンラインリミテッド(ICRA Online Limited) (提供: The Motley Fool

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